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選手の利益は代表にプラス…本田・香川・内田不在でも連覇可能/戸塚啓の日本代表分析

2014.12.17

(L) of Paderborn battles for the ball with of Dortmund during the Bundesliga match between SC Paderborn and Borussia Dortmund at Benteler Arena on November 22, 2014 in Paderborn, Germany.

Japan v Honduras - International Friendly
[写真]=Getty Images

 来年1月のアジアカップに、ハビエル・アギーレ監督はベストメンバーで臨む。過日発表された23人は、目の前の結果を追い求めるための構成だ。

 2018年のロシア・ワールドカップを見据えるのではなく、大会連覇を最優先とした考え方は、2017年のコンフェデレーションズカップ出場を勝ち取りたいからに他ならない。優勝を狙うのは当然の使命だから、妥当な判断ではある。

 そのうえで、問いたいことがある。

 宇佐美貴史はなぜ選ばれなかったのか。

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G大阪の三冠獲得に貢献した宇佐美 [写真]=白井誠二

 ガンバ大阪の三冠に貢献し、個人的にも結果を残した選手である。トップ下でもサイドでもプレーできる彼は、汎用性が高い。チームに戦術的多様性をもたらすことができる。シュート、ドリブル、パスのいずれも上質だ。個人で局面を打開でき、攻撃の有効なオプションと成り得た。

 おそらくアギーレ監督は、清武弘嗣が宇佐美かの二者択一を迫られたのだろう。2列目のポジションすべてに対応でき、所属クラブで状態の良さを示す清武も、攻撃の可能性を拡げてくれる。

 個人的には彼らふたりを選び、香川真司を外してもいいと考えていた。

 ドルトムント復帰後も、香川はトップフォームを取り戻せずにいる。ゴールから長く遠ざかっており、そもそも得点への直接的な関わりが少ない。ユルゲン・クロップ監督のチームはリーグ戦で下位に低迷しており、彼の復調を辛抱強く待つ余裕もない状況だ。

SC Paderborn 07 v Borussia Dortmund - Bundesliga
ドルトムントで復調のきっかけをつかめない香川 [写真]=Bongarts/Getty Images

 リーグ戦で巻き返しをはかるためにも、ウインターブレイク中のキャンプは大きな意味を持つ。建て直しを進めるプロセスに加われないのは、香川にとって大きな損出だ。クロップ監督の構想のなかで、優先順位が下がってしまう恐れもある。すでにリーグ戦では、ここ2試合連続で出場していないのだ。

 ドルトムントで復調することは、結果的に日本代表の利益となる。まずはクラブでの定位置確保に専念させる判断があっても、良かったのではないだろうか。

 同じことは本田圭佑にも言える。

 プレーするセリエAは、アジアカップ開催中も行われる。日本代表が決勝戦まで勝ち上がれば、少なくとも4試合の欠場が決定的だ。

 10月19日のゲームを最後に8試合ゴールから遠ざかっている現状を踏まえても、ミランにおける彼の立場は絶対的と言い難い。1カ月の不在によって、起用法に変化が生じる可能性は否定できないのだ。

 本田を外す代わりに、誰を加えるか。

 J1で2年連続得点王となった大久保嘉人なら、1トップにも2列目にもフィットする。アギーレ監督には招集されていないが、チームメイトは旧知の選手ばかりだ。小林悠と同時に起用すれば、川崎フロンターレでのコンビネーションを生かすこともできる。

 無理をさせたくない選手もいる。

 内田篤人だ。

FC Schalke 04 v 1. FC Koeln - Bundesliga
シャルケでは右ひざにテーピングをしてプレーを続ける内田 [写真]=Getty Images

 シャルケでの安定感溢れるプレーを見れば、アギーレ監督でなくても呼びたくなる。ただ、右ひざへの負担を減らすためにも、今回は招集を見送っても良かったのではないだろうか。

 主力選手の欠場は、代わって起用された選手を刺激する。「あの選手がいなかったから勝てなかった」と言わせないために、チームがいつも以上に結束する。2004年のアジアカップでは、ほぼ国内組の陣容で優勝を飾った。

 本田、香川、内田がいなければ、優勝を狙うことはできないのか。そんなことはない。彼ら抜きで連覇を果たしても、僕自身は驚きではない。それだけに、選手の利益は代表チームのプラスになるという視点で、メンバーを選考してほしかったのである。

戸塚啓(とつか・けい)。1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッチは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。

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