2016.01.12

「良い攻撃は良い守備から」…東福岡の優勝に隠された高い守備組織

higasi
17年ぶりの栄冠に輝いた東福岡[写真]=瀬藤尚美
世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。巷ではユース教授と呼ばれる。

 まさに守備の勝利だった。

 東福岡が第94回全国高校サッカー選手権大会決勝の大舞台で、國學院久我山を5-0と圧倒し、17年ぶりの優勝を果たした。どうしても世間の注目は5得点を奪った攻撃陣に目がいくが、試合の勝敗を左右したのは、間違いなく東福岡の守備であった。この試合、立ちあがりから東福岡は、相手のストロングポイントを消しながら、自分たちのストロングポイントを発揮するサッカーを展開した。

 國學院久我山のストロングポイントとは、トップ下の名倉巧とセンターフォワードを務める澁谷雅也のコンビネーションと、左FW小林和樹と右FW内桶峻の両ワイドのカットイン。東福岡の森重潤也監督は両ワイドには林雄都小田逸稀の両サイドバックを当てて、さらに三宅海斗橋本和征の両ウイングには頻繁にプレスバックをさせ、両サイドの起点を奪った。そしてアンカーの鍬先祐弥が、センターバック2枚と連携して名倉と澁谷をマーク。鍬先が守備に引っ張られたスペースを、2シャドーの一角である中村健人が埋めるという、統一意識の取れた守備を披露した。

「名倉と澁谷にスペースを与えるのが嫌だった。スペースがあれば2人で崩しにくるので、警戒した」という森重監督の指示を忠実に実行し、國學院久我山の攻撃力を押さえこむと、連動した守備からの攻撃も効力を発揮した。

 東福岡の攻撃の狙いは、「相手のDFラインはゾーンで守ろうとするので、ボールサイドに寄って逆サイドが空く」(森重監督)ことにあった。そして36分に狙いどおりの形で均衡を崩した。

 左サイドの連携でボールを運ぶと、相手の守備陣がボールサイドに寄ったのを見逃さなかった中村が、バイタルエリア中央に入りこんだ餅山大輝にクサビのパス。餅山がDF2人を食いつかせてから、大外に走りこんだフリーの三宅へ。三宅のシュートで先制すると、東福岡の守備の連携はより研ぎ澄まされていく。

 42分には澁谷の突破に対し、センターバックの児玉慎太郎が素早い体の寄せでボールを奪うなど、キーマンに自由を与えない。47分に中村が技ありFKで追加点を奪うと、65分には國學院久我山DF宮原直央の強烈なシュートを福地聡太が顔面でブロック。この直後に餅山の3点目が生まれた。そして、3-0となった後も、68分に澁谷の突破からのシュートをブロック。すると、70分に藤川虎太朗が4点目を奪い、71分にはGK脇野敦至が澁谷との一対一をファインセーブ。得点した後の相手のチャンスをことごとくつぶしたからこそ、攻撃陣は点数を重ねることができた。終ってみれば、5-0の完勝。17年ぶりの栄冠を手にした。

「本当に守備陣ががんばってくれた。相手の名倉と澁谷のマークをしっかりやって、仮に2人を止められなくても、相手の両ワイドを消すことができた。その後の7番(ボランチの鈴木遥太郎)の進入もさせなかった。相手のキーポイントをしっかりと抑えてくれた。GK、DF陣はもちろん、うちの両ワイドFWもプレスバックをさぼらずにやってくれた」(森重監督)

 まさに全員でつかんだ勝利。サッカー界でよく言われる、「良い攻撃は良い守備から生まれる。それを徹底して言い続けてきた」(森重監督)を、見事に体現してみせた東福岡。派手ではなく、地味な部分で手を抜くことなくコンプリートしたからこその栄冠であった。

文=安藤隆人

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