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【レポート】「消化試合は1試合もない」…サンフレッチェ広島の前社長 小谷野薫氏が語るJクラブ経営

2016.09.16

 9月9日(金)に東京都八丁堀のFootball★Plazaで、サッカーキング・アカデミー 特別セミナー『Jクラブ経営の課題と展望』が開催され、ビジネスマンや学生を中心に約40人が参加した。

 講師を務めるのは、株式会社エディオン 常務取締役 管理本部長の小谷野薫氏。大学卒業後、1985年に野村総合研究所に入社し、1996年には企業財務調査室長に就任。その後、日興シティグループ証券株式会社、クレディ・スイス証券株式会社のマネージング・ディレクター、日本総合アドバイザリー事務所 代表を経て、2012年4月から株式会社サンフレッチェ広島の経営に参画する。常務取締役、代表取締役社長を歴任。2015年6月からは株式会社エディオンの取締役となり、現在は常務取締役を務めている。

「サンフレッチェの経営規模はJ1で真ん中より少し下くらい。まずは、年間勝ち点40を確保して、いかに降格を回避するかを考えていました」。2015年まで社長を務めたサンフレッチェ広島について小谷野氏はこう語った。昇降格制度があるJリーグにおいて、降格は経営に大きな影響を与えてしまう。クラブを守るために、経営者はさまざまな視点からクラブ運営を行っている。

「リーグ終盤に優勝も降格もない中位にいると、外から見て“消化試合”になってしまいます。しかしスポンサー活動の視点から見れば、終盤戦は来季に向けてとても重要です」。スポンサー獲得や年間チケット販売への影響が大きい終盤戦は、格好のアピールの機会なのである。限られた試合の中で工夫をこらし、企業やお客様にクラブの魅力を伝えている。

 また先日発表された、Jリーグとパフォーム社の提携についても小谷野氏はこのように言及した。「スポンサー収入、入場料収入、グッズ販売収入。このバランスを計ることが経営者がクラブを見る上で大切です。パフォーム社との提携で優勝賞金や配分金がぐっと上がることが予測されています。しかし、それをアテにクラブ経営を行ってはいけません」。安定した経営を続けるためには、不確定な収入を勘案することは出来ないのだ。

 セミナーの最後には、Jクラブ経営者に求められる意識について話した。「様々なものからインプットすることは大切ですが、最後は自分で決断すること。それでも判断に迷った場合には、“ブランド価値”を考えて判断しています。私は現在エディオンで働いていますが、経営判断に迷った時は“これはエディオンのブランド価値にどう影響があるか”を考えています。この考え方はサンフレッチェでの経験で得たものだと思いますし、クラブには今でも感謝しています」。

 講義終了後の質疑応答では参加者から多くの質問が寄せられ、意見交換を行った。小谷野氏はサンフレッチェ時代の経験を述べながら、丁寧に答えていた。参加者からは「現場で経験からさまざまな視点でクラブ経営の話が聞けて良かった」、「社長時代のリアルな話が聞けて大変参考になった」といった感想も挙げられた。

サッカーキング・アカデミー

By サッカーキング編集部

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