(L) of Paderborn battles for the ball with of Dortmund during the Bundesliga match between SC Paderborn and Borussia Dortmund at Benteler Arena on November 22, 2014 in Paderborn, Germany.
来年1月のアジアカップに、ハビエル・アギーレ監督はベストメンバーで臨む。過日発表された23人は、目の前の結果を追い求めるための構成だ。
2018年のロシア・ワールドカップを見据えるのではなく、大会連覇を最優先とした考え方は、2017年のコンフェデレーションズカップ出場を勝ち取りたいからに他ならない。優勝を狙うのは当然の使命だから、妥当な判断ではある。
そのうえで、問いたいことがある。
宇佐美貴史はなぜ選ばれなかったのか。
ガンバ大阪の三冠に貢献し、個人的にも結果を残した選手である。トップ下でもサイドでもプレーできる彼は、汎用性が高い。チームに戦術的多様性をもたらすことができる。シュート、ドリブル、パスのいずれも上質だ。個人で局面を打開でき、攻撃の有効なオプションと成り得た。
おそらくアギーレ監督は、清武弘嗣が宇佐美かの二者択一を迫られたのだろう。2列目のポジションすべてに対応でき、所属クラブで状態の良さを示す清武も、攻撃の可能性を拡げてくれる。
個人的には彼らふたりを選び、香川真司を外してもいいと考えていた。
ドルトムント復帰後も、香川はトップフォームを取り戻せずにいる。ゴールから長く遠ざかっており、そもそも得点への直接的な関わりが少ない。ユルゲン・クロップ監督のチームはリーグ戦で下位に低迷しており、彼の復調を辛抱強く待つ余裕もない状況だ。
リーグ戦で巻き返しをはかるためにも、ウインターブレイク中のキャンプは大きな意味を持つ。建て直しを進めるプロセスに加われないのは、香川にとって大きな損出だ。クロップ監督の構想のなかで、優先順位が下がってしまう恐れもある。すでにリーグ戦では、ここ2試合連続で出場していないのだ。
ドルトムントで復調することは、結果的に日本代表の利益となる。まずはクラブでの定位置確保に専念させる判断があっても、良かったのではないだろうか。
同じことは本田圭佑にも言える。
プレーするセリエAは、アジアカップ開催中も行われる。日本代表が決勝戦まで勝ち上がれば、少なくとも4試合の欠場が決定的だ。
10月19日のゲームを最後に8試合ゴールから遠ざかっている現状を踏まえても、ミランにおける彼の立場は絶対的と言い難い。1カ月の不在によって、起用法に変化が生じる可能性は否定できないのだ。
本田を外す代わりに、誰を加えるか。
J1で2年連続得点王となった大久保嘉人なら、1トップにも2列目にもフィットする。アギーレ監督には招集されていないが、チームメイトは旧知の選手ばかりだ。小林悠と同時に起用すれば、川崎フロンターレでのコンビネーションを生かすこともできる。
無理をさせたくない選手もいる。
内田篤人だ。
シャルケでの安定感溢れるプレーを見れば、アギーレ監督でなくても呼びたくなる。ただ、右ひざへの負担を減らすためにも、今回は招集を見送っても良かったのではないだろうか。
主力選手の欠場は、代わって起用された選手を刺激する。「あの選手がいなかったから勝てなかった」と言わせないために、チームがいつも以上に結束する。2004年のアジアカップでは、ほぼ国内組の陣容で優勝を飾った。
本田、香川、内田がいなければ、優勝を狙うことはできないのか。そんなことはない。彼ら抜きで連覇を果たしても、僕自身は驚きではない。それだけに、選手の利益は代表チームのプラスになるという視点で、メンバーを選考してほしかったのである。