2017.09.04

チームへの意識が変わる…仲山氏がチームビルディングの真意を語る/第2回

サッカー総合情報サイト

インタビュー・文/池田敏明
写真/兼子愼一郎

楽天大学の学長を務め、『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀』の著者でもある仲山進也氏。2016年10月からは「ジャイアントキリングファシリテーター」として横浜F・マリノスとプロ契約し、アカデミーのコーチや選手、スクールのコーチ向けにチームビルディング講座を実施している。「サッカーキング・アカデミー」では過去2回にわたって短期講座を実施しており、10月に3回目の短期講座を実施する予定となっている。
仲山氏は横浜F・マリノスで、どのような講座を実施しているのか。そして、受講しているコーチや選手たちにどのような変化が見られたのか。本人に詳しく話を伺った。

――横浜F・マリノスでは中学生とコーチを対象にチームビルディング講座を実施されていますが、やっていて手応えや面白味を感じる場面はありますか?
仲山進也 スクールのコーチから「夏の合宿に参加する小学生数十名に向けて、自分たちでチームビルディング講座をやりたい」という相談をもらいました。合宿2日目の夜に1時間ほど、「チームの成長法則を体感してもらう目的」でやりたいということだったので、それに適したアクティビティを紹介しました。「お題の難易度の設定がキモなので、事前に実験してみたほうがよいと思う」と伝えると、「コーチだけでやってみました」という動画が送られてきて、その数日後には「スクール生でやってみました」という動画が送られてきました。それを見ながら難易度をチューニングするアイデアをディスカッションするのですが、やはりサッカーコーチは日常的に練習メニューの難易度について考えているので飲み込みが早く、やりとりしていて楽しいです。

――今後の展望として考えていることはありますか?
仲山進也 たとえばスクールコーチが小学生のスクール生に向けてチームビルディングの考え方・やり方を体系的に教えられるようになって、「F・マリノスのスクールだとサッカーに加えてチームビルディングまで学べる。しかも社会に出てから役に立つ」というのが将来的にスクールの強みの一つになればいいな、なんて妄想しています。子どもがスクールで学んだことを「お母さん、チームっていうのは意見を出し合ってすり合わせることが大事で、『何でわからないんだ』と不満に思っていてもダメなんだよ」などと家で話をして、親が「何それ? 深くない?」みたいになったら面白いですよね(笑)。
僕の著書『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』では「チームの成長法則」について解説していて、第一段階の「フォーミング」、つまり、空気を読んで上司の言うことに従いながら仕事をする状態なのですが、その状態にある組織って世の中にすごく多いと思っています。8割ぐらいがそれに当てはまるのではないかな。でも、それはすごくもったいないので、少しでも減ればいいなと思いながらやっています。
サッカーを通してチームができ上がっていくプロセスを体験すれば、その後どこで何をするときにも生かせると思うので、ポータブルスキルとして使っていってほしいと思います。そうすると、「サッカーをやると仕事がデキる人になる」ということになって、サッカー文化が広がったり深まったりするかなと。僕自身、人生で大切なことの大半はサッカーから学ばせてもらったと思っているので、サッカーが日本の文化として浸透するために微力ながら貢献できたら、それは僕にとっての「ジャイアントキリング」だと考えています。

――10月からサッカーキング・アカデミーで、第3回のチームビルディング短期講座を開講することが決まりました。第1回、第2回の様子を振り返っていただけますか。
仲山進也 サッカー関係の仕事をしている人が多いかと思っていたのですが、ビジネス系の方が8割ぐらいでした。経営者の人もいれば、勤めている人、大学の女子サッカー部の監督、サッカースクール主宰者などもいて、かなり多様で盛り上がりました。サッカーキング・アカデミーの講座には主にサッカー好きな方が集まるので、僕の著書をテキストとして使うことにし、「次回までにここからここまで読んできてください。可能な限り漫画の『ジャイアントキリング』も5巻までは読んでください」という進め方をしました。普段のチームビルディング講座では口頭で説明していることも、本を読んできてくれているという前提でやれたので、時間が短い割に進み具合は早かったな、という印象です。

