2017.02.20

メンタリスタ代表、大儀見浩介氏が語る/後編…メンタルはどんな方でも強くしていける

サッカー総合情報サイト

インタビュー・文=池田敏明
写真=兼子槇一郎

全世界が注目する国際大会の決勝、失敗すれば敗北が決定してしまう、という張り詰めた局面。そこで成功させられるかどうかが、一流とそうでない選手を分ける。必要なのはメンタルの強さ――。何事にも動じない強靭な精神力を身に着けるために、メンタルを鍛える。

「メンタルトレーニング」と聞くと、そんな情景やトップアスリートのみが行う難しいトレーニングを想像する方が多いのではないだろうか。実際、現在ではあらゆる分野のトップアスリートがメンタルトレーニングの専門家に師事し、確かな結果を残している。今やスポーツの世界において、メンタルトレーニングはなくてはならない分野だ。

しかし、メンタルトレーニングで効果を得られるのはトップアスリートだけではない。株式会社メンタリスタの代表取締役を務める大儀見浩介氏は、これまでに数々のスポーツの現場に加え、教育やビジネスの現場でも指導を行い、成果を上げている。

サッカーに明け暮れた自身の少年時代を「メンタルが弱い選手だった」と振り返る大儀見氏が、メンタルトレーニングとはどんなものなのか、どんな効果があるのかを語ってくれた。

――スポーツ以外でメンタルトレーニングを生かせる分野はありますか?
大儀見浩介 可能性は大いにあります。教育界、ビジネス界、芸能界は、スポーツと同じものがハマりますね。僕自身、教育メンタルトレーニングという形で中学や高校で指導していますし、ビジネスパーソン向けの講習会も行っています。最近では芸能人、特にステージパフォーマーの方からの問い合わせも増えています。

――トレーニングをすれば、どんな人でもメンタルを改善できるのでしょうか。
大儀見浩介 どんな方でも強くしていけると思います。メンタルトレーニングの目的は3つあって、一つ目は実力発揮。持っている力を出せるようにすること。二つ目は上達の促進、質の向上。仕事、作業、学習、練習の質を上げていく。より集中し、自分で自分のやる気を高めて、イメージや心理的テクニックを使って質を上げること。三つ目は人間的成長。人間の心は死ぬまで成長しますので、自分のポジティブ感情や幸福感を高め、やりがい、生きがいに繋げていきます。

――サッカーの試合を見ていて、各選手のメンタルが強いかどうかは分かるものですか?
大儀見浩介 もちろん。僕は常にメンタルがどんな状態かを見ています。まず見るのは表情。ミスをした後のレスポンスやトラップとパスの選択、決断も見ますし、オフ・ザ・ボールでどんなアクションを起こしているかで積極性、決断力、判断力の強さも分かります。間の使い方を見れば自己コントロール能力、リラックス能力、集中力も推し量れますし、失点した時や苦しい時間帯のアクションを見ていれば、忍耐力、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲も推し量れます。

――メンタルコントロールがうまくできているな、と思う選手は?
大儀見浩介 最近だと長友佑都選手ですね。クリスティアーノ・ロナウド選手もメンタルコントロールのテクニックを持っていますが、まだまだ自分の闘争心や集中力をちゃんと扱いきれていません。心理的競技能力に関しては、もっとパフォーマンスが上げられると思います。

――ご自身の中学生・高校生の頃は根性論の時代だったということですが、そういった鍛え方は、メンタルトレーニングの見地から見てどうなんでしょうか。
大儀見浩介 実は、根性も科学的に研究されています。勝てる選手、伸びる選手と勝てない選手、伸びない選手の根性を比較検討しているんですが、前者の考え方は、もっと強くなりたい、うまくなりたいという、極めて能動的な気持ちが強く、それに対して後者の根性は、きつい思いをさせられる、追い込まれる、走らされるという、極めて受動的な感覚が強いことが分かったんです。前者は内発的動機付け、後者は外発的動機付けであり、内発的動機付けを育てるように導けばいいということなんです。最初はやらされる状況でも構わないけど、自分で進んで取り組む方向へと少しずつ変えていかなければなりません。そのためには自分で目標を設定することが大事なので、目標設定のトレーニングをしていくことが、理想的な根性を育てることになります。

