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加速する名古屋1強の現状。森岡があえて口にした「刺激が足りない」/PUMA CUP 2014

優勝候補大本命の名古屋が当然のように優勝。名古屋1強時代はいつまで続くのか [写真]=本田好伸

SK_PUMA CUP 2014_0317_01 3月14日から16日まで国立代々木競技場第一体育館で開催されていた「PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会」。名古屋オーシャンズの大会連覇で幕を閉じた今大会はどんな大会だったのだろうか。例年通り、日本一の座を目指して戦う大会は激闘が続いていたが、その試合内容に注目した際に二つの側面から振り返ることができる。

 一つは、“F対地域”の戦い。今大会の象徴とも言える両者の戦いは1次ラウンドからヒートアップ。地域のチームはFリーグのチームに一矢報いるために、チャレンジャーとして挑んでいた。そして4つの引き分け試合があった。グループAのフウガすみだがデウソン神戸に、グループBのバルドラール浦安セグンドがシュライカー大阪に、グループCのビークス白山がバサジィ大分に、グループEのカフリンガ東久留米がアグレミーナ浜松に、それぞれ引き分けた。

 ただ例年は、地域勢がFリーグ勢を撃破する“ジャイアントキリング”や、引き分けの試合数ももう少し多かった。もちろん単純な試合結果だけで語ることはできないが、Fリーグと地域の差は年々広がっているように感じる大会となった。それはFリーグが開幕した2007年以降、年を重ねるごとに選手の技術力が向上し、リーグのレベルが高まってきていることを意味する。これは日本のフットサルがさらに発展し、世界の強豪との対等な戦いを目指していく上でも大きな成果だ。今大会はFリーグが意地を見せ、強さを誇った大会だったと言える。

 もう一つは、“名古屋対その他”の戦い。優勝した名古屋とその他のFリーグチームとの差がなかなか縮まらないことが実証されたように感じる。今大会で名古屋は、1次ラウンドで地域チームの3チームと対戦。決勝トーナメント初戦の準々決勝では浦安セグンドと戦い、Fリーグのチームとの対戦は、準決勝のバルドラール浦安が最初だった。その試合で名古屋は浦安を1-11で一蹴。そして決勝戦はエスポラーダ北海道に4-2で勝利し優勝を決めた。ここでも、結果だけでは分からない名古屋とその他のチームとの差が浮き彫りになっていた。その事実を示す言葉を、名古屋の絶対的なエース、森岡薫が口にした。「刺激が足りない」と。

 その言葉の真意は、名古屋はまだ“本気で戦っていなかった”ということ。試合はもちろん全力で戦い、一時は北海道がリードするなど拮抗した展開になっていたが、「もっとドキドキする試合をしたい」(森岡)と、追い込まれてはいなかった。名古屋が本当の意味で追い詰められ窮地に立った時にこそ真価が発揮され、試合は壮絶なものとなる。森岡は他チームを、フットサル界を鼓舞するためにあえて本音を口にしていた。「やっぱりもっと楽じゃなくて、苦しんで勝った時の爆発するような喜びを求めている。そういう戦いこそが(PUMA CUPの)決勝戦だと思う」。そんな争いに遭遇することで観客は手に汗握る興奮を覚え、そしてフットサルの魅力にどっぷりとハマっていく。優勝を決めた直後の選手のコメントは、喜びよりも安堵、そして試合で出た課題に触れる内容がほとんどだった。名古屋にとって、ライバル不在の現状は危惧すべきものなのだろう。

 試合終了の瞬間、北海道の選手からは勝てなかった悔しさが溢れ出している様子は感じられない。試合後、「勝ちたかった」、「悔しい」と口にしていたが、名古屋に敵わなかった、日本一になれなかったという事実をすんなりと受け入れているようだった。一方で名古屋には、決勝戦の舞台で出場機会に恵まれず、その悔しさで涙を流す選手の姿があった。名古屋にあって北海道にはなかった危機感。今大会は、日本一を懸けてそれこそ死に物狂いで争われる大会だ。もちろん今も昔も日本一のタイトルが懸かっていることに変わりはないが、「名古屋を絶対に打ち負かす」、「俺たちが日本一になる」といった気概が薄れてしまっているのかもしれない。

 この音を聞け――。大会ポスターにも書かれていた今大会のキャッチコピー。果たして観客は、その音を聞いたのだろうか。ボールを蹴り、ピッチを駆け、選手が体をぶつけ合う音だけではなく、選手が勝利を渇望する、その音を。

文・写真=本田好伸

PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会 結果
2014年3月14日(金)〜16日(日)
会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)

優勝
名古屋オーシャンズ
準優勝
エスポラーダ北海道
3位
バルドラール浦安

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