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仏1部の育成組織に所属するGK山口瑠伊、U-17代表招集で果たした「3つの再会」

2015.07.20

文・写真=川端暁彦

 山口瑠伊にとって、今回の「国際ユースサッカーin新潟」に臨むU-17日本代表に選ばれたことは「3つの再会」を果たすことを意味していたようだ。

 フランスリーグ1部のFCロリアンのU-17チームに所属する山口瑠伊にとって、今回の代表招集は大きな驚きであると同時に確かな喜びだった。代表に呼ばれたのは過去に1度、U-15日本代表候補に名を連ねたことがあったのみ。「候補」の2文字がなくなったのはこれが初めてのこととなる。そして当時、彼の所属チームはロリアンではなく、FC東京U-15深川だった。

 この世代のFC東京はGKが豊作の年だった。深川の正GKの座を山口が激しく争っていたのは、現・U-18日本代表の廣末陸(青森山田)。「陸とはずっと競い合ってきた。自分が出ていた時期もあれば、あいつが出ていた時期もある。でも全国大会ではあいつがゴールを守って本当に悔しかった」と振り返る。

 ただ、最終的にU-18チーム昇格を勝ち取ったのは山口のほうで、廣末は新たな挑戦を求めて遠く青森へと旅立った。ただ、U-18チームで先に高い評価を得たのはFC東京U-15むさしの正GKだった波多野豪。195センチの巨体を誇る波多野は、現在トップチームにも登録されていることからも分かるように、クラブの期待値が非常に大きかった選手である。山口は一念発起して、新たにサッカーへ集中できる環境を探し、フランス人である父の母国に新天地を求めることとなった。

 ロリアンでは「自分で考えて自分でやる」という欧州流のスタイルに挑戦しつつ、意欲的に練習へ励んできた。今回の合宿ではFC東京U-15の1年生だった時期に師事していた浜野征哉GKコーチに再び指導を受け、「GKとしての細かなところを鍛え直してもらえた」と奇縁を喜んだ。

 奇縁と言えば、FC東京U-15深川時代のチームメートであるDF杉岡大暉(市立船橋)とも「また同じチーム、しかも代表でプレーできるなんて!」(山口)という驚きの再会を果たすことに。杉岡も「またこういう場で一緒にやれて本当に嬉しい」と懐かしみつつ、「足元がめちゃくちゃ上手くなっていてビックリした。以前は全然上手くなかったんですよ」と、その成長に目を見張ったと言う。

 そして今回はU-18代表との合同合宿が行われたことで廣末の存在をあらためて感じることにもなった。同学年ながら1つ上の代表でメンバーに食い込んでいるライバルとの再会に刺激を受けぬはずもない。「陸はやっぱり上手い。でもいつか2人で一緒にU-18代表に行けたら」と夢を語る。

 来たる新シーズン、山口はロリアンのU-17チームからU-19チームに昇格し、また新たなポジション争いを始めることになる。中学3年間の続きを代表チームでやりたいという新たなモチベーションは、その厳しい争いにおいて大きな糧となりそうだ。

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