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U-16日本代表が横浜FMユースに敗北 吉武監督も苦言を述べた日本サッカーの課題

2014.03.24

文=川端暁彦

 23日、神奈川県内で強化合宿中のU-16日本代表が横浜FMユースの新1年生チームと練習試合を実施し、0-1で敗れた。

 来年のU-17ワールドカップを目指して活動しているU-16日本代表のコアメンバーは、対戦相手と同じく新高校1年生。前回の合宿は高校受験を控える選手たちが軒並み招集できなかったため、吉武博文監督が呼びたい選手を呼べた合宿は久々だった。対戦相手も同世代ということもあり、内容面でも上回りたいところだったが、残念ながらそうはならなかった。

 開始早々の4分に、U-16日本代表のパスミスを横浜FMのMF吉尾海夏が決めたことで、試合の主導権を握るのは、むしろ横浜FMのほうだった。吉武監督が「がっくりした」と端的に表現したのも無理はない。意図的な崩しにつながるようなパスワークはほとんどなく、かといって強引に破るような力強さがあるわけでもない。結局、この1点が決勝点。U-16日本代表は、同世代を相手に0-1での苦い敗戦となった。

 試合後、近くの味方に渡していくだけのパスプレーの連続に、吉武監督も「相手がコンパクトにしているのだから、背後を狙って(相手の守備を)広げる選手が出て来ないと」「新しい選手ばかりを呼んだ合宿なら分かるが、今回はそうではない。一体、どうやって伝えていけばいいのか…」と、状況判断のできない選手たちに渋い顔を浮かべるばかりだった。

 吉武監督の指摘で興味深かったのは、「(日本の特徴として)相手の無謀な守備が効いてしまう」ことを挙げていた点だ。近くの味方に渡していくだけの意図のないパスワークだと、しっかりと組織を作って守る相手よりも、ボールに向かって個人が突撃を繰り返すような単純な守備に弱くなる。サニックス杯を戦った一つの上のU-17日本代表が杭州緑城に敗れたときも、まさにそうだった。大人に当てはめて考えても、たとえばACLでも見られる傾向だろう。「相手の守っていないところを攻める」のが常道なのだが、一つのやり方にハマって試合の大局をイメージできなくなるようでは、なかなか結果も付いてこないだろう。

 もちろん言うまでもなく、この世代は発展途上であり、この試合も通過点。このままの状態ではアジアで勝てない恐れも強いが、経験豊富な吉武監督が無為無策で放置するはずもない。むしろ、「ここからチームをどう変えていくのか」が楽しみになる一戦だった。

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