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【レポート】経営者が「名古屋グランパスでひとつになる幸せ」実現に向けた仕掛けを語る

2016.07.15

 7月6日(水)に名古屋市栄駅にほど近い、明治安田生命名古屋ビルにてサッカーキング・アカデミー特別セミナー「名古屋グランパスでひとつになる幸せ」が開催された。現役のJリーグクラブの経営者が登壇するこのシリーズの中でも、今回は過去最多の申込があり、急遽座席数を増やしての実施となった。150名近くの参加者は、皆食い入るようにスライド資料を見つめ、講師の話に耳を傾けていた。

 今回の講師は株式会社名古屋グランパスエイトの取締役専務を務める中林尚夫氏。1982年にトヨタ自動車に入社すると、インドネシアなどで海外駐在を経験。海外企画、海外営業・マーケティングの部署を歴任した。その後2010年には韓国トヨタ社長兼CEOに就任し、「完全アウェイ」と同氏が語る厳しい状況の中で、カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど韓国自動車市場におけるトヨタブランドの拡大に尽力した。2014年の名古屋グランパス着任以降は、これまでの自動車のマーケティングで培った経験を遺憾なく発揮している。

 クラブに着任した当初、中林専務は改革の必要性をひしひしと感じていたという。その状況を表現するのに「もし私達がうどん屋さんだったら」という比喩を使い、麺の太さやつゆの濃さなど、「本来ならどんなものが求められるのか、徹底的にマーケットを調べるはずなのです。ただ、名古屋グランパスにはそれが少し足りなかったのかもしれません」と述べた。もう一度名古屋、愛知という地域、そこに住む人々について考えようという、原点に立ち返ったのだという。

 ではチームの商品とは何なのか。チケットなのか、グッズなのか……。そうではなく、総合力自体が商品であるということが、スポーツビジネス独特のものであると述べた。「ひとつになる幸せ」を実現するために、試合に行く朝から、電車の中でも、そして試合中はもちろん、家に帰るまでの「経験」を提供する。一番大切なのはゲームであるとしながらも、マッチデーエクスペリエンスを高める施策を行っているのだ。

 セミナーの冒頭で「Q&Aのセッションではお答えできることは出来るだけお答えしたい」と語ったとおり、質疑応答の場面で中林氏はひとつひとつ丁寧に質問に答えていた。最後にスポーツビジネスを学ぶ学生に向けて「スポーツマーケティングというのは特別なものではなく、普通のビジネスと同じです。ただ、商品が自分で決められないことが一番の違いです。想像していなかったようなポテンシャルを発揮する。それがスポーツの凄さなのです」とスポーツの素晴らしさを訴え、セミナーは幕を閉じた。

サッカーキング・アカデミー

By サッカーキング編集部

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