――チームや会社でチームビルディングを取り入れると、どのような変化が期待できるのでしょうか。
仲山進也 だいたいみんな人間関係の悩み、組織の悩みを持っていると思うのですが、変化としては主に二つあります。まず、今までの考え方がそもそも全然違っていた、という人が大勢います。たとえば、「リーダー」と聞くとみんなの上に立って引っ張っていかなければいけない、という思い込みがよくあります。漫画『ジャイアントキリング』の登場人物でいうとキャプテンの村越選手は、そう思い込むあまり、自分で全部やらなくてはと抱え込みすぎて空回りしたり、重くなってイライラしたりしてチームの雰囲気を悪くしてしまっていました。そうではなく、みんなが自分の意見を遠慮せずに出し合える関係性、これを「心理的安全性」といいますが、その空気を作ることがチームを作ることなのだと視点が切り替わると、今までやってきたことはむしろチームビルディングとは反対のことをしていたと気付くことができます。

――もう一つは?
仲山進也 自分が得意なことは自分にとってはできて当たり前なので、他人に対しても自分と同じレベルを期待してしまいがちになります。でも、その相手にとって得意なことでない場合はこちらが期待する成果が上がらず、やる気がないのかとイライラしてしまいやすい。でも、強みは人によって違うのだと分かると、最初から期待値が適正なレベルまで下がるので、ムダに裏切られることがなくなってイライラすることがすごく減る。それが最初に分かりやすく実感してもらいやすい変化です。

――チームや会社でチームビルディングを取り入れる際は、どのようなタイミングで導入するのがよいのでしょうか?
仲山進也 できれば新しくメンバーが集まった最初からがいいです。最初からみんなが自分の意見を言い合える状態で、自分の意見と違う意見は「敵」ではなく、それをすり合わせていくことでチームが作られていく、と理解した上で物事やコミュニケーションを進めていければいいのですが、いわゆるフォーミングの状態では、意見が合わないと負の感情を飲み込んだ状態になりがちです。その状況から意見が言いやすい関係に転換しても、「俺はお前のことが嫌いだ」というのが本音ならハードな展開が必須でしょう。だから負の要素が溜まっていない状態で始めたほうが、前に進みやすいとは思います。フォーミングの状態でずっとやってきた組織でチームビルディングを実践すると、うまく進むほど溜まっていた膿が一気に噴出して一時的に大変な状態になるということが往々にしてあるので、プロジェクト立ち上げ時とか、任意参加の勉強会として取り入れるのがオススメです。

――第3回の短期講座は、どのような方に受講してほしいですか?
仲山進也 これまでサッカーキング・アカデミーには多様な方々が集まりましたが、サッカーという共通の話題があって楽しめるので、次回もいろいろな人に来てもらえたらいいなと思っています。経営者、コーチ、サラリーマン、部下がいない人に参加していただいてもいいでしょう。サッカーキングのスタッフの方も入ってくれるので、サッカー好きだけど普段サッカー業界とは縁なく過ごしている人も、サッカー業界の人との接点ができます。もしかしたら、そこから新しい何かが生まれてくるかもしれない。いろいろな強みを持っている人が集まると盛り上がりやすいので、サッカーを共通言語としてみんなで「まわりの期待以上の成果を挙げるジャイアントキリング」をテーマに盛り上がれたらいいなと思っています。

* * * * *

第1回、第2回のチームビルディング講座の受講生同士、今でも様々なつながりがあり、交流を続けているという。受講することで、「チームを作る」ことの真意を学んでいただき、自身が所属するグループがチームへと成長していく糧にしていただければ幸いだ。受講を検討している方々には、仲山氏の著書である『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀』、そしてその元ネタである漫画『ジャイアントキリング』をあらかじめ読んでおくことをお勧めしたい。講座の内容がより理解しやすくなるはずだ。

“ジャイキリ”を起こせるか…仲山氏が横浜F・マリノスで行うチームビルディングを語る/第1回

楽天株式会社 楽天大学 学長
仲山考材株式会社 代表取締役
横浜マリノス株式会社 ジャイアントキリングファシリテーター
仲山 進也(なかやま しんや)北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
シャープ株式会社を経て、1999年に社員約20名の楽天株式会社へ移籍。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。
2000年に「楽天大学」を設立、楽天市場出店者45,000社の成長パートナーとして活動中。
2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。
2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員となり、2008年には仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティ「次世代ECアイデアジャングル」を主宰している。
2016年から横浜F・マリノスでジャイアントキリングファシリテーターとしてジュニアユースの選手、及びコーチングスタッフへ指導している。※著書:『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――「ジャイアントキリング」の流儀』 など

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