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輝く笑顔と共に勝利へ 堀池巧(順天堂大学蹴球部監督)

2016.06.01

 元日本代表DFで、清水エスパルスの中心選手として活躍した堀池巧さん。世間ではサッカー選手や解説者としての顔が広く認知されているが、2015年からは自身の母校でもある順天堂大学のサッカー部監督を務めている。

 大学では監督の他に、スポーツ健康科学部の准教授として学生たちへの実技指導も担当するなど、教育者としても活躍されている。引退した当初は指導者の道に進むことは考えていなかったというが、「選手たちの笑顔を見ている時が一番うれしい時間ですね」と、充実した表情で語ってくれた。

良きライバルの存在

 「サッカーの町」清水で生まれた堀池さんは、幼少期から自然とサッカーに親しんでいたという。

「サッカーを始めたのは小学校3年生の時なんですけど、清水って元々がサッカーの町で、男の子はサッカーをやるのが当たり前の環境だったんですよ。『サッカー』イコール『遊び』っていう感覚で、どんどんのめり込んでいきましたね」

 小学4年生の時に清水FCという地元のクラブに加入した堀池さんだが、最初から活躍できたわけではなく、Bチームの試合にも出られない状態だったという。そんな時に刺激になったのが、同じチームでプレーする良きライバルの存在だった。現在のガンバ大阪の監督である長谷川健太さんと、元清水エスパルスの監督である大榎克己さんだ。

「彼らは小さい頃から一緒にいて、よくプレーを見ていたんですけど、やっぱりうまかったです。健太はエースストライカーで、克己は背が高くてキャプテンをやっていたんですよ。試合に出られない僕は羨ましくて仕方がなかったですね。でも、『こいつらには負けたくない』っていう思いがあったので頑張れました。小・中・高と一緒で、大学は別々でしたけど、彼らが頑張っている姿は監督をしている今でも刺激になっています」

 清水東高校時代にはこの二人とともに全国高等学校サッカー選手権大会で優勝し、『清水東三羽烏』という呼び名で相手チームから恐れられた。良きライバルの存在が、堀池さん自身の成長に多大な影響を与えたことは間違いないだろう。

 その後、順天堂大学に進学して教員免許を取得した堀池さんは、大学卒業と同時に読売クラブに入団する。そこから清水エスパルス、セレッソ大阪で活躍し、日本代表として58試合に出場。1999年に引退するまで日本サッカー界を牽引した。引退した当初、堀池さんは指導者よりもやりたい仕事があったという。

「あの頃は、指導者よりもフロントなどクラブ内での仕事がしたかったんです。自分自身、選手としては良い思いもしているけど、契約の場面などでは嫌な思いもしているので、フロントとして選手を大切に扱ってあげたかったんですよ。そういう仕事をしいている時に、みんなが『指導者は楽しいよ』って言うので、A級ライセンスの取得カリキュラムを受けたら楽しくて。そこから指導者に興味が湧いていきました」

 かつて出演していた『やべっちF.C.』も、指導者の道に進むきっかけになったそうだ。

「『やべっちF.C.』がアジアの放映権を持っていたのでアンダー世代を取り上げる事が多く、現場に取材に行って指導者の方々を見ていると、みんな生き生きしているんですよ。そんな彼らを見ているうちに、自分もやりたいっていう気持ちがどんどん強くなっていきました。やっぱり現場が好きなんでしょうね」

 日本サッカー協会所属の指導者として主に東海地区のナショナルトレセンコーチを務め、多くの経験を積んだ堀池さんは、母校である順天堂大学の監督という形で、二人のライバルが待つ指導者の道へと本格的に進み始める。
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指導者としての現場復帰

「今では選手の顔つきを見るだけで、良い事あったのかな、悪い事あったのかな、というのが分かるようになってきました」

 監督に就任してから1年が経とうとしている堀池さんのその言葉に、今の仕事への熱意や愛情が表れていた。その一方で、苦労も多いという。

「勝利を目指していけば、それに対して努力もするし、苦労したことが実を結んだら自信になるので、そういう自信を選手たちにつけさせてあげたいなって思っています。将来プロになるかどうかは関係なく、『4年間サッカー部に所属してよかったな』って思ってもらえるような雰囲気にしたい。そこが一番苦労している点ですね。あと、遠征の時にはバス会社に電話したり、ホテルの手配をしたりと、やらなければならないことがたくさんあります。想像していた以上に忙しいですよ(笑)」

 テレビではあまり見せることのない、指導者としての姿を見られたような気がした。

 では、大学サッカーの指導者としての堀池さんの目には、大学サッカーはどう映っているのだろうか。
  
「一人暮らしで自己管理がすべての中で、講義を受けて、部活もやる。講義がある日もない日もある。そう考えると、家でずっと寝てしまう子だっているわけじゃないですか。そう考えると、人間的な成長ができる場が大学なのかな。だから大学サッカー出身選手の強みは、人間的な強みだと思います」

 人間的成長とプレーヤーとしての成長、その両方が望める場所。大学サッカーが持っている魅力の一つだ。
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To dare is to do(挑戦無くして成功なし)

アグレッシブにチャレンジするサッカーを目指している堀池監督のチームは、プレミアリーグのトッテナムから得たという「To dare is to do(挑戦無くして成功なし)」のスローガンの下、これからも挑戦を続けていく。堀池さんは最後に、これからの夢を語ってくれた。

「僕は、大学時代にインターカレッジで優勝しているんですけど、試合に出ていないメンバーも一緒になって喜んだ、すごくいいイメージがあって、それを今の選手に経験させてあげたい。それが一番の望みですね。もう一つは、大学サッカーは高校サッカーより知名度が低いですよね。だからお客さんに足を運んでもらえるように協力したいし、また見に行きたいと思ってもらえるような試合をすることが自分の仕事だと思っているので、そう言ってもらえるような順大サッカー部を作っていきたいですね」

 選手たちの笑顔を胸に、堀池監督はこれからも勝利へと突き進む。
順天堂大学サッカー部の公式HPはこちら

インタビュー・文=森本崇文(サッカーキング・アカデミー大阪スクール)
写真=小林浩一(サッカーキング・アカデミー

●サッカーキング・アカデミー大阪スクール「編集・ライター科」の受講生が取材、「カメラマン科」の卒業生が撮影を担当しました。
●「編集・ライター科」と「カメラマン科」について詳しく知りたい方は、資料請求でスクールパンフレットをお取り寄せください。送料無料です。

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