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ゲームもリアルサッカーも同じ!? 知られざる『FIFA』11人対11人のオンライン対戦事情

2016.02.13

エレクトロニック・アーツから販売されている人気サッカーゲーム『FIFA』。シリーズを重ねるごとに、グラフィックや操作性、システムがパワーアップし、日本国内に限らず世界中で多くの人に楽しまれている。2010年に発売された『FIFA 11』では、オンライン対戦協力プレイで、GK含めた11人対11人対戦を初めて実現。22人による本物のサッカー体験が可能となった。今回は、日本で11人対11人のリーグ戦を企画運営している日本eスポーツサッカー協会(JeFA)の代表を務めるミヤナンバーさんに、オンライン対戦の魅力や運営上の苦労、今後の展開について話を聞いた。

大会参加人数は、のべ1000人以上。気軽に大会に参加して欲しかった

――FIFAシリーズの協力プレーはFIFA08(2007年発売)から搭載されましたが、いつ頃からチーム、協会としての活動を始めたのでしょうか?

ミヤナンバー FIFAシリーズとして、11人対11人の対戦が出来るようになったのは、FIFA11(2010年発売)からです。それまでは、FIFA08では5人対5人、FIFA09から10までは、10人対10人でした。私が所属しているチームは、2009年から活動しています。日本eスポーツサッカー協会(JeFA)は、2013年に創設しました。

――JeFAを創設したきっかけは何ですか?

ミヤナンバー 実は、必要性に迫られて設立したわけではありませんでした。ただ、近い将来、日本でもeスポーツがより広く認知されると思っていたので大会やFIFAに関する企画を率先して管理する団体が必要になるなと思い先行して作りました。

――設立時はまだ認知が低かったと思います。どのようにしてチーム、参加者の募集を行ったのですか? また、何チームが参加しましたか?

ミヤナンバー 主にFIFA SNS(http://fifas.sns-park.com/)というサイトで募集を行いました。最初のクラブ大会参加数は14チーム、個人大会は13名が参加してくれました。

――現在、協会に登録しているプレイヤーは、何人くらいですか?

ミヤナンバー 今までのJeFA主催大会の参加人数は、1000人以上はいると思いますが、協会に登録という形はとっていないので、正確な人数は分かりません。面倒な手続きを可能な限りなくして、気軽に大会に参加して欲しいという側面からでもあります。今後、どういった形にした方がいいか検討していきたいと思います。

――協会主催の大会はいつから、どのくらいの頻度で開催していますか?

ミヤナンバー JSL(Japan Special League)として2013年から開催しています。今までは年に3、4大会ほどでしたが、最近はアジア各国のチームも参加するACLや個人戦も頻繁に開催するようになったので、全部あわせると年10大会ぐらいのなるかもしれないですね。

ゲームもリアルサッカーも同じ。チームのことを常に考えられる選手が重宝される

――各チームは、どのくらいの頻度で活動していますか?

ミヤナンバー JSL参加チームは学生から社会人まで幅広い年齢層のチームが多いので様々ですね。週1、2のところもあれば、ほぼ毎日活動しているチームもあります。

――練習はどのようにして行っていますか?

ミヤナンバー FIFAクラブでは、ランダムでマッチメークしていき勝利するごとにDivが上がっていくシーズンモードというものがあるのですが、私のクラブ(JUDGEMENT)では、そのシーズンモードで練習しています。スカイプで試合中リアルタイムに指示を行うこともあれば、後日、試合動画を見直して全員で改善していくところを共有することもあります。

――試合中にチームメイトとは、どのようにしてコミュニケーションをとっていますか?

ミヤナンバー JUDGEMENTではSkype(スカイプ)がメインです。他のクラブでもスカイプによるコミュニケーションが多いとは思いますが、PS4チャットやLINEでコミュニケーションをとっているクラブもあるようです。

――チームメイトと実際に会ったことはありますか?

