2017.07.11

ミズノブランドアンバサダーにスパイクを届けて日給5万円+α! 「ミズノ」×「an 超バイト」のホペイロバイトに密着

1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校⇒編集プロダクション⇒フットサル専門誌⇒2011年からフリーとなりライター&エディター&カメラマンとして活動。元ROOTS編集長。現在はfutsalEDGE(http://www.futsaledge.jp )などで執筆中。

写真=波多野匠
文=本田好伸

ガッチガチに緊張した5人のアルバイトたち

 アルバイトの概念を根底から覆してしまうような、想像をはるかに超えるスペシャルなバイト体験、「an 超バイト」──。アルバイト求人情報サービス「an」と、「ミズノ」が大々的にコラボして、フットボール界にまたしても斬新かつ刺激的なイベントが生まれた。

 第1回目は「セルジオ越後氏に1日密着。辛口調査スタッフ」、第2回目は「遠藤保仁のフリーキック壁バイト」、そして第3回目の今回は、「選手に新作スパイクをお届け! ホペイロバイト」だ。その内容は、ミズノブランドアンバサダーの岡崎慎司選手、吉田麻也選手、阿部勇樹選手、武藤雄樹選手、金崎夢生選手らが集う、ミズノ新フットボールシューズ「レビュラ」のお披露目イベントに“ホペイロ”バイトとして潜入する、というもの。

 日本人初のプロ・ホペイロ、松浦紀典さんから、日本では「用具係」と訳されるこの仕事の極意を学び取り、選手に「レビュラ」を手渡しで届けるという重要任務を完遂する、日常では決して味わえないアルバイトだ。今回、約500倍という当選倍率の中から選ばれた男女5名のアルバイトたちは、“超”ガッチガチに緊張した面持ちで、会場のZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA(千葉県千葉市)に姿を現した。

 まずは5人のアルバイトを紹介しよう。写真左から順番に、15歳で高校生の大島さん、19歳で大学生の斎藤さん、15歳で高校生の山下さん、18歳で大学生の高野さん、20歳で大学生の石村さん。大島さん、斎藤さん、高野さんの3人が「吉田麻也選手が好きです!」と、日本代表CBは大の人気っぷり。でも、「遠藤選手が好きで……」(山下さん)、「僕は中村俊輔選手が……」(石村さん)って、あれ? この企画、大丈夫かな……と思ったのは最初だけ。みなさん、この企画に応募するにあたって、サッカーやホペイロへの深い愛と、止まることのない情熱を応募理由に綴ってくれたという。実は、彼らにとって、松浦さんも“超”が付くほど憧れの人。松浦さんが日本に広めたホペイロという仕事は、かくも若者に、浸透しているのだった。

 そして松浦さんとご対面。アルバイトたちのあまりの緊張っぷりに「ちょっと緊張しすぎだよ。今日、みなさんが過ごす3時間くらいは、いつもとは全く違うものだと思うから、絶対に後悔のないように」とアドバイス。そして早速、「ホペイロってどんな仕事だと思う?」というところから、アルバイトはスタートした。

アルバイトの顔が、ホペイロの顔になっていく

「ホペイロの仕事はいろいろあるけど、大切なのは選手が100パーセントの力を出せるように準備すること。僕たちはピッチで試合をするわけではないけど、選手と同じように戦う気持ちが大切。今日も試合だと思って、気持ちを込めてやってくださいね」。まずは、松浦さんからホペイロの心得が伝授された。

 最初の仕事は、選手が着用するウェア一式の用意から。松浦さんが、秘技「手アイロン」を使ったウェア、ソックス、インナー、パンツのたたみ方、整え方を丁寧に伝えると、アルバイトたちも一人ずつ実践していく。「たかがウェアをたたむ作業。でもその1枚に魂を込めれば、それはきっと、選手に伝わる」。松浦さんはそうやって、約25年間この仕事を続けてきた。「自分の仕事に自信がなければ、それは選手にも伝わってしまう。これでもう完璧と思うまで、何度でもやり直してみよう」と、仕事の真髄を伝えていた。



 選手が手ぶらでスタジアムに来て手ぶらで帰るために、ホペイロとは、選手が練習や試合で使う用具はもちろん、それに付随するあらゆるものを管理する。だから絶対に忘れ物をしてはいけないのだという。「ホペイロの準備のせいで試合ができなかったらどうなる? だからミスをしないためには、確認に確認を重ねることが大切」。松浦さんは、いつだって、不安な気持ちを持っているという。「でも不安を安心に変えるものこそが確認作業。自分ではもう大丈夫だと思っても、それでもまだ、確認する」。そうやって松浦さんは、これまでに一度も忘れ物のミスや、選手に怒られるようなミスをしたことがないという。チーム付きのホペイロの場合、30人以上の選手とスタッフすべての用具を管理するため、その人数は50を超えることも。まさに、職人技だ。

 アルバイトたちは、そんな“気遣いの仕事”ホペイロの真の意味を感じながら、時間が経つにつれて、緊張から真剣へと、その表情を変えていった。

 続いて、スパイクの手入れ。今回は、イベント用に用意された新品の「レビュラ」を箱から取り出し、紐を通して選手がすぐに履ける状態へと準備する作業を任された。そしてここで、松浦さんがアルバイトそれぞれに、担当選手を指名していく。大人気、吉田選手は誰の手に……?

