シュライカー大阪が新参入のフウガドールすみだを激闘の末に下し、初戦を飾った [写真]＝本田好伸
Ｆリーグ2014/2015 powered by ｉｎゼリーが27日、国立代々木競技場第一体育館で開幕した。今シーズンは新たにヴォスクオーレ仙台、フウガドールすみだの2チームを加え、12チームでの戦いとなる。この代々木セントラルを皮切りに3回戦総当たりの全33節を行い、上位5チームがプレーオフへ進出。そして1st Round、2nd Round、Final Roundを経て優勝チームが決定する。
3日間で2節を消化する代々木セントラル。初日は3試合が行われ、仙台、すみだも登場した。2年ぶりに東北からの参戦となった仙台の選手たちは、「東北魂を見せる」と意気込み、5月に行われたオーシャンカップで準優勝したペスカドーラ町田に挑んだ。
試合は序盤から町田がボールポゼッションを高め、一方の仙台がディフェンスラインを下げて守りカウンターで勝機をつかむ展開となっていく。そして仙台は、自分たちの21本に対して約2倍となる40本ものシュートを浴びながらも、今シーズンから加入したGKクロモトやキャプテン清水誠を中心とした決死の守備でゴールを守り抜いた。しかし攻撃面では、シュートがポストをたたく場面はあったものの思うように攻め込むことができず、ゴールを奪えないままタイムアップ。記念すべきFリーグの初戦を勝利で飾ることはできなかったが、勝ち点1を“もぎ取った”。
チームを指揮した比嘉リカルド監督は、「少しずつ（戦えるチームの構築を）やっていかないといけない。ただ今日の試合は悪い結果ではない」と振り返り、清水も「東北のチームとして勝ち点を挙げた大事な日。やっと前に進めた」と安堵の表情を浮かべた。
前評判の高かったすみだも激しい試合を披露した。すみだはシュライカー大阪に対して序盤からハイプレスを仕掛けて自分たちのペースに持ち込もうと試みるが、大阪は木暮賢一郎新監督の下で鍛え上げられたプレス回避で対抗し、試合は攻守が目まぐるしく入れ替わるスピーディーな展開となっていた。
8分にカウンターから大阪が先制して前半を折り返すが、Fリーグデビューを飾った22歳の田村佳翔が33分に値千金の同点弾を奪取し、試合を振り出しに戻した。そして互いに足を止めない攻防に選手たちの疲労も見え始めていた36分、大阪が勝負に出る。木暮監督は、GKをフィールドプレーヤーの稲田瑞穂と交替し、ゴール前をがら空きにする代わりに常に数的有利な状態で攻撃できるパワープレーを選択。すると37分、ファーストチャンスで松宮充義が中央から技ありの一撃をネットに突き刺して勝ち越しに成功。「パワープレーは端から見ればリスク（の高い戦術）。でも練習を重ねてきたし、自分たちのペースにするための非常に大きな武器。迷わずに選択した。選手も、（パワープレーを）当然やるだろうという気持ちでいてくれた」（木暮監督）。まさに監督の采配が的中し、すみだにFリーグの洗礼を浴びせた恰好だった。
すみだは最後の最後まで勝ち越しを目指して猛攻を仕掛けたが、スコアは動かないまま1-2で終了。すみだは会場の興奮を誘う試合を見せたが、勝利をつかむことはできなかった。しかし須賀雄大監督は、最後まで走り続けた選手たちを労う。「勝利をもちろん意識していたが、選手には『フウガらしい試合をしよう』と話していて、僕自身は、それができたと感じている。選手はよくやってくれた」。監督や選手は悔しさをにじませていたが、一方では、「レベルアップしていけば優勝を狙える確信を得た」（須賀監督）と、手応えもつかんでいた。
仙台は東北で応援してくれる人のために、すみだは参入までに支援してくれた多くの人への感謝の気持ちを胸に戦い、その思いを感じさせる試合を見せた。その姿からは、今シーズンのリーグに新風を巻き起こすのではないかという予感が漂っていた。
なお、オープニングマッチの府中アスレティックFCとデウソン神戸の一戦は、1点を争う接戦の末に2-3で神戸が勝利。明日もまた代々木で5試合が行われ、リーグを7連覇中の“絶対王者”名古屋オーシャンズも大阪との初陣に臨む。
Ｆリーグ2014/2015 powered by ｉｎゼリー 第1節・第2節
開催日：2014年6月27日
会場：国立代々木競技場第一体育館／東京都
［試合結果］
府中アスレティックFC 2-3 デウソン神戸
ヴォスクオーレ仙台 0-0 ペスカドーラ町田
フウガドールすみだ 1-2 シュライカー大阪
［6月28日対戦カード］
10:00 ヴォスクオーレ仙台 vs 湘南ベルマーレ
12:00 名古屋オーシャンズ vs シュライカー大阪
14:00 デウソン神戸 vs バサジィ大分
17:00 エスポラーダ北海道 vs バルドラール浦安
19:00 ペスカドーラ町田 vs アグレミーナ浜松
写真・文◆本田好伸