福岡の井原新監督は新主将にチーム生え抜きの城後を指名した
アビスパ福岡の井原正巳新監督が新チームのキャプテンにクラブ一筋11年目の“キング”を選んだ。
2月2日に宮崎市内でキャンプをスタートさせた井原新監督は、この日の練習前にチームキャプテンを発表。そこで指揮官に指名されたのが、名実ともにチームを牽引してきた城後寿だった。
国見高から2005年に加入した城後は、今年でクラブ一筋11年目。2008年から背番号10を託されてきた。近年は複数のJ1クラブからシーズンオフごとにオファーを受け、一時は移籍濃厚とも報じられたこともあったが、それでも彼は福岡でのプレーを選択。決して多弁なタイプではないものの、持ち前の万能性とサッカーセンスでチームを牽引し、いつの間にかサポーターは彼を“キング”と称するようになった。
新キャプテンを引き受けた城後は「もともとしゃべるほうではないですし、キャプテンをするようなタイプではない。実際にやるのも初めてだし、特別なキャプテンシーがあるわけでもないとは思います。全員がキャプテンという思うくらいの気持ちでやってくれれば、いい方向に向かっていきますから」と控え目なコメントをした一方で、「もともとボランチをやっていたので、鹿島アントラーズの小笠原満男選手は目指すところと言うか、いろいろと勉強になるプレーヤーだと思っていました。背中で語れる選手ですし、苦しい時にファイトしてチームを鼓舞することもできる。まねはできないかもしれないけど、そういうキャプテン像に近づけるように頑張ります」と目指すスタイルについて言及。新チームに関しても「雰囲気は悪くはないですけど、例年に比べるとまだおとなしい感じはあります。まだ遠慮している感じですけど、これからポジション争いが激しくなってきたらアグレッシブになるはずなので、これからが楽しみですね」と早くも全体を見据えた視点を披露していた。
もちろん井原監督も城後の思いや性格を理解した上での指名だったという。
「城後にはこのチームに対する思いもあるでしょうし、10年も活躍している選手で、彼がキャプテンをすることに不満を抱く選手はいないと感じました。これまで彼のトレーニングに臨む姿勢を見ていても、キャプテンに選ぶことがおかしいとは思わなかったし、これはスタッフも同じ意見でした。本人は『キャプテンシーがあるタイプじゃない』と言っていますが、キャプテンをやることのマイナスはないと思うんです。本人には『自分なりのキャプテンシーを発揮してくれればいい』と話しただけ。表現の仕方には個性がありますから。自分は小学校の時からずっとキャプテンをやってきましたけど、“闘将”と呼ばれた柱谷哲二さんとは違うタイプだと思いますし、いろいろなキャプテンシーがある。城後は城後なりに考えてチームをうまくまとめてくれれば、それが素晴らしいキャプテンシーだと思う。彼のような選手がリーダーシップを意識しながら自分ならではのものを発揮してくれれば、チームのプラスになるだけでなく、彼自身もこれまでとは違うものを得られるはず。それは僕も経験しています。内に秘めるタイプかもしれないけれど、チームのことを考えるだけで全然違う。彼にも高い要求をしていきたいし、彼自身も考える時間が長くなると思います。プレッシャーがあるかもしれないですけど、十分にできると思う」と自身の経験を踏まえつつ、福岡の“キング”に大きな期待を寄せた。
2011年までJ1で戦っていたチームは昨シーズン、J2でクラブワーストの16位に終わり、日本代表でキャプテンを務めた井原新監督に再建を託した。井原監督にとっても初めてタクトをふるうことになる2015シーズン。指揮官が“キング”に託した思いは、アビスパ福岡のリスタートを象徴するものとも言える。背中で、そして結果で――。井原監督の指名に「厳しさを持った顔で、しっかり返事をしてくれた」という城後が、福岡の未来を背負って新シーズンに挑む。
文=青山知雄
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