 大島さん→武藤選手
 斎藤さん→岡崎選手
 山下さん→吉田選手
 高野さん→阿部選手
 石村さん→金崎選手

 “マヤ推し”の大島さんと斎藤さんの表情が一瞬、曇る。これはイベントの最後に明かされたことだが、松浦さんはあえて、吉田選手が好きなアルバイトを担当にしなかったという。誰かに入れ込むのではなく、全員に平等の気持ちを持って、魂を込めて仕事をする。そういう心得を伝えたかったようだ。

 そんな気持ちを知ってか知らずか、アルバイトたちは、紐通しに没頭していく。この作業がまた、実に奥深い。「結局、結べればいいんだろう」なんていうことではなく、上から通すのか、下から通すのか、紐の長さは左右でミリ単位で揃っているかどうか……選手によっては、その僅かな違いだけで試合に集中できなくなることがあるという。松浦さんからは、「武藤選手と吉田選手と金崎選手はこの通し方、岡崎選手と阿部選手ならこの通し方」と、選手の特徴に応じた細かなアドバイスが送られていた。

 作業は続く。シューッ、シューッ、シューッ……シューッ、シューッ、シューッ……。作業していたロッカールームには、紐を通す音しか聞こえない。シューッ、シューッ、シューッ……シューッ、シューッ、シューッ……。地味だ、地味すぎる。この絵面、大丈夫か。そんな心配をよそに、彼らの集中力は研ぎ澄まされていく。

 それを見ていた松浦さんの表情が、わずかに緩む。ひとしきり作業を終えて、松浦さんが口を開く。「周りに人がいても、全く気づかないくらい集中していたよね。これはすごく大事なこと」。ホペイロという仕事の職人性を、改めて感じた瞬間だった。気がつけばみんな、ホペイロだった。

夢のような瞬間。「レビュラ」はアルバイトから選手の足へ

 アルバイトたちは、ほどよい緊張感と、高まる高揚感を覚えながら、いよいよその時を迎えようとしていた。選手とのご対面──。「どうしよう、どうしよう」。大島さんと斎藤さんが目を合わせてキャッキャしている。が、選手がロッカールームに入って来た瞬間……固まった。すかさず、吉田選手が場を和ます。「緊張しすぎやろ!」。まあでも、大島さんと斎藤さんの気持ちも分かる。ロッカールームの広さからしても、このあまりにも豪華な5対5は、密度が高すぎる。合コンでいきなりこの距離感だったら、モジモジしてしまうだろう。

 借りて来た猫みたいになった5人と、(あと実は結構、緊張した面持ちの)松浦さんの正面に並ぶ選手たち。アルバイトがまずは、自己紹介をしていく。「埼玉から来た斎藤です。吉田選手が好きです」。目の前には、岡崎選手。「おい、どういうことや!」。すかさずツッコミが入る。この展開に、松浦さんもしてやったりの表情。選手の心理を司るプロホペイロは、最初からこの流れを想定していた。「これを履いて、いいプレーをしてください」(高野さん)と、一気に和らいだ空気の中で、ついに、アルバイトから選手に、スパイクが手渡された。





 そうそうたる顔ぶれの選手たちが、ベンチに座り、スパイクに足を入れていく。和んだ空気がまた一瞬、ピリッと張り詰める。どんな時でも、選手にとってスパイクとは、紛れもない武器だ。アルバイトとはいえ、「ホペイロ」と名乗るだけの仕事をしているのか。アルバイトが固唾を飲んで見守る。



 そして──。「いいね! 完璧!」。岡崎選手が親指を突き立てると、その場はまた、和やかな雰囲気に戻っていった。

 そしてなんと、全員のサイン入りの「レビュラ」が、選手からプレゼントされる。な、なんていいバイトだ。このバイトの底知れぬ魅力を味わった瞬間だった。アルバイトは担当選手たちと記念撮影をすませ、斎藤さんは、念願の吉田選手ともちゃかりツーショットを撮らせてもらい、夢のような対面の時間は終わりを迎えた。


スパイクを磨き、人としても磨く、チームホペイロ

 アルバイトたちは、ミズノ新フットボールシューズ「レビュラ」発表会の会場へと移動する。国内外から数多くのメディアや関係者が出席し、華やかな舞台がセッティングされている。そこに登場したのはもちろん、つい先ほど、自分が用意したウェアと、手渡ししたスパイクを身に付けた選手たち。イベントの模様はツイッターでもライブ配信され、全世界の人たちが見守っている。アルバイトの表情は、どこか誇らしげなように見えた。

