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サラゴサ移籍の長谷川アーリアジャスール「来て良かったと思える瞬間がある」

2015.09.01

提供=アディダス ジャパン
インタビュー=小谷紘友

 突如として発表された海外移籍は、千載一遇のチャンスでもあった。移籍先は、スペインのサラゴサ。夢に描いた地には、父親のように慕う指揮官が待っていた。憧れの大地を踏みしめてから約1カ月。開幕を間近に控え、充足を感じながら長谷川アーリアジャスールの瞳は輝きを増している。

――突然の移籍という印象ですが、経緯を教えていただけますか?
長谷川 FC東京とセレッソ大阪で一緒だった(ランコ)ポポヴィッチ監督が、レアル・サラゴサを指揮していて、監督から「来てほしい」と誘ってもらいました。それに僕自身が海外で挑戦したいという気持ちが強く、タイミングも合ったことで移籍することになりました。

――ポポヴィッチ監督は2014年11月からサラゴサを率いていますが、移籍話が来たのはいつ頃でしたか?
長谷川 2014年の冬に、興味があるということは言われていました。ただ、スペインはシーズン中で、(所属していた)セレッソ大阪のチーム状況もありましたから、冬のタイミングでは話が折り合わず移籍とはなりませんでした。

――一度冬に話が流れて2度目のオファーということで、サラゴサ側の誠意も伝わってきましたか?
長谷川 冬のタイミングで声をかけてくれた後も、引き続き自分を見てくれていたと思います。スペインのシーズンは夏から始まりますし、今回はどんどん話が進み、結果的に移籍が成立しました。僕を一番知っている監督が移籍を望んでくれた部分が大きいことは、誰もが思っていることですが、そこから獲得となったのでチームもある程度は計算して獲得してくれたのではないかと思います。

――ポポヴィッチ監督はやはり大きな存在ですか?
長谷川 監督は普段の生活でも、僕だけではなくいろんな選手とコミュニケーションをとっていましたし、誰に対しても家族のような関係を作ろうとする監督でした。そこにうまく入って、すごく良い関係を作れたので僕にとっては父親的な存在になりますね。なかなかそういう人に巡り合うことはできないですし、特別な存在です。

――加入会見ではさっそくスペイン語で挨拶をされていました。
長谷川 会見のときは驚かせるつもりではありませんでしたが、外国から来たイメージもあると思い、より早くみんなに馴染み、記者の方々にもスペインでの意欲を伝えたいと思っていました。挨拶はとりあえず通訳の方に教えてもらい、その言葉だけひたすら覚えて話しました。そうしたら、記者の方々もすごく拍手をしてくれ、受け入れてくれたように感じました。ディエゴ(フォルラン)が日本に来たときの会見で日本語を話していましたが、見ていて「すごい」と思いましたし、馴染むにはそういうところも大事だと思っていたので、やって良かったです。

――会見では、記者の方とのスペイン語でのやりとりもありました。
長谷川 スペイン語は、まだ全然話せないですよ。でも、移籍が決定間近のとき、日本の知り合いにスペイン語を教えてもらい、少し勉強をしていました。本当にちょっとした単語はすぐに覚えられるので、会見では「俺のことなんて誰も知らないし、どうせならやっちゃおう」ということで話してみました。

――チームメートとのコミュニケーションはいかがですか?
長谷川 結構話していますし、会話を聞いていると同じような単語が出てくるので、その単語を調べてみたり教えてもらっていると、何を言っているかも大体わかってきます。今はすごく新鮮な気持ちでいられますね。監督のサッカー自体もFC東京やセレッソでやっていますから、自分の中である程度の整理はついています。私生活も含めて、本当に新たな挑戦だなという気持ちと新鮮さがあり、今はすごく楽しい。ここから試合が絡んできて結果を求められてくると、どうなるかわかりませんが、そこも含めて本当に楽しみな気持ちでやれています。

――結果という言葉がありましたが、海外ではとにかく結果が重要視される部分もあると思います。サラゴサは多くの名選手がプレーしてきたスペインの名門ですが、プレッシャーはありますか?
長谷川 もちろんプロの世界ですから、どこの国に行っても結果は求められることだと思います。海外ではシビアに見られますし、外国人枠での加入ですから責任も感じています。気負ってばかりでもしょうがないですし、できないことはできないので自分にできることを精一杯やりたいですが、海外で活躍している選手に聞くと、やはり「結果が一番」とみんなが言います。結果を出すことによって認められると思っていますから、結果に対してはこだわっていきたいですね。

――海外所属選手に何かアドバイスは受けましたか?
長谷川 (香川)真司と仲良くしていますが、真司からは「スペイン人はすごくコミュニケーションをとってくれるから大丈夫」と。それに、「自分からどんどん輪に入ったほうが良い。殻に閉じこもっているともったいないし、相手も離れてしまうけど、自分から行けば向こうも受け入れてくれる」と言ってくれて。僕自身もどちらかというとそういうタイプなので、ガツガツ行ったらみんなと仲良くなれて、一緒に食事に行ったりスペイン語も教えてもらえたり、すごく楽しくやれています。

