なでしこジャパン前監督の佐々木則夫氏がイベントに登場した
“国際女性デー”の3月8日、なでしこジャパン(日本女子代表)前監督、佐々木則夫氏が国際NGOプラン・インターナショナル主催のイベントに登場。「今、男性ができること。女性の可能性は無限大」をテーマに、トークセッションを行った。
「女性に“良い背中”を見せてあげてください。そうすることで会話も弾むと思う。逆に苦しむ姿は部下や家族には見せないでください」
イベントの最後、佐々木氏から参加者たちへ贈られた言葉は、かつては自身が体現し、日本女子サッカーの一時代を作った金言だ。世間の女子サッカーに対する関心が薄い時代、堂々たる背中で引っ張り、ときにはオヤジギャグで選手を笑わせ、“チーム”を作り上げた。なでしこジャパンを率いた8年間では、2011年のW杯優勝、ロンドン五輪準優勝など、女子サッカー史に残る偉業を次々と成し遂げた。2016年のリオデジャネイロ五輪予選を最後に監督を退任したが、熱い思いが消えることはない。イベント終了後、取材に応じた佐々木氏に話を聞くと、2勝2敗の6位(出場12カ国中)で幕を閉じたアルガルベ杯も観戦したという。
「僕が指揮していたときよりも、スペースがなくて、相手のプレッシャーが強いので大変だと思います。今は海外のチームのサッカーの質が全然違う。パワーがあるし、高さがあるし、スピードもある」
一方で、「ちゃんとスライディングしていたのは阪口(夢穂)だけ。サイドハーフが身を挺して守備をやってない」と、なでしこの課題も感じたという。
4月、AFC女子アジアカップ ヨルダン 2018が開幕する。同大会はFIFA女子ワールドカップ2019の予選を兼ねており、上位5カ国がW杯本戦に進出することができる。
「“優勝”を意識してやらないと勉強にならない。予選突破は当たり前のことだから。優勝を目標に立ち返って、何をやらなきゃいけないかを常に考えて試合に臨んでほしい」
日本女子サッカー底上げへ必要なのは“スペシャルなリーグ”
「俺、いっぱい仕事しているから大変なんだよ(笑)」。佐々木氏がそう話す通り、現在は大宮アルディージャのトータルアドバイザー、十文字学園女子大学副学長ほか、様々な役職に従事している。サッカー以外の活動にも尽力する毎日だが、新たな仕事を任されることとなりそうだ。
8日、日本サッカー協会で理事会が開催され、佐々木氏の新理事就任が一部メディアで報じられた。本人に尋ねると「そうなの? 聞いてないよ」と一言。正式に就任が決まるのは24日の評議員会後となる予定だが、女子サッカー発展への思いは変わらない。日本女子サッカーのさらなる底上げに必要な施策として、リーグの変革を挙げた。
「外国人選手をたくさん呼んでスペシャルなリーグを作って、選手同士が切磋琢磨する。そのために、全員をプロにして、海外の選手が『このリーグでプレーしたい』と思わせないと。そうすれば、なでしこジャパン個々の能力も上がると思うし、選手たちのステータスを上げないと。女子サッカー選手は国内に多くないし、今のなでしこリーグの枠に収まったままでは、日本の女子サッカーが成長するのは難しいと思う」
再び世界の頂点へ。佐々木氏がの手腕に注目したい。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト