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バイエルンでの生活を語るリベリー「自分の居場所はここしかない」

2013.02.02

Germany Soccer Bundesliga

ワールドサッカーキング 0207号 掲載]

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素晴らしい仲間と素晴らしい環境に恵まれ、最高のパフォーマンスを見せるフランク・リベリー。日々の生活に幸せを感じている彼は、バイエルンを安住の地に選んだようだ。

 

インタビュー・文=ミシェル・デスラック
翻訳=石橋 佳奈

 

昨シーズンも良い戦いができていた

 

チャンピオンズリーグ(以下CL)のファイナルでチェルシーに負けてからおよそ半年が経ったね。

 

リベリー(以下R)―まさか、いきなりその話を掘り起こしてくるとはね(苦笑)。ため息しか出ないよ。

 

あの敗戦は、まだ心のどこかに引っ掛かっているのかな?

 

R―いや、俺たちはもう完全に立ち直った。みんな、「過去のこと」としてとらえているよ。その証拠に、シーズン開幕からチームは好調をキープしているだろう? ブンデスリーガで首位に立ち、CLではグループリーグをトップ通過した。チームは過去と決別するために前進しているんだ。会話の中であの時の話題は禁物なのさ。話したところで嫌な気分になるだけだからね。

 

バイエルンは昨シーズンより強くなったと思う?

 

R―そういうことはあまり考えないようにしている。ここまでの結果からそういった印象を持たれてもおかしくないんだろうけど、昨シーズンも良い戦いができていた点を忘れてほしくないね。確かにタイトルは何も取れなかったけど、タイトルに近いところまでは勝ち進んだ。それに過去3シーズンを振り返れば、バイエルンはCLで最もコンスタントに結果を残しているチーム。それだけでも十分に価値があると思う。その主力の多くが残留し、今シーズンはそこに(マリオ)マンジュキッチを始めとする新戦力が加わって、チームに素早く溶け込んだ。(カール・ハインツ)ルンメニゲCEOと(ウリ)ヘーネス会長からは、「タイトルを獲得することより重要なのは、ピッチで全力を尽くしてサポーターを喜ばせることだ」と、いつもそう言われているんだ。選手もみんな、その考えに賛同しているよ。そして俺は、その延長線上には必ずタイトルがあると信じているんだ。

 

マンジュキッチとマリオ・ゴメスのライバル関係がチームに悪い影響を与えることはない?

 

R―あの2人なら全く心配はいらない。互いに高め合っているし、プロフェッショナルな関係を築いている。それに、チーム内競争に耐えられないんだったら、バイエルンでプレーする資格はない。俺たちは全員が競争の下で成り立っているんだからね。ゴメスは開幕からケガで長期離脱していたけど、その穴をマンジュキッチが完璧に埋めてみせた。もしフロントが去年の夏にマンジュキッチを獲得していなければ、こういった事態にうまく対処できなかったかもしれない。その意味でも、チームに有能なタレントが多いに越したことはないよ。

 

君の代役はシェルダン・シャキリになるのかな?

 

R―そうなるだろうね。マンジュキッチと同じように、シャキリも才能豊かなニューフェイスだ。俺とシャキリはプレーヤーとしてダブるところがあってね。スピードとテクニックで勇猛果敢に対面する相手に勝負を挑み、何より直観を大事にするんだ。それに、とてもスキルフルで、右サイドでも左サイドでもセンターでもプレーができる。アイツが以前に所属していたバーゼルとバイエルンとでは戦い方のクオリティーに大きな差がある。だけど、アイツがハイクオリティーなプレーヤーだということは、CLを始めとする大舞台で既に証明済みだ。バイエルンのようなワールドクラスのチームメートとポジションを争うことで、更に一皮も二皮もむけるはずさ。本当に今後が楽しみなプレーヤーだよ。

 

そのシャキリを始めとする若手にはどういったアドバイスを?