ミヤナンバー はい、何人かと実際に会いました。凄い偏見で申し訳ないのですが、所謂オフ会というものにあまり良いイメージを持っていなかったのですが実際会ったら、本当に普通の方たちで安心しました。

――実際のチームやリーグのように選手(プレイヤー)の移籍はありますか。

ミヤナンバー 大会に登録する際に、二重登録になっていないか協会として確認します。それ以外の移籍は、各クラブに任せています。シーズンオフは、自由に移籍できます。移籍に関しては、実際のサッカーと似た部分が多く、チームを転々とする選手もいれば、そのチームの顔として長年にわたり活躍を続ける選手もいます。やはり、ゲームとはいえ、そこには人間関係やサッカー観が合う合わないなどあるので、そういった人間模様も絡んでくるのがFIFAクラブの面白さなのかもしれませんね。

――GKの操作はフィールドプレイヤーと違って特殊です。どこかのポジションに人が集中したり、不足したりすることはありませんか?

ミヤナンバー やはり前線、中盤希望のプレイヤーは多く、守備希望のプレイヤーは少ないと感じています。希望ポジションが被ることは多くありますが、マルチで対応できる人も多いので、その辺りはクラブ事情に合わせてキャプテンが上手く配置しています。DFが手薄なクラブは多いので、これからFIFAクラブを始めて何処かのクラブに入りたいと思ってる方は、最初にDFのポジションを上手くなったほうがいいかもしれませんね。

――毎試合11人のメンバーが揃いますか? 揃わなかった場合は、どのように対処していますか?

ミヤナンバー 大会では11人揃うチームは多いですが、普段の練習ではそこまで集まる事は少ないと思います。FIFA16になりCOMのAIが強化されていたり、ANY操作によって補えるので、そこはなんとかやっています。ただ、普段から11人フルでそろって練習できているチームは当然強いですね。

――自己中心的なプレーや、無気力プレーなど、マナーの悪いプレイヤーはいますか? いる場合はどのように対処していますか?

ミヤナンバー 自分もクラブキャプテンの立場として様々なプレイヤーをみてきましたが、やはりたまにいますね。キャプテンの立場として答えるなら自己中心的なプレーの方は、クラブに合うよう指摘して改善してもらいます。団体競技である以上、チームを犠牲に個人だけが楽しむというのはありえないので。ただ、その方が物凄く上手くて1人で点を決めてきてしまうのであれば、その人を前線において周りがサポートするチームスタイルもありかなと思います。結局はチームとしてどうあるべきかを常に考えて選択します。

また、希望ポジションで出場できないと直ぐに試合を投げ出してしまうプレイヤー、、適当に流して遊ぶプレイヤーもいるようですが、そういったプレイヤーはどんなに技術力があっても周りの信頼を無くします。団体競技である以上、チームのことを常に考えられるプレイヤーになって欲しいと思います。逆に言うと、フォア・ザ・チームの精神が強いプレイヤーであれば、技術力が足りなくてもチームとしては重宝されます。これも実際のサッカーと似ている部分ではないでしょうか。

――戦術の方針、プレーポジションなどはどのように決めていますか?

ミヤナンバー これは各チームによって様々だと思います。チームキャプテンによる独断で、戦術からポジションまで決めているところもあれば、全員で話し合って決めているところもあるようです。私のチームで言えば、戦術は自分がある程度方針を掲げています。プレーポジションは、ある程度試合をこなせば、そのプレイヤーの適正が見えてくるので、プレイヤーの希望とすり合わせながら決めています。

――顔を見合わせずにプレーすることで、最も難しく感じることは何ですか?

ミヤナンバー 実際のサッカーであれば、身振り手振りでここにパスが欲しかったとか、アイコンタクトで欲しいスペースに欲しいタイミングで伝える方法がありますが、ゲームは表情が見えないので一つひとつプレーに対して、その人が本当はどうして欲しかったのかを確認する事ができません。そういった、繊細なタイミングを合わせていくことは最も難しい事だと思います。

その部分を補うためにスカイプを導入しているチームも多くありますが、今度は逆にフィールドプレイヤーの声が全て入ってくるので例えば「パスくれ!」という声が色んな所から上がって出し手がパニックになったり、ミスした時などに「何やってんだよ!」というような実際のサッカーであれば、聞こえないか、直ぐに流すような、そこまで重く受け止めなくてもいいような声が全て入ってきてしまうので、そういった部分は皆さん気を使いながらやられてると思いますね。そこのバランスをとるのが一番難しいと感じています。

――実際のサッカーをプレーすること、プレーした経験はありますか? それがゲームに生かされることはありますか?

