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注目の王者決定戦へ浦和レッズの軌跡/スルガ銀行チャンピオンシップ特集

2017.07.11

2016シーズンのYBCルヴァンカップで13年ぶりの優勝を飾り、スルガ銀行チャンピオンシップ2017への出場権を手にした浦和レッズここでは、タイトル獲得に至るまでの戦いぶりを振り返る。

準々決勝ヴィッセル神戸戦、高木が2試合連続ゴール

 AFCチャンピオンズリーグ出場のためJリーグYBCルヴァンカップ2016グループステージへの出場を免除されていた浦和レッズは、初戦となった準々決勝でヴィッセル神戸と対戦した。

 西川周作や遠藤航らが日本代表に招集されて不在だったが、レッズは選手層の厚さを見せつける。アウェーでの第1戦で躍動したのは、リーグ戦であまり出場機会を得られていない高木俊幸だった。開始わずか6分、武藤雄樹の右からの折り返しを逆サイドで合わせて先制点を奪うと、同点に追い付かれて迎えた41分には相手のパスを奪ってドリブルで攻め上がり、絶妙なラストパスでズラタンの決勝点をアシスト。レッズは高木の活躍で2つのアウェーゴールを奪った上に勝利も手にし、優位に立つことに成功した。

 この試合で梅崎司が左膝前十字靭帯損傷の大ケガを負ってしまい、続く第2戦では前半途中にペトロヴィッチ監督が退席処分になる事態にも見舞われたが、選手たちは冷静にプレーした。39分に高木が相手GKとの1対1を制して2試合連続ゴールを決めると、43分には高木が得たPKを阿部勇樹が落ち着いて成功させ、リードを広げる。後半に入ってもレッズは攻撃の手を緩めず、60分には阿部のパスを受けた高木が鋭いカットインから3点目。84分には関根貴大のクロスを途中出場の李忠成が決め、2戦合計6-1という快勝劇で準決勝進出を果たした。

準決勝の相手はFC東京、興梠がハットトリック

 準決勝はFC東京と対戦。アウェーでの第1戦は序盤から猛攻を仕掛けたものの、ゴールを奪うことができず、後半開始早々に先制点を奪われてしまう。しかし、ベンチ入り停止処分を受けたペトロヴィッチ監督に代わって指揮を執る堀孝史コーチが61分に高木、70分に平川忠亮、72分に興梠慎三を投入すると、これらの交代策がズバリと的中する。77分、興梠が落としたボールを受けた高木がコースを狙ったミドルシュートを突き刺し同点に追い付くと、80分には平川が右サイドを切り裂いてクロスを入れ、武藤が流し込んで逆転に成功。準々決勝に続き、またもや第1戦でアドバンテージを手にした。

 続く第2戦、序盤はFC東京の猛攻を浴びたが、これをしのいで徐々にペースを握ると、24分には高木のスルーパスに走り込んだ興梠がワンタッチで合わせ、先制に成功。興梠は38分にも駒井善成の折り返しから2点目を奪うと、53分には駒井が得たPKを決めてハットトリックを達成する。試合は終盤に1点を返されたが大勢は変わらず、2戦合計5-2で決勝への切符を手にした。

ガンバ大阪を迎えた決勝、途中出場の李が同点弾

 2016年10月15日、決勝の舞台は埼玉スタジアム。対戦相手はこれまでに数々の激戦を演じてきたガンバ大阪。5万1248人の大観衆が見守る中、キックオフの笛が吹かれた。試合は序盤から一進一退の攻防が続き、見応えのある展開となる。しかし17分、相手FWアデミウソンに単独突破を許して先制点を奪われ、36分にはクロスを上げた際に足を痛めた宇賀神友弥が無念の途中交代と、劣勢に立たされる中で前半を終えた。

 0-1で迎えた後半、レッズは駒井、関根の両ウイングバックを起点に猛攻を仕掛けていく。75分には関根のパスから高木が巧妙にコースを狙ったミドルシュートを放つが、相手GKに弾かれてしまう。ここで高木が李と交代すると、直後にドラマが待っていた。柏木陽介が放ったCKを中央で合わせたのは李。ファーストタッチで同点弾を奪い、試合を振り出しに戻してみせた。

 90分間で決着がつかず、試合は延長戦に突入する。その後半終了間際には相手FW呉屋大翔のシュートがポストを直撃し、そのままゴールに吸い込まれそうになる場面もあったが、森脇良太が必死に戻ってクリアし、失点を許さず。120分間の戦いを終え、勝敗の行方はPK戦に委ねられることとなった。

5人目の遠藤がPK成功、13年ぶりのリーグカップ優勝

 PK戦では相手の3人が連続で成功させ、後攻のレッズも阿部、ズラタン、興梠の3人が立て続けに成功。迎えたG大阪の4人目は、延長戦終了間際に惜しいシュートを放っている呉屋。意表を突いてほぼ正面へのシュートを放ったが、西川は一枚上手を行ってコースを読み、右足でブロック。レッズは4人目の李が決めてリードを奪うと、5人目の遠藤もゴール右上に鋭いキックを蹴り込み、ついに決着がついた。

 準々決勝、準決勝では合計4ゴールを挙げて得点王に輝いた高木やハットトリックを達成した興梠、そして決勝では途中投入後のファーストタッチで同点弾を奪った李と、アタッカー陣では試合ごとにヒーローが誕生した。決勝では西川のPKストップが光ったが、準決勝までの4試合では大谷幸輝(現アルビレックス新潟)がゴールマウスを守り、何度もピンチを救った。まさに総力を挙げて手にしたタイトルだった。

 レッズにとってはJリーグヤマザキナビスコカップ時代の03年以来、13年ぶりとなるリーグカップ戦のタイトル獲得となり、また
10回目の記念大会となるスルガ銀行チャンピオンシップ2017への出場権を手にすることとなった。

文=池田敏明 Text by Toshiaki IKEDA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

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