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【コラム】揺れるカタルーニャ独立問題…スポーツと政治が切り離せないスペインの今

2017.10.07

バルサ対ラス・パルマスは無観客試合で行なわれた [写真]=Getty Images

 スポーツと政治は、切り離せない。

 そんなことを痛感せずにはいられない数日を過ごしている。

 10月1日にスペイン北東部のカタルーニャ州の州政府が、独立の是非を問う住民投票を強行した。住民投票は法律に則った形では行われておらず、中央政府は違法な投票を阻止するため投票箱を回収しようと警察を投票所に送り込んだ。そして送り込まれた警察が住民と衝突し、800人以上が負傷。その内警察も30人以上が負傷した。マドリードに本社を置くメディアとバルセロナに置くメディアによって報道の仕方、伝え方は違うが、SNSで拡散された警察と住民の衝突の多くの動画はショッキングなものだった。

 カタルーニャ州労働組合ではこの警察の暴力に対して、3日にストライキを行った。同日夜にスペイン国王がテレビ演説でカタルーニャ州政府の幹部らを批判した。開票した結果、投票率は約42パーセントでその内約90パーセントが賛成だったという。しかし、ネットワークが通じず、投票用紙がばらまかれている所もあったので、正確とは言い難い。そういう報道もあった。カタルーニャ州政府は、対話を求めているが、それはまず法律に従ってからと交渉に応じない姿勢を中央政府は一貫している。

 10月1日の住民投票前後からスペインは、特にカタルーニャは、この話題一色だ。政治の話だが、スペインで最も人気のあるサッカーはこの政局の影響をもろに受けている。

バルトメウ会長は無観客での試合実施を決断した [写真]=Getty Images

 10月1日の住民投票当日にバルセロナはラス・パルマスと試合を行ったが、カンプ・ノウのスタンドに観衆は一人もいなかった。住民と警察の衝突により、スタジアムでも暴動が起きる危険性が高く、延期すればプロリーグ機構から勝ち点6を剥奪される制裁が与えられるため、無観客試合を敢行した。街では異常事態が起こっているのに、試合を開催したことで、バルセロナのソシオからは怒りと失望が、試合当日の直前に無観客を決めたことに他のところから非難の声がジョゼップ・マリア・ベルトメウ会長に集まっている。

 またこの日の対戦相手ラス・パルマスは、スペイン国旗を刺繍したユニフォームで挑み、自分たちの立場を明確にしている。同日にサンティアゴ・ベルナベウで開催されたレアル・マドリードとエスパニョールのゲームではスタンドがスペイン国旗で埋め尽くされた。バルセロナ、ジローナ、そしてヒムナスティック・タラゴナのカタルーニャ州に本拠地を置く3チームは住民投票に賛成の意を公に示しているが、エスパニョールは何の意思表示をしていない。そのため、バルセロナを本拠地とするチームではあるが、サンティアゴ・ベルナベウでマドリディスタと衝突が起こることはなかった。

 バルセロナのジェラール・ピケ、セルジ・ロベルトは住民投票に行った事をSNSで公にし、そしてピケは試合後にメディアに向けて、住民投票に行ったことを話し、その住民投票に実力行使で対応したスペインのラホイ首相を批判した。住民投票の翌日にマドリードのスペインサッカー協会施設で、代表活動が始まり、2日の公開練習ではスタンドからピケへ多くのブーイングが送られ、「出て行け」というコールも起こった。代表チームは毎日選手がメディアの前に登場し、記者会見を行うが、質問はピケのことばかり。そこで4日の会見にピケが登場した。スペイン代表センターバックは、約35分質疑に応答した。

カタルーニャ出身のピケ。代表からの引退も辞さない姿勢を見せている [写真]=Getty Images

「僕の代表での取り組みは、疑うことは不可能だ。15歳から代表でプレーしてきた。代表は家族だと考えている」

「何回も言っているけど、スペイン代表にいることをとても誇りに思う」

「僕のケースではないけど、スペイン代表で独立主義もプレーできると思う。なぜならカタルーニャ代表はないし、独立主義はスペインと対峙するものがないからだ。カタルーニャ人はスペインを敵対しているわけではない。離脱したいだけだ。多くのカタルーニャ人はシンプルに自分たちの国を持ちたいと欲して、独立主義になっている」

 ピケは住民投票に賛同しているという意見を表明しただけで独立の支持、反対のどちらに投票しかたは明言していない。過去をさかのぼっても「カタルーニャ州の独立を支持するか、しないか」は1度も明確に自身の信条を公言していない。ジョゼップ・グアルディオラのように公に独立支持を表明したことは、ピケはない。しかし、これまでの言動なので、スペイン国民の大半からは独立主義であると思われており、会見で騒動の収束を図らなければならなかった。

 この会見で次の対戦相手のアルバニアについて問われると、一時笑いが起こった。ピケも笑顔になった。それまでサッカー選手の会見になのに、誰もサッカーの質問をしておらず、全て政局に関する質問ばかりだった。ピケもそんな質問が来るとは思っていなかった。

 政治とスポーツは切り離されているのが理想だが、スペインではそうではない。このように各クラブ、そしてピケのように一部の選手も政治的メッセージを発信しており、サッカーも政治から離れようとは思っていない。

文=座間健司

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By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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