2016.01.07

ベスト4目前で敗退も前を向く鳳凰・嶋田監督「ここは彼女たちの通過点」

鳳凰
準々決勝で藤枝順心に敗れた鳳凰 [写真]=吉田孝光
10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

 4年ぶりの高校女子選手権を戦う鳳凰高校(九州第2代表/鹿児島)は、準々決勝で優勝候補の藤枝順心高校(東海第1代表/静岡)と対戦し、一時は2-2の同点としたが、惜しくも後半に勝ち越されて今大会から姿を消すことになった。

「立ち上がりに失点するところなんか、まだまだ若い。うちは3年分、高校選手権に来られなかったからね。ちょっと相手のことを怖がりすぎたかな」

 そう振り返る鳳凰の嶋田正照監督は、敗退が決まって泣き崩れる選手たちの横で、穏やかな表情を浮かべていた。

 8年前に高校女子選手権を制覇した鳳凰は、昔から現在まで、その流儀は変わらない。ピッチ上の11人が集中力を高く保ち、実直にプレーする。毎年、技術に長けた選手がいるわけではないが、試合終了まで好守ともに真面目なサッカーを繰り返すことができるのが、鳳凰のスタイルだ。その真面目なサッカーが、今大会屈指のテクニックを誇る藤枝順心イレブンを準々決勝で苦しめた。

 鳳凰は立ち上がりこそ失点を重ねたが、後半になってもボールを持つ相手を複数で囲い込み、微塵ほどのチャンスがあるならば、どんな時間帯であってもゴール前に走り込んだ。相手の守備陣を完全に崩す美しい形の得点ではなかったが、真面目な鳳凰のサッカーを象徴するような44分、54分のゴールだった。

 今大会無失点で準々決勝に駒を進めてきた藤枝順心は、思わぬ形で2-2とされ、今大会で初めてピンチに陥る。

「しかし、(藤枝順心は)個々に力のある相手ですからね。中盤がアンバランスだったこともあり、なかなか対処できなかった」(嶋田監督)

 先制点を挙げるだけなく、2点目を演出した藤枝順心のFW児野楓香が再び起点となり、すぐさま藤枝順心がリードを奪い返して2-3に。鳳凰はそれからも、ぎこちない攻撃の形で藤枝順心ゴールを目指したが、再度ゴールネットを揺らすには至らなかった。

 鳳凰の嶋田監督は上級の指導者ライセンス取得のために、ここ数年間はチームから離れることが多かったという。綿密な指導ができない間に、九州・東北地方の高校に取って代わるように、関西・東海地方の高校が全国の舞台で勝ち始めるなど、高校女子サッカーの勢力図がわずかに変わっていくのを見届けるしかなかった。しかし、久しぶりに全国の舞台を味わった嶋田監督は、驚くほどに晴れやか。

「もちろん相手のミスはあったが、意図的に得点が奪えたし、彼女たちにとって、ここは通過点。この3年間で守備の精度を少しずつ上げて、今後の彼女たちのサッカー人生におけるベースみたいなものは作れたと思う。彼女たちは鳳凰を卒業しても、どこでもプレーできますよ」

 涙が乾かないうちにゆっくりとロッカールームに下がっていった選手たちの後を追って、嶋田監督は教え子たちの元へと戻っていった。

文=馬見新拓郎

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