
文=池田敏明
写真=市川陽介、ウニベルシダ・デ・チリ
2010年の南アフリカ・ワールドカップ、南米から出場したブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、そしてチリの5カ国がすべて決勝トーナメントに進出する中で、チリの16強進出は多少の驚きをもって伝えられた。スペイン、スイスと同グループという難しいグループステージを2勝1敗という好成績で突破。スペイン戦では37分に退場者を出すまで互角以上の戦いを演じ、決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れたものの、この大会で見せた超攻撃的なサッカーは各方面から高く評価された。
チリサッカー協会のセルヒオ・ハドゥエ会長は、南米大陸におけるチリのポジションを「ブラジル、アルゼンチンに次いで“第2グループ”にいる」と話している。実際、現在行われているブラジル・ワールドカップの南米予選ではアルゼンチンに次ぐ2位につけており、本大会出場権を視野に入れた戦いを繰り広げている。現地取材した名良橋晃さんも「知名度はそれほど高くないと思いますが、僕は注目しています」とその実力に太鼓判を押している。
名良橋さんは今回の取材で協会の本部を訪問し、ハドゥエ会長にインタビューする機会を得た。協会本部はサンティアゴ市のペニャロン地区にあり、オレンジを基調とした2階建ての建物とその裏に広がる2面のグラウンドが明るい雰囲気を醸し出している。
グラウンドの一方ではU−20チリ代表が練習試合を行っており、ピッチサイドには若者たちに熱視線を送るチリ代表クラウディオ・ボルギ監督の姿もあった。
「育成年代で目立った活躍を見せる選手が現れた場合、フル代表に招集する可能性はあるのでしょうか」という名良橋さんの問いに対し、ハドゥエ会長は次のように答えてくれた。
「もちろんです。ボルギ監督は若手を重用する監督なので、有能な選手が現れれば南米予選に招集することもあるでしょう。彼はいつもこうして若年代の代表チームも視察しています。フル代表の選手層を厚くする意味でも、若い選手の台頭は必要です」

ブラジルW杯の出場権獲得に加え、今のチリにはもう一つ、大きな目標がある。2015年に自国で開催するコパ・アメリカとU−17W杯だ。現在の代表チーム強化は2014年のブラジルW杯までではなく、その翌年のコパ・アメリカで優勝することを目指して続けられる。当然ながら若い選手を積極的に起用し、選手層を厚くしておかなければならない。そしてU−17W杯を目指すチームの強化は、その後のフル代表強化につながる。両大会で成功を収めることができれば、チリは今後、南米大陸で確固たる地位を築くことができるはずだ。
現在のウニベルシダ・デ・チリには、23歳のMFチャルレス・アランギスやMFエウヘニオ・メナ、25歳のMFマルセロ・ディアスなど、ブラジルW杯で主力を務める可能性のある代表メンバーがいる。また、18歳のFWアンジェロ・エンリケスやDFイゴール・リチノブスキ、20歳のフェリペ・ガジェゴスらは年代別の代表に名を連ねており、こちらも将来の代表候補だ。
「スルガ銀行チャンピオンシップ 2012」には、現在そして未来の代表プレーヤーがそろって来日予定。来るべきブラジルW杯に向け、彼らがどんなプレーヤーなのかをいち早くチェックするのも楽しみの一つだろう。
「個々の能力が高く、ショートパスをつなぐスタイルはチリ国内でもずば抜けています」と名良橋さん。ハドゥエ会長が「南米でもトップクラスのチーム」と胸を張るチリサッカー界きっての強豪、ウニベルシダ・デ・チリが、間もなく日本の地を踏む。
【動画編】名良橋晃「チリサッカー、ココがすごい!」