 

R―シャキリにはいつも練習中にアドバイスをしている。去年の夏にバイエルンに加入したばかりだし、まだまだ学ぶべきことがたくさんあるからね。俺はアイツのプレーだけじゃなく、人間的にも気に入っている。裏表がなく、ひょうきん者で、他人の話も素直に聞き入れる。逆に、バイエルンやドイツ代表で十分に実績を残している(トーマス)ミュラーや(トニ)クロースはプレーヤーとしてかなり成熟している。俺がアイツらにアドバイスすることはもう何もない。あとは監督に任せるよ。

 

今シーズン終了後にはユップ・ハインケス監督の契約が満了を迎える。ハインケスが采配を振るうシーズンはこれが最後かもしれないけど、監督との関係はどう?

 

R―とてもいい関係を築いているよ。ハインケスは選手とのコミュニケーションをとても大事にする監督で、みんなからの人望はとても厚い。前監督のルイ・ファン・ハールは頭が固いところがあったけど、ハインケスは真逆のタイプ。選手の意見にも真剣に耳を傾け、柔軟に対応してくれる。選手よりも自分のほうが偉いという考えが彼には全くないんだ。ブンデスリーガを知り尽くしているし、監督としての手腕は今更言うまでもないよね。俺に言わせれば、ハインケスは「バイエルンのアレックス・ファーガソン」さ(笑)。

 

ここでキャリアを終えたいと思っている

 

君は今年4月に30歳になり、バイエルンでも6年目を迎える。来シーズンは他のクラブでチャレンジしたいとは思わない?

 

R―そんなことは全く考えていない。バイエルンでのプレーや環境にはとても満足しているし、ここを離れる理由なんてないよ。これからもバイエルンから必要とされる選手でいられるなら、俺はここでキャリアを終えたいと思っている。バイエルンと同じくらい生き生きとプレーさせてもらえるクラブは見つからないだろうね。若い頃の俺は、クラブを転々とする渡り鳥のような感じだった。だけど、俺はミュンヘンで理想のクラブを見つけた。自分の居場所はここしかないと心の底から感じているよ。

 

年を重ねるにつれて自分自身が衰えているといった実感はない?

 

R―全くないね。特に今シーズンはコンディションがすこぶる良くて、40歳までトップレベルでやれそうな気分さ(笑)。そもそも、俺は遅咲きでプロになったタイプだ。リーグ・アンでのデビューは21歳の時だから、バーンアウト状態からは程遠い。モチベーションはまだまだ高いよ。ピッチ上を幅広く動き回るから相当なエネルギーを消費するけど、今のところ自分が衰えたとはこれっぽっちも感じちゃいない。それに、毎回超満員のスタンドを見れば疲れなんか吹っ飛ぶもんだよ。

 

ここからは代表の話をしたい。君たちフランスは直近の2試合でスペインと1-1で引き分け、イタリアに2-1で勝利した。ユーロ2012のファイナリストから好結果を残したことで、かつてのような強豪国に返り咲いたと言えるんじゃない?

 

R―確かにマドリッドでのスペイン戦はいいゲームができた。ヨーロッパ王者と互角にやれるだけのポテンシャルを示すことができたと思う。だからと言って、今のフランスがスペインと同等のレベルだとは言えないし、イタリア以上の力があるとも思えない。3月に控えたスペイン戦に勝ち、ワールドカップ予選のグループリーグを首位で通過することができれば、一つ大きな段階を超えられたと思えるかもしれないけどね。W杯やユーロの予選、テストマッチで良い結果を出すたびに一喜一憂したこの数年は本当にみじめな思いをした。だから、そういった安易な考えは持たないことにしているんだ。

 

昨年のユーロ後にフランス代表の監督に就任したディディエ・デシャンは、現在のチームを率いるのにベストな人事だったと思う?

 

R―もちろん。デシャンは選手としても監督としてもあらゆるビッグタイトルを獲得しているから、アドバイスに重みと説得力があるんだ。それに、困難を回避するための戦術や手腕、ベンチワークにも長けている。だから、俺たち選手は彼をとてもリスペクトしているんだ。デシャンの下だったら、必ず大きな成功を手にできると思うよ。

 

 

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