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Fリーグ2014/2015プレーオフファイナル第2戦……リーグ最高峰の死闘の末に名古屋が8連覇達成

2015.03.02

大阪との死闘を制した名古屋が前人未到のリーグ8連覇を達成した [写真]=本田好伸

 3月1日、Fリーグ2014/2015 powered by inゼリーのプレーオフファイナルラウンド第2戦が行われ、シュライカー大阪との決戦を制した名古屋オーシャンズがリーグ開幕からとなる前人未到の8連覇を達成した。

 前日の試合で両者は引き分け、リーグ優勝の行方はこの第2戦に持ち越された。レギュレーションによると、名古屋は引き分けか勝利で優勝、大阪は勝利した上で延長戦を戦いそこで上回って初めて優勝という条件の中で戦いが繰り広げられた。

 疑いようもなく、今シーズン最高のゲームだったと言えるだろう。優勝が懸かっていることで選手のモチベーションは最大となり、両者の持ち味が存分に発揮され、かつ互いに一歩も譲らない点の取り合いは、会場のボルテージをマックスに引き上げるような内容だった。その中でも、プレーオフで存在感を示し続けた大阪の強さが際立った。

 2分に先制したのは名古屋だったが、大阪は4分からGK宮竹晴紀が攻め上がるパワープレーでボールをキープすると、5分に佐藤亮のゴールで同点に追い付く。続く9分、CKからパスを受けたヴィニシウスが決めて勝ち越しに成功。さらに10分には、相手DFの裏に抜け出した加藤未渚実がGKとの一対一を沈めて2点のリードを奪った。

 しかし名古屋も黙ってはいない。17分にラファエル・サカイが中央からコースを突くシュートを決めると、18分にはボールを持つGKへの猛プレスからボールを奪取し、ゴールへと流し込んだ。互いに譲らぬ試合は同点のまま後半勝負へと突入した。

 22分にヴィニシウスのゴールで再度勝ち越しに成功した大阪だったが、名古屋も26分にエース森岡薫のゴールで追い付く。しかし28分、左サイドでパスを受けた佐藤が、角度のない位置からGKのニアを抜くシュートで大阪がまたもやリード。そして29分、プレーオフで躍動を続けてきた田村友貴が、右サイドを駆け上がった森秀太からのパスを合わせ、大阪はリードを2点に広げた。

 試合は10分を残して4-6で大阪が2点を先行する、まさに手に汗握る攻防が繰り広げられていたが、ここからリーグを7年連続で制してきた王者のプライドが大阪を襲う。32分に森岡がミドルシュートを突き刺し1点を返すと、36分からペドロ・コスタをGKと交代してのパワープレーを開始。幾度となくゴール前のチャンスを作り出し、鬼気迫る攻撃を見せていた。それでもGK宮竹を中心にDF陣も奮起し、大阪が猛攻を凌ぎ切ってみせた。スコアは5-6。大阪は最終決戦となる「延長戦」の切符をもぎ取った。

 互いに満身創痍の状態の中、5分ハーフで試合を決する延長戦へと突入。両者の間には、一つだけ決定的な違いがあった。それはファウルカウント。スコアのみリセットされる「延長戦」だったため、タイムアウトやファウルカウントは継続され、名古屋の3つに対して大阪はすでに5つのファウルを冒していた。それが試合を大きく決定付けた。

 延長前半が始まって間もなく、吉川智貴の仕掛けを阻止した大阪がエリア付近でファウル。第2PKマークよりもゴールに近い位置だったため、そこからの壁なしFKが名古屋に与えられ、森岡が「コースは決めていた」とニアサイドへシュートを突き刺した。後がなくなった大阪は、GKを稲田瑞穂と交代してのパワープレーで名古屋陣内へ攻め込んでいくが、なかなかゴールを奪えない。すると延長後半、残り3分を切ったところで、名古屋のGK篠田龍馬がキャッチしたボールをパントキック。この“パワープレー返し”が決まって勝負あり。名古屋が延長戦を2-0で制し、8年連続8度目のリーグ優勝を達成した。

 大阪の木暮賢一郎監督は、「(ファイナルで1勝のアドバンテージが与えられる)リーグ1位になれなかったところがすべて」と悔しさをにじませた一方で、「1年間で本当にいいチームになった。リーグでは名古屋との距離はあると思うが、このプレーオフでは彼らを上回ったと思う」と胸を張った。

 名古屋のビクトル・アコスタ監督も「大阪は素晴らしいプレーオフをした」と賛辞を送った。それとともに、「大阪はすべてを尽くし、私たちも限界までいった試合だったが、最後はハートの部分、絶対に負けられないという気持ちで勝ち切ってくれた」と、シーズンを戦い抜いた選手への労いの言葉を語った。

 4年連続得点王、そして2年連続4回目のMVPを獲得した森岡は、「前日に引き分けて、正直この夜は眠れなかったし、(今シーズンは)今日の試合が一番苦しかった」とプレーオフの死闘を振り返る。それだけ選手たちはすべてを出し尽くし、大阪が名古屋を追い込んだ。それでも、王者は王者たるゆえんを示し、8連覇という偉業を成し遂げた。

 そして森岡はこうも続ける。「でも、こういうゲームがあるからフットサルはやめられない」。それは見る者も同じ気持ちだろう。目撃した誰もが心を動かされるであろう試合があるからこそ、そこにフットサルの大きな魅力を感じ、Fリーグの会場へと足を運ぶ。それは記者自身も同じだ。こういう試合に触れ、それを伝えたいという思いこそ、フットサル界に身を置いている理由に他ならない。

Fリーグ2014/2015 powered by inゼリー プレーオフファイナルラウンド第2戦
開催日:2015年3月1日
会場:テバオーシャンアリーナ/愛知県

[試合結果]
13:00 名古屋オーシャンズ 5-6 シュライカー大阪

※延長戦
名古屋オーシャンズ 2-0 シュライカー大阪
※合計勝点が同点につき、10分間の延長戦を実施

[個人表彰]
●最優秀選手賞
森岡薫(名古屋オーシャンズ) 4回目
●ベストファイブ
GK イゴール(ペスカドーラ町田) 4回目
FP 星翔太(バルドラール浦安) 初
FP 森岡薫(名古屋オーシャンズ) 4回目
FP ペドロ・コスタ(名古屋オーシャンズ) 2回目
FP 小曽戸允哉(バサジィ大分) 2回目
FP 仁部屋和弘(バサジィ大分) 2回目
※得票数が同数の選手がいたため、6名の選手が受賞

写真・文◆本田好伸


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