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【レポート】いわきFCが示す、スポーツビジネスの新基準

2016.09.01

 8月25日(木)に東京都八丁堀のFootball★Plazaで、サッカーキング・アカデミーいわきFC特別セミナー『スポーツの産業化を目指す「いわきグローリープロジェクト」』が開催され、学生やビジネスマンを中心に約30人が参加した。

 講師を務めるのは、株式会社いわきスポーツクラブ代表取締役 大倉智氏。大学卒業後、日立製作所で社員選手を経験した後、プロ選手に転向。柏レイソル、ジュビロ磐田、ブランメル仙台(現ベガルタ仙台)、ジャクソンビル・サイクロンズ(アメリカ)を渡り歩き、1998年に現役を引退。2000年にはヨハン・クライフ国際大学(バルセロナ)へ入学し、スポーツマーケティングを学ぶ。その後、セレッソ大阪 チーム統括ディレクターを経て、株式会社湘南ベルマーレ 強化部長に就任。以降11年間にわたり湘南ベルマーレの再建を行い、2015年には代表取締役社長を務める。そして2016年からは株式会社いわきスポーツクラブの代表取締役として新たな挑戦を続けている。

「湘南で経営者としてJリーグに携わっているうちに、スポーツビジネスとは何だろうと思い始めました。リーグやクラブの体質にも疑問を持ち続けていて、そんな時にドームの安田と再会したんです」。いわきFC誕生の経緯を大倉氏はこう語る。ドーム社の企業理念である“スポーツを通じて社会を豊かにする”が、大倉氏の考えるスポーツチームのあり方と合致し、いわきFCが誕生した。

“いわき市を東北一の都市にする”これがいわきFCのビジョンである。「いわきFCは、社会的価値を創造し、産業としてスポーツを活性化させたいと思っています」と大倉氏は力強く語る。現在は福島県2部リーグを戦ういわきFC。将来的にはいわき市にサッカー専用スタジアムを建設する計画だ。街の中心部に複合商業施設としてのスタジアムを建設することで、スポーツ以外でも産業の活性化を計る。そのスタジアムビジネスの前哨戦として、現在はクラブハウスが入る建物にカフェ(レストラン)やショップを展開するなど、商業施設としての整備を進めている。

「スポーツを産業として成り立たせることで、次世代への投資も可能になります。地域の子供たちにクラブの施設を解放して、スポーツに触れる機会を多く提供することも我々の役割でもあります」。スライドの資料で、アメリカの高校や大学のスポーツ施設と日本のそれとを比較しながら、産業化のサイクルと展望を説明した。

 講義の最後には、大倉氏自身が考える哲学を語った。「どんな試合でも勝負は50%の世界。勝つ確率を上げることに集中すると共に、負け方が大事であると考えています。見に来てよかったと思ってもらうこと、また来たいと思わせること。これが産業として成立する上で大切だと考えています」。

 参加者からは、「いわきFCの取り組みと大倉さんの想いがマッチしていて、今後どのようになるか楽しみになりました」。「スポーツの価値を考える良い機会になりました」。「実際に経営している方の話を直接聞くことができて勉強になりました」などの感想が挙がった。

 講義終了後には懇親会が行われ、大倉氏と参加者とで交流を深めた。懇親会終了時間まで大倉氏への質問の列が途切れることなく、和やかな雰囲気の中セミナーは幕を閉じた。

By サッカーキング編集部

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