ミヤナンバー サッカーもフットサルもプレーしています。実際に守備に特徴のあるプレーをしているからなのか、ゲームのスタイルもなぜかその傾向は出ていますね。ゲームに生かされているかどうかは分かりませんが……。ただ、ゲームから実際のサッカーやフットサルに生かされているなと感じることはあります。これは昔から思っていたのですが、俯瞰視点でゲーム画面をみているせいか、実際にプレーしていても俯瞰視点でピッチ全体をイメージしやすい気がしますね。

――実際のプロサッカーを観戦されますか? それがプレーに影響することはありますか?

ミヤナンバー テレビ観戦であれば、主に海外サッカーを観戦しています。個人的にはプレーには影響していないと思っていますが、知らず知らずのうちに好きな選手のプレースタイルを真似しているのかもしれませんね。そういった好きな選手を模倣する楽しみもFIFAクラブにはあると思いますよ。

夢は世界大会を開催して日本のクラブが世界一になること

――JeFAでは11人対11人の国内大会だけではなく、アジア諸国を巻き込んで、ACLの開催をしています。始めたっかけは何ですか?

ミヤナンバー そこに大会を行える環境があり、誰もやっていなかったからです。単純に、国内最強を決めるより、アジア最強を決める大会のほうが面白いじゃないですか。

――海外にもJeFAのような協会は存在しますか? 海外の協会、チームとはどのようにコンタクトをとっていますか?

ミヤナンバー ヨーロッパにも私たちと同じようなことを行っている団体があります。つい先日もその団体と話をしています。近い将来、何かしら大きな発表が出来るかもしれませんね。海外チームとは、SNS、スカイプで連絡を取り合っています。

――海外チーム同士の対戦で、回線トラブルなどは発生しますか?

ミヤナンバー たまに、何名か回線が切れてしまったという事が起きますが、再試合を行えば最後まで行えますし、そこまで気になるような回線トラブルはありません。

――海外チームと国内チームでプレースタイルの違いは感じますか?

ミヤナンバー 国内チームのほうがパスを繋ぐ傾向が強くビルドアップも丁寧な気がします。これは国民性の違いなのでしょうか。他のアジアチームは、より速く、より強烈な個の力でくる傾向が強いですね。ヨーロッパクラブのプレースタイルはまだよく分からないので見てみたいですね。

――初心者でもチームに参加、協会に登録することはできますか?

ミヤナンバー はい、可能です。

――協会や登録チームに入会するにはどのようにすればいいですか?

ミヤナンバー 協会登録はこちらのページから行ってください。
http://jsl.main.jp/wp/?page_id=2792

JSL登録チームへの参加希望でしたら、チームキャプテンにPSNメールで直接問い合わせるか、準会員登録してもらい、クラブ参加希望を記載して頂ければ声が掛かるかもしれません。

こちらのURLが次回大会のページになりますので、クラブキャプテンにご相談ください。
http://jsl.main.jp/wp/?p=2758

――団体としての目標、夢はありますか?

ミヤナンバー FIFAクラブモードは、一瞬の判断力と技術力、緻密な戦略性、チームとしての纏まり全てにおいて非常に高いレベルが要求される団体競技です。たかがゲームでしょう? という世間一般の概念を少しずつ変えていきたいですね。夢は世界大会を開催して日本のクラブが世界一になること。そのためにも、まずはACLを盛り上げて世界と戦う基盤を整えていきたいと思います。ヨーロッパに偏りがちなサッカーですが、eスポーツの世界から覆していきたいですね。

日本eスポーツサッカー協会HPhttp://jsl.main.jp/wp/
Twitter@FIFA_JSL

 

By サッカーキング編集部

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