――今回、サッカーキング・アカデミーでセミナーを開催していただきますが、受講する方々には、具体的にどのような変化が起こるのでしょうか。
大儀見浩介 すぐに変わることは、情報としての「やる気とは何か」、「自信とは何か」、「根性とは何か」には気付けると思います。モチベーションや意欲、動機、やる気、自信などにフォーカスしようと思っているので、それが何かを知ることができ、こうすれば伸びる、というのが理論として分かると思います。そしてそこから「あの時に浮き沈みが激しかったのはこういうことだったのか」、とか「三日坊主なのはこのせいか」とかを、科学的根拠をもとに自己分析できるようになると思います。そうすれば自分で自分のプランを立てていけるようになるでしょうし、それによって着眼点や結果の分析の仕方も変わってくると思います。

――自分以外の人間についても、理解できることはあるのでしょうか。
大儀見浩介 例えば指導者の方が受講されれば、選手を見る目が変わってくるかもしれません。選手たちがなぜ“やらされてしまう”のか、なぜ強い相手と対戦するとビビるのか。調子の良し悪しが生じるのはなぜか。それらを発見するきっかけになると思います。自己決定力がある選手は、ミスを「気づき、発見、成長、進化、グレードアップ」と捉えられます。自己決定力のない選手は「いけないこと、ダメなこと、低評価の情報、怒られる情報」と捉えているので、ミスをしそうになったら安全パイな選択をしたり、ミスを他人のせいにしたり、隠そうとしたりしやすくなります。ミスを肯定的に捉えられれば常にチャレンジできるので、ここ一番で強いし、伸び続けられるわけです。そういうことに気づけると思います。

――今回のセミナーでは、サッカーの指導者の方が多く受講されると思います。
大儀見浩介 講義内容もサッカーにフォーカスしようと思っています。ミスをいけないこと、ダメなこと、怒られることと捉えている選手は、一度ミスをするとそのミスを引きずりやすくなるんですね。そうなると、考えられない形でパスミスをしたり、味方と逆モーションになったりといったプレーが出てきます。シュートも打たなくなります。また、気合と根性だけで乗り切ろうという古典的な考えを持つと、無意味につっかけたり、シュートがGKの正面を突いたり、入るわけがない距離や位置から思い切りシュートを打ったり、というプレーが多くなります。しかし、自分で探れる選手や自己決定力のある選手は、オフ・ザ・ボールでおとりの動きをしたり、駆け引きをしたり、パスにメッセージを込めたりといった、積極的なプレーが出てくるわけです。そういう部分も、指導者の方や参加された方にお伝えしたいですね。「どうしてあいつはあんなミスをするんだろう」ということの原因が分かり、モヤモヤしていたものがスッキリできるんじゃないかな、と思います。

――今回のセミナーは、どのような方に受講していただきたいですか?
大儀見浩介 ポジティブな方、ネガティブな方、ミスを怖がってしまう方、怖がらない方、どんな方でも。やる気が上がらない人なら、どうすればやる気を高められるか。集中にムラがある人なら、どうすれば集中力を持続できるかが分かると思います。心理的競技能力が何なのかを理解できれば、こういう理由がある、こういう動機付をすればいい、これが足りない、といったものを探れるようになります。心理面の競技力をどのように上げていくかを、参加される方々に探っていただきたいと思います。

――最後に、受講を検討されている方々へのメッセージをお願いします。
大儀見浩介 心はトレーニングで強くできますし、一人ひとり違うものです。自分で心を育て、トレーニングしていけるような声掛けやアプローチを、指導者の皆さんにぜひ実践していただきたいですし、それに触れていただきたいですね。

「心はトレーニングで強くなる」。その言葉に感銘を受けてメンタルトレーナーの道を志し、現在は様々な現場で指導を行っている大儀見氏。身体能力が一人ひとり違うように、心の様子も人によって違う。ネガティブな人間はポジティブに、ポジティブな人間はもっとポジティブになる。そのためのヒントを、ぜひともこのセミナーでつかんでほしい。

メンタリスタ代表、大儀見浩介氏が語る/前編…メンタルトレーニングで心をプラスにする

株式会社メンタリスタ
代表取締役 大儀見浩介

メンタルトレーニングコーチ。株式会社メンタリスタ代表取締役。
サッカー選手として、東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)時代に全国優勝を経験。高校ではサッカー部主将として鈴木啓太(浦和レッズ/元日本代表)とプレーした。東海大学体育学部・高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育メンタルトレーニング、受験対策、ビジネスメンタルなど、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。静岡市教育委員会スポーツ振興審議会委員。東海大学付属翔洋高等学校中等部非常勤講師、ヒューマンアカデミー・スポーツ心理学担当講師、帝京平成大学非常勤講師、ブラインドサッカー日本代表メンタルトレーニングコーチ。静岡県メンタルトレーニング応用スポーツ心理学研究会責任者。
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