 イベントを終え、再びロッカールームに戻って来た彼らは、松浦さんの前で今日の感想を伝えていった。

「たくさんの人に見られている中で、それを用意したのが自分だというのが嬉しかったです。ホペイロになりたいと思いました」。大島さんは、女子サッカーに身を投じてFWでプレーしている。でも以前、松浦さんの仕事をメディアを通して知り、ホペイロに憧れはじめたという。「最初は実感がなくて、本当に夢のようでした。松浦さんの言葉を聞いて、日常生活にも役立てていきたいです。本当にいい企画で、きっかけをもらえました。まずは部活と勉強を精一杯やって、ホペイロになれるように頑張りたいと思います」

「イベントに立っている選手の姿を見て、本当の意味で少しだけ、選手に近づけた気がしました」。斎藤さんは、小学校からサッカーを続け、最近DFからGKへとポジションチェンジして、大学サッカーからなでしこリーグの舞台を目指している。「今日、学んだことを自分の道具にも生かしていきたいです。自分のためだとなかなか力が入らないけど、人のためにと考えると、自分の力をその人のために使いたいと思えました。岡崎選手がスパイクを履いて、『ありがとう、相棒』って言ってくれたことが本当に嬉しかったです」

「吉田選手が、自分の用意したスパイクを履いてくれたことが、すごく嬉しかったです。ホペイロの仕事が少しだけ分かった気がしました」。山下さんは、松浦さんの仕事ぶりを知り、その“心遣い”を身を持って味わった。「自分が一度ミスをして注意されて、確認したつもりでもできていなくて。もっと自信を持ってできたと言えるまでやらないとダメなんだと分かりました。そういう確認作業は、日頃からちゃんと意識していきたいです」

「ホペイロの仕事は、選手がプレーしやすい環境を作ることが大切だと知りました」。高野さんは、小学生の頃からホペイロの仕事に憧れ、つい最近、海外にホペイロ留学するための情報収集をしている最中に、今回の企画を知った。「応募するしかないと思った」。松浦さんに何度も質問し、紐通しも、ミスのないように徹する、丁寧な仕事ぶりが印象的だった。「生半可な気持ちでは務まらないと感じましたが、でもやってみたいと改めて思いました。松浦さんの妥協しない姿勢が、すごく印象に残りました」。

「自分がホペイロになっていることを想像しながらイベントで選手を見ていました。人のためにやることが、自分にもこんなに嬉しいものとして返ってくることに気づきました」。石村さんは中学時代にJクラブの下部組織でプレーし、試合の運営などにも携わってきた。「選手を目の前で見る中で、プレーとは違う形で関わりたいと思っていた時に、ホペイロの仕事に興味を持ちました。この刺激的な経験ができたことで、ホペイロの仕事やサッカーに携わる仕事が近くなった感覚があります。この先、もっといろんなことにチャレンジしたいです」

 濃密すぎる3時間を終え、彼ら一人ひとりが、決して小さくはない“きっかけ”を手にしたようだった。何よりも今回、松浦さんのアドバイスと、実際の仕事から学んだことは、普段の生活に戻っても心に刻まれていくことばかりだったように思う。「ホペイロは、選手と信頼でつながれる貴重な仕事。でも仕事で信頼されなければ、選手から信頼されることはない。その信頼を手にするためにはやっぱり、ミスをしないこと。だからこそ、確認が大事なんです」。何度も何度も伝えられた、本当に大事なことだった。

 そしてもう一つ、大切なこと。「僕たちサポートスタッフは人のために全力でやるけれど、それが自分のためにもなるということ」。この心掛けこそが、ホペイロにとって、いや、どんな仕事でも大切なことなのだろう。


 選手に感謝し、用具に感謝しながらホペイロを続けてきた松浦さんは、自身の仕事を通して、感謝や思いやり、気遣いの気持ちを、アルバイトに伝え続けた。「an 超バイト、実は本当に自分が応募したかった。それくらい、貴重な体験ができるもの。ぜひみんなも、この経験を人生の役に立ててほしい」。

 最後に、松浦さんから、自身がこだわり抜いてミズノと共同開発したシューズケアセット「p.(ピードット)」がプレゼントされた。仕事のノウハウが書かれた説明書に、松浦さんは、アルバイトたちの目の前で、サインとともに「磨く!!」の文字を記していく。「スパイクだけではなく、人としても磨いていってほしい。みんなはもう、“チームホペイロ”の仲間。本当に一体感のある仕事ができたと思う。また、どこかで」。

 アルバイトを超越した今回の「an 超バイト」は、若者に新たな可能性を伝えつつ、幕を閉じた。

「an 超バイト」のオフィシャルレポートは特設サイトで公開中!

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