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“本田圭佑より上だった”天才レフティ・家長昭博…恩師の下で誓う再生

今季から大宮に加入した家長昭博[写真]=Getty Images

文/元川悦子

「圭佑(本田=ミラン)のことはいつもテレビで見ているし、刺激をもらってます。あそこまで行ったらもう、いちサポーターとして見る感じ。イタリアで活躍してほしいですね」と話すのは、今季から大宮アルディージャに新天地を見出した家長昭博だ。本田とは生年月日が全く同じで、ガンバ大阪ジュニアユース時代には同じ釜の飯を食った間柄だ。
 
 ご存じの通り、中学時代はうまさと速さ、強さと全ての面で秀でていた家長が「天才」と言われ、小柄でスピードのなかった本田は常に家長の後塵を拝していた。「アキは本当にクオリティが高かった。ドリブルに優れてたし、ボールタッチの仕方、体の使い方もね」と本田自身もそう回想したことがある。
 
 そんな若かりし時代から10数年の月日が経過し、本田はVVVフェンロからCSKAモスクワ、そしてミランへとステップアップ。家長はガンバ大阪や大分トリニータ、セレッソ大阪でのプレー、マジョルカや蔚山現代での海外挑戦を経て大宮入りした。2人の関係は10代の頃とは全く異なるものとなったが、家長はそれをいい刺激と捉えている。それも、心のどこかで「自分はまだまだ十分やれる」という自信があるからだろう。

 2005年ワールドユース(オランダ)で家長を左サイドの切り札として起用した大宮の新指揮官・大熊清監督も、家長の底知れぬ才能を再び開花させようとしている。ユース代表の頃は「家長、家長!」とひっきりなしに怒鳴り、前線からの守備と献身的な走りを求めた大熊監督は、「家長は物凄く大人になったし、人間的に成長した。だからこそキャプテンに指名した。あいつの攻撃センスはやっぱりすごいし、前で使えばチームの大きなプラスになる」と絶大な信頼を寄せ、今季は攻撃の軸に据える考えだ。

「ユース代表で大熊さんに教わっていた頃、自分はプロになりたてで何をどうしたらいいのかよく分かんなくて、言われるままに食らいつくだけだった。その後、いろんなチームでやってきたし、各ポジションでの自分の役割を考えられるようになったけど、確かにあの頃の経験は大きい。大熊さんは勝負強いイメージがあって、勝利に強くこだわる人。その重要性を学んだ。今年の大宮も勝つことがまず第一に求められていると思う。勝利の喜びをサポーターに与えて、より沢山の人に足を運んでもらえるように、自分も結果を出していきたいと思います」と家長は恩師とともに新天地を持ち上げていくつもりだ。

 今季の大宮は、昨季までの中心選手だったノヴァコビッチが清水エスパルス、青木拓矢が浦和レッズ、下平匠が横浜F・マリノスへ移籍。新たに家長、中村北斗、橋本晃司、ラドンチッチが加わり、違った特徴を持つチームに生まれ変わりつつある。昨季はベルデニック監督が指揮を執っていた前半戦でJ1無敗記録を21まで伸ばして首位を走っていたが、小倉勉監督(現甲府コーチ)が采配を振るった後半戦は別のチームのように負けが混み、最終的に14位という不本意な成績に終わった。それだけに、今季こそシーズン通して安定感のある戦いを見せなければいけない。家長がそのカギを握る存在になるのは間違いないだろう。
 
「能力の高い選手はいるから、彼らの個性を引き出し、アグレッシブさを出させられるような戦いができれば、家長も生きてくると思う」と大熊監督も期待を込めて話したが、家長本人も「大宮で存在を認めてもらえるようにしたい」と改めて語気を強めていた。
 
 家長のこれまでのJリーグでの実績を見ると、最もゴール数が多かったのは、蔚山現代から夏に古巣・ガンバ大阪へ復帰した2012年の5得点。シーズンの半分でこの数字はまずまずだが、彼の潜在能力を考えれば得点数が少なすぎるのは事実だ。本田がかつてVVVフェンロ時代に点の取れる10番へと劇的な変貌を遂げた。紆余曲折のキャリアを送ってきた家長もそろそろゴールを奪えるアタッカーになってもいい頃。数字を残すことが、「前で使う」と明言している大熊監督への恩返しにつながるはずだ。

 ザックジャパンでは短期間だけ本田と競演した時期があった家長だが、彼自身もまだまだ日本代表入りをあきらめてはいないだろう。2014年ブラジルワールドカップ後を見据えれば、十分にチャンスはある。かつてのライバルであり、盟友でもある本田と再び同じピッチに立つ日を現実にすべく、今季に全身全霊を注ぐ。その一挙手一投足から目が離せない。

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