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【J1開幕直前】中山×河合対談「昨年の札幌は本当に一つになった」

2012.03.09

Jリーグサッカーキング 2012.4月号掲載]

コンサドーレ札幌の中心にはいつも2人がいる。圧倒的な存在感でチームを支える中山雅史と抜群の統率力でけん引するキャプテン河合竜二。J1の舞台へ挑む2012シーズンを前に、2人のリーダーがお互いの印象からJ1を勝ち抜くキーポイントまで大いに語り合った。

[インタビュー・文]=斉藤宏則 [写真]=上野公人 

ゴンさんは力を一切抜かない
 
昨シーズンからチームメートになったお2人ですが、お互いにどういった印象をお持ちですか?
 
中山 竜二はチームのことよりも、自分のことを中心に動くタイプの人間かと思っていたよ。悪い言い方をすると自分勝手なヤツ(笑)。まあ、横浜F・マリノスに在籍していた時のイメージでしかないんだけどね。でも、札幌で一緒にやってみたら、すごくチーム全体のことを考えるヤツなんだなって感心した。協調性の塊みたいなヤツだったから、そこはすごく意外だったなー。若い選手にも積極的にアドバイスしてるしね。
河合 ゴンさんにそう言ってもらえるのは、すごくうれしいですね。
中山 もしかしたら昔からそういうヤツだったのかもしれないけど、札幌に来るまでは接する機会が少なかったから。
河合 いや、昔はゴンさんのイメージどおり「自分が良ければいいや」みたいなところはありましたよ(苦笑)。
中山 いや、それはそれでいいんだよ。若い頃ってのは誰でもそうだから。
 
そこから、変わっていったわけですね。
 
河合 そうですね。やっぱり年齢を重ねるにつれて、自分のことだけじゃなく、チームのことを考えるようになってきました。年を重ねると「やっぱりサッカーはチームで戦うものだ」ということが分かってくるんだと思います。様々な経験をしていく中で、チーム全体が同じ方向を向いていないと強くなれないということが理解できてくるんでしょうね。そのためにはどうするのか、という感じで意識も変わっていきますし。自分が先輩にしてもらってうれしかったこと、例えばミスをした後に声を掛けてもらうだとか、そういったことから自分も取り組んでいきました。
中山 どんなに実力のある選手がそろっていても、気持ちがバラバラになってるチームは弱いからね。
河合 間違いないですね。
中山 昨年のウチなんて本当にいい例だと思うよ。選手個々の力だけで言えば、札幌よりも上のチームは他にもいくつかあったはず。でも、最終的には俺たちがJ1に昇格した。昨年の札幌は本当に一つになっていたよ。それも《キャプテン竜二》の貢献度が大きかったと思うよ。
 
それでは逆に、河合選手から見た中山選手の印象は?
 
河合 僕にとってのゴンさんは、ずっとテレビの中の遠い存在でした。ゴンさんはとにかく偉大な存在でしたから、まさかこうして同じチームで戦えるなんて想像もしたことがなくて。実際に接してみると、イメージとは違った部分もありましたね。えーと、何て言うのかな……。
中山 もっとフザけたことばかりやっているヤツだと思ってたんだろ?
河合 はい、そうです(笑)。でも、全然そうではなくて。
中山 当たり前だろ!(笑)
河合 でも、本当にすごいと思いましたよ。だって、ちょっと足に痛みがあると、休む選手も結構いるじゃないですか。休まないまでも、少しトレーニングの力を抜いたりとか。でも、ゴンさんにはそれが一切ない。それは驚異的でしたね。

昨年の札幌は本当に一つになった
 
そんなお2人が振り返る、2011年はどういったシーズンだったのでしょうか?
 