――会見では「スペインでプレーするのが夢だった」と話されていましたが、その夢はいつ頃から描かれていましたか?
長谷川 サッカーをやっていた父の影響で、小中学生のときはずっとスペインのサッカーばかり見ていました。僕自身も(ジネディーヌ)ジダンが好きで、レアル(マドリード)の試合をビデオに録って繰り返し見ていました。当時、一番見ていたのはスペインだったのかなと。

――当時はジダンや(ルイス)フィーゴ、ラウール(ゴンザレス)、ロナウドらがいましたね。
長谷川 レアルが銀河系軍団と言われていた時代ですね。ベティスやラシン・サンタンデール、それこそサラゴサも当時は1部にいました。デポルティーボ・ラ・コルーニャ、バレンシア、レアル・ソシエダもいましたね。とにかくジダンが好きだったのでレアルとかバルセロナの試合ばかり見ていました。あとはベティスの緑色のユニフォームがすごい印象強く、ホアキン(サンチェス)がいてすごくうまかったことを覚えています。

――実際に華やかな選手がいっぱいいるスペインに身を投じましたが、印象と違っていた部分はありましたか?
長谷川 とにかく球際が激しい。スペインの1部と2部ではまた違ってきて、違う国のカテゴリーでも激しさは違うと思いますが、やはり2部ということでみんながガツガツしています。自分が活躍して1部に行ける可能性や、チーム自体が1部に上がることもありますから、本当に球際が激しいですね。インテンシティという言葉がありますが、プレー以外のインテンシティというところでも激しさが必要だなと感じました。それは現代サッカーで必要なところだと思いますし、自分にもまだまだ足りない部分。そういうところでしっかりと結果を出すことができれば、間違いなくもう2つぐらい上のレベルに行けると感じています。あとはパススピード。「海外はパススピードが速い」、「球際が強い」と聞いていましたが、いざ自分が行ってみると、「本当に聞いていた世界なんだな」と素直に思いました。それに、ちょっとでも良いプレーをしたり1試合良い活躍をすると認めてくれるというのは実感できたので、「これはやりがいがあるな」とすごく感じています。

――パススピードや球際の強さは、試合に限らず普段の練習から違いましたか?
長谷川 練習からすごいですね。最初は「試されているのかな」というぐらいで。結構速いパスが回ってきたり、「コイツ、できるの?」というような雰囲気のパスがきていたので、自分でも「コイツら結構やりよるな」と思いながら(笑)。技術的なところは得意な部分なので、「それだったら負けないよ」という思いで僕もやり返していて、だからこそすごく楽しい。「こういうところでやることによって、どんどんうまくなるんだな」と感じられたのは、すごく良かったです。知らない環境に一人で行って、ほんの少しでも良いプレーができたり、自分の思うようなことができると、それがちょっとした自信になる。「ああ、こっちに来て良かった」と思える瞬間があり、それを感じられたときに成長していると思うし、これが欲しかったんだなと。もちろん苦しいときやうまくいかないときもこれから出てくると思いますが、本当にやりがいがあるので楽しみな気持ちが強いです。

――ポポヴィッチ監督という信頼できる監督がいることもあり、自分のプレーを出していけるイメージはありますか?
長谷川 それはありますね。監督のやりたいサッカーをわかっていることは一番大きいですし、監督自身が僕のことをわかってくれている。僕のプレーをある程度頭に入れてくれていると思うので、そういう意味でも監督のためにも活躍したい。一番の理想は今シーズンにサラゴサが1部に上がること。「監督を男にしたい」、「監督とともに上がりたい」という気持ちが強いですね。監督のやりたいサッカーもわかっていて、監督の求めていることもわかる。それらをチームに還元しながら1部に上がるということが、自分の中で一番強い目標だと思います。

テーマは絶対的支配。長谷川アーリアジャスールが語る「ACE」の魅力

――新スパイク『ACE』の第一印象を聞かせてください。
長谷川 デザインは斬新ですが、3本線がしっかりと入っていて、アディダスの系譜を思い浮かべるようなデザインだと思いました。あとスタッドがすごく多いなと。最初見た時は、「トレシュー(トレーニングシューズ)?」かと(笑)。それは冗談ですけど、今までに『ACE』のようなソールは見たことありませんでした。

――43本のスタッドで構成される「トータルコントロールスタッド」ですが、ヨーロッパの粘土質のグラウンドで履かれてみていかがですか?
長谷川 『ACE』はヨーロッパのグラウンドでも全く滑りませんね。(固定式スタッドと取り換え式スタッドを)ミックスしたスパイクも履いていないですし、固定式で今のところは練習も試合もできています。本当に滑ることなく、しっかりグラウンドを噛んでいるイメージですね。蹴った時のインパクトや足へのフィット感もすごく良い感触があります。

――サッカー選手にとってスパイクは商売道具でもあると思いますが、長谷川選手にとってこだわりはありますか?
長谷川 商売道具というように、一番大事な物がスパイクだと思います。スパイクが合わなければパフォーマンスは落ちますし、合わない状況で足が痛いまま90分走れるかといえば、走ることはできません。そういう意味でも、サッカー選手にとって一番大事な物は、間違いなくスパイクだと思います。

By サッカーキング編集部

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