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“スーパー・マリオ”バロテッリが見せた涙

2012.07.07
 サッカーキングが、「サッカーキングプラス」としてdocomo、au、SoftBankの公式サイトに登場しました。現在行われているブラジル・ワールドカップ出場権を懸けたアジア最終予選やユーロ2012の特集、イングランドやドイツ、スペインなど、ヨーロッパ初の特別書きおろしコラムなど、サッカーの”今”を伝える会員限定コンテンツが盛りだくさんです。

 今回は、欧州の最前線で写真を撮影し続けている山田一仁氏がコラムを展開するサッカーキングプラスのコンテンツ「写真で伝える欧州最前線」の中から、ユーロ2012に大暴れしたイタリア代表FWマリオ・バロテッリにスポットを当てたコラムを特別にサッカーキングで公開します。
 

[写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography


 表彰式で準優勝のメダルを首にかけたマリオ・バロテッリの目には、涙があふれていた。
 
 準決勝のドイツ戦で2得点の活躍を見せたバロテッリ。その2点目をゲットした際は、ユニフォームを脱いで鍛えぬかれた上半身を魅せつけるかのように仁王立ち。自らの実力を世界中に誇示してみせた。決勝戦のスタンドでは、早速その写真を大きなポスターに仕立て、顔の部分をくりぬき、自分の顔を突っ込んで周囲を笑わせるサポーターも現れたほどだ。
 
 それほど、ドイツ戦のバロテッリは、強烈かつ鮮烈だった。反対側のゴールで、バロテッリの背後からファインダー越しに見たシュートは、ドイツGKマヌエル・ノイアーがこれからシュートに対して飛ぼうと身構えた瞬間に、ボールはネットに叩きこまれた。バロテッリのシュートを打つタイミングが、ノイアーが来ると思ったタイミングより、ほんの一瞬早かったのだ。
 
 代表きっての問題児から、一躍イタリア国民の英雄となったバロテッリは、文字通り「スーパー・マリオ」に変貌した、はずだった。
 
 しかし、王者スペインとの決勝戦。バロテッリの好調とは裏腹に、イタリアは自らを奮い立たせるだけのガソリンが残っていなかった。グループリーグの初戦では、1-1と互角の戦いを演じたが、その姿は見る陰もなく、スペインの中盤に自由を与え続けた。
 
 もちろん、常に対戦相手より休養日が1日少ないというハンデを背負った上での戦いや、3枚目の交代カードでピッチに立ったチアゴ・モッタが瞬く間に負傷退場し、10人での戦いを強いられたことも影響したに違いない。しかし、スペインがピルロ潰しのためにチャビが彼を徹底マークするというイタリア対策をしたのに対し、イタリアはスペインに対して特別な対策を立てていたようには見えなかった。
 
「スーパー・マリオ」に変貌したバロテッリも、さすがに世界王者を相手に一人で局面を打開することはできなかった。プライドが人一倍強いであろう彼が、大勢の場で涙を見せたということは、それだけショッキングは敗戦だったに違いない。
 
 ただ、バロテッリはこのまま引き下がるような男ではない。この悔しさを糧に、これからどんな成長を見せてくれるのか。スーパー・マリオの今後の活躍が楽しみでならない。

【プロフィール】
山田一仁(やまだ・かずひと)
1957年岐阜生まれ。千葉大学工学部画像工学科を卒業後、1981年から(株)文藝春秋写真部にスタッフカメラマンとして在籍。1989年春に退社し、イギリスに語学留学する。1990年からフリーカメラマンとして活動。2007年に(有)Kaz Photographyを立ち上げる。日本人フリーランスカメラマンとして唯一イングランド・プレミアリーグの撮影ライセンスを所持しており、現在は、年間の半分近くをロンドンを拠点として、主にイングランド・プレミアリーグ、欧州チャンピオンズリーグ、外国リーグで活躍する日本人選手を取材している。

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By サッカーキング編集部

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