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【ファインダーを覗いて…ピッチサイドからの考察】アギーレ体制、生き残るのは誰か?

2014.11.14

 アジアカップに向けて、日本代表のテストマッチは残り2試合。残された時間は約2カ月。10月のジャマイカ、ブラジル戦では先発メンバーの構成に批判も出たが、誰が使えて、誰が使えないかも見えてきたことだろう。

 発表されたメンバーには、ブラジル・ワールドカップ後に招集されなかった選手が再招集され、今までレギュラー扱いされていた選手に声が掛からなかったケースも出た。

 代表に復帰した選手は、ガンバ大阪の遠藤保仁と今野泰幸、シャルケの内田篤人。後者の招集されなかった常連選手は、インテルの長友佑都となった。

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ポジションをボランチに移して、代表で輝けるか今野 [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 今回のホンジュラス、オーストラリア戦では見てみたい選手が2人いる。国内組の今野と海外組の香川真司だ。今野は、ブラジルW杯のグループ最終戦、コロンビアとの試合で最初の失点となったPKを献上し、敗戦の責任を負わされてしまった感がある。しかし、W杯以降、遠藤と今野が所属するG大阪は、ぐいぐいと順位を伸ばし、優勝争いに加わっている。

 G大阪は2012年J2に降格したものの、昨季優勝して、わずか1年でJ1に復帰した。W杯による中断前の最後の試合、第14節の時点で18チーム中16位と降格圏にいたが、再開後に5連勝。第20節では7位。第25節では5位。第30節では2位というように、あれよあれよという間に、浦和レッズと優勝に一騎打ちの状態にまで躍進していった。

 その要因には、宇佐美貴史の復調もあるのだが、日本代表ではセンターバックとしてプレーしていた今野がG大阪では、本来のボランチに戻って遠藤と組んでJリーグ最強のダブルボランチとなったことが大きい。

「ボールを奪って前線に配給する」というチームを指揮する役目を担っているというわけだ。グループリーグで惨敗したW杯後、「お役目御免」となるはずの2人が、所属クラブで活躍し、降格圏から優勝争いに加わるようになったのだから、ハビエル・アギーレ監督も放っておけないだろう。

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ブラジルW杯の悔しさを代表で晴らすことが出来るか香川 [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 一方、今季「どん底状態」にあるドルトムントに所属する香川真司は、チャンピオンズリーグでは4連勝で早々と決勝トーナメント行きを決めたのだが、ブンデスリーガでは、18チーム中、一時は17位にまで落ちた。5連敗というどん底から先週、ようやく勝ち点3を獲得して降格圏から抜け出した。

 そのドルトムントに今季マンチェスター・Uから復帰した香川。アルベルト・ザッケローニ体制では、[4-2-3-1]の2列目左サイドのレギュラーだったが、ブラジルW杯後のアギーレ新体制では、彗星のように現れた武藤嘉紀がFWの左サイドとしてブレイク。

 現時点での[4-3-3]の布陣でFWの左は、武藤がレギュラーとして最も近い位置にいる。ブラジルW杯のコートジボワール戦で、香川の守備力の弱点を突かれて失点したことを考えると、今までの香川の攻撃力を生かしつつ、守備力をアップしないと、アギーレ体制では生き残れないかも知れない。

 私自身の予想、というより希望だが、ホンジュラスとオーストラリアとの2試合のどこかで、[4-3-3]からの変形で[4-3-2-1]というトリプルボランチの一見守備的だが、自分たちがボールを奪取した際には、[4-2-3-1]に変化する形を試すのではないかと考えている。

 そのときの中盤の3枚は長谷部誠、遠藤、今野で構成し、ボールを奪ったら遠藤が1つ前のポジションに移る。あるいは、[4-3-2-1]から[4-1-4-1]という形の変化もありえるかも知れない。そのときのアンカーは今野。4枚の中盤の中央が長谷部と遠藤。そして、両サイドに本田圭佑と香川。ここで、香川がどこまで機能できるか。年内最後のテストで結果を出さないと、アジアカップの本番ではベンチ要員になっているかも知れない。

 いずれにしても、遠藤と今野のセットでダブルボランチは、一度は見てみたい。

山田一仁(やまだ・かずひと)。1957年、岐阜県生まれ。大学卒業後、1981年から(株)文藝春秋写真部にスタッフカメラマンとして在籍。1989年にイギリスへと渡り、1990年からフリーカメラマンとして活動を始める。2007年に(有)Kaz Photographyを設立。日本人フリーランスカメラマンとして、プレミアリーグの撮影ライセンスを所持し、現在は年間の半分近くをロンドンを拠点として、主にプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外で活躍する日本人選手を中心に取材している。

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