中山 まあ一言で表すなら《起承転結》だね。開幕戦で完敗してしまい、《起》の部分がうまくいかなくて「どうなることやら……」という感じだったけど、そこから本当によく立ち直ったと思う。すぐには結果につながらなかったものの、着実にチームとしてのまとまりが形になっていったよね。
河合 そうですね。そこから大崩れすることなく、本当に少しずつだったけど、右肩上がりでシーズンを戦うことができましたよね。10月に3連敗して苦しみはしましたけど……。
中山 あそこを乗り越えられたことは、チームとしてしっかりと力が付いてきた証拠なんだと思ったよ。俺はケガで外から見ている立場だったけど、竜二を中心に本当によくまとまっていたと思うし。みんなが一つの方向を見ていたよね。
河合 でも、僕としてはゴンさんの存在に本当に助けられましたよ。試合が終わった後はいつもゴンさんのアドバイスを聞いて、次の試合に向けたチームのまとめ方を考えていましたから。
中山 何言ってんだよ。俺はいっつもクラブハウスの玄関から試合に向かう選手バスを見送るだけだっただろ(笑)。
河合 そんなことないですよ。ゴンさんやスナさん(砂川誠)、(西村)卓郎さん(現浦和レッズサッカースクールコーチ)たちの意見を集約して、僕がそれを周りの選手に伝えていたわけですから。

最終戦には4万人近い大観衆が札幌ドームに集結して選手を鼓舞した [写真]=今井雅博

中山 まあ、それが年長者の役割ですから(笑)。でも、ウチは本当にしっかりした選手が多いと思うよ。芳賀(博信)だって、ああやって好き勝手に振る舞っているようでいて、実際はすごくチーム全体のことを考えて行動している。(近藤)祐介やウッチー(内村圭宏)もフラフラしているようで、やる時はやるヤツらだからね(笑)。そして、みんなが熱い気持ちを持っている。「やられたら、やりかえす!」みたいな野性的なメンタルを全員が兼ね備えていたね。
河合 打てば響くヤツらがそろってますよね。人の言葉を受け流すような選手は誰もいなかった。時には厳しい言葉を掛けなければいけない場面が何度かあったんですけど、みんなプロとしてちゃんと受け入れてくれて。そうすると俺も、「言ったからには、しっかりやらないと」と気持ちが高まる。特にシーズン終盤は、そういう好循環がチーム内のいろいろなところで起こっていたように感じます。ゴンさんのバスの見送りも、本当に心強かったんですよ。何しろ上半身裸でしたから(笑)。
中山 あれもさー、たまたま最初に見送った時が上半身裸だったというだけで、新聞に「ゴンが裸でチームを激励!!」って書かれちゃったもんだから、俺は仕方なく、その後も意味なく裸になってたからね(笑)。
 
チーム全員が本当に一つになっていたということですね。
 
河合 本当にそうだと思います。普通だったら、ケガで長く戦列を離れてしまっているような選手はメンタル的に難しいと思うんですよ。でも、昨シーズンの札幌は違った。すべての選手が、チームのために自分ができることに全力でトライしてくれていた。誰か一人欠けていても、昇格はなかったと思いますね。
 
中山 途中から加入したレモスとかも、そういう空気に触発されてすごく気持ちを入れてくれていたよね。シーズン途中に加入した外国籍選手だから、普通であれば気持ちの面で温度差があっても仕方がないところなんだけど、アイツも完全にチームの一員としてハマってたからな。試合前に、ベンチに入れなかった選手で集まって円陣を組んでいたんだけど、そこでもみんなが常に高いテンションを保っていたのは本当に素晴らしいと思ったよ。
河合 俺、ベンチに入れなかったみんなが円陣を組んでたことをシーズンの途中まで知らなかったんですよ。それを知った時は、本当にシビれましたね。めちゃくちゃ心強かったです。

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Jリーグサッカーキング 4月号
▼[巻頭スペシャル対談]中山雅史×河合竜二 
▼[赤黒が誇る至宝]宮澤裕樹×古田寛幸 
▼[戸塚啓の取材ノートの記憶]石崎信弘(札幌監督)
▼[クエスチョン50]山本真希&髙柳一誠
▼[激動の15年]“プロヴィンチャ”としての新たな挑戦
▼選手コラム最終回特別インタビュー
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