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【9連覇の軌跡】 マッシミリアーノ・アッレグリ時代編 | 卓越した手腕で築いた“最強”の5年間

2014-15シーズンから18-19シーズンまでユヴェントスを率いたアッレグリ監督 [写真]=Getty Images

 アントニオ・コンテの後任として指揮権を握ったマッシミリアーノ・アッレグリへの期待は、当初決して大きくなかった。

 ミランでは就任1年目の10-11シーズンにスクデットを獲得したものの、その後の実績は尻すぼみ状態で、ユヴェントスファンの間には「ベストな指揮官が見つかるまでの“つなぎ”」という見方が少なからず存在した。

 ところが彼は、そんな下馬評を卓越した手腕で覆してみせる。在任5年間における貢献度は、むしろ前任者を上回るものだった。

 1年目の14-15シーズンは、コンテが作り上げた3-5-2のスタイルを継続。自らのオリジナリティーをほとんど加えることなくモチベーターに徹し、まずは勝ち点3を積み上げることに専念してチームを軌道に乗せた。その後、少しずつポゼッション志向を植えつけてチームを変貌させると、一度も首位の座から落ちることなくスクデットを獲得。チャンピオンズリーグ決勝ではバルセロナとの力の差を痛感させられる完敗を喫したものの、この舞台で得た“リベンジ”の意識をモチベーションとする大きな流れを作った。

 迎えた2015年夏、戦力的な転換期に差し掛かったチームはピルロやアルトゥーロ・ビダル、カルロス・テベスら中心選手を放出したが、パウロ・ディバラ、サミ・ケディラ、マリオ・マンジュキッチ、アレックス・サンドロ、フアン・クアドラードなど多くの即戦力を補強。これがことごとく大当たりし、ユヴェントスらしいフロントの安定感を示すことになる。

 本格的なポゼッション型への変貌を遂げ始めたチームは、新戦力がユヴェントスの“水”に慣れると本領発揮。中でも1年目にして19得点を記録したディバラの勢いに引っ張られるようにして2月には首位に浮上し、最終的には2位ナポリに9ポイントの差をつけて連覇を「5」に伸ばした。この結果を受けて、アッレグリは2018年までの契約延長を勝ち取った。

 アッレグリ体制3年目の16-17は、チャンピオンズリーグ制覇に最も近づいた1年だった。

 シーズン前半戦を3-5-2で戦ったチームは、しかし冬を迎える頃に故障者が続出。それでも指揮官アッレグリは、ターンオーバーやコンバートによる巧みなマネジメントでチーム力を維持し続けた。中でも大きなサプライズだったのは、それまでセンターフォワードのイメージが強かったマンジュキッチを左サイドで起用したことだ。これが想像以上に強力な“ブースト”となって一気に一体感を高めたチームは、ついに完成の域に達して再び欧州頂上決戦へと駒を進めた。ところが、またしてもユヴェントスはビッグイヤーをつかみ損ねる。レアル・マドリードとのチャンピオンズリーグ決勝は「ユヴェントス有利」の予想が大勢を占めたが、それを体現することはできなかった。

 結果的に、17-18シーズンからの2年間はいずれもベスト8で敗れて早々にCLの舞台から姿を消した。もっとも、セリエAにおいては「ほとんど危なげなかった」と言っていい。シーズン序盤にディバラがゴールを量産した17-18は終盤までナポリとタイトルを争ったが、第35節インテル戦の逆転勝利によって地力の差を示した。翌18-19は「クリスティアーノ・ロナウドにフィニッシュを託す形」をいち早く作り、レオナルド・ボヌッチが戻った最終ラインは安定感を取り戻した。アッレグリは自らのリーグ連覇を「5」に伸ばし、クラブとしての連覇はコンテ時代と合わせて「8」にまで伸びた。

 しかし「何としてもCLを」と意気込むクラブは徐々に“違う方法”を模索するようになり、そのための一手として2018年夏にレアル・マドリードからC・ロナウドを獲得し、同年秋にはマロッタGMとの別れを決断する。新たな強化責任者となったのは、マロッタの右腕としてサンプドリア時代から仕事をともにしてきたファビオ・パラティチ。C・ロナウドを電撃加入させた張本人がトップに立ったことで、ユヴェントスはまた新たな時代に足を踏み入れた。

 アッレグリが率いた5年間のユヴェントスは、間違いなく“最強”だった。毎年のように“エース格”が移籍を決断する中で、それでも与えられた戦力を見事に使いこなし、毎年のように戦術的な刺激を加えてチームを強化した。ジャンルイジ・ブッフォンやボヌッチの移籍はもちろん、好不調の波が激しいディバラやゴンサロ・イグアインの起用法には苦労も見られたが、最後は必ずチームを一つに束ねてスクデットへと導いた。

 ただし、ビッグイヤーにだけはどうしても手が届かなかった。指揮5年目の18-19シーズンはベスト8でマタイス・デ・リフトやフレンキー・デ・ヨングらヤングタレントを軸とするアヤックスに完敗。この敗戦によって“終幕”の予感が一気に漂い、クラブは新たな指揮官を迎えて挑戦を続ける決断を下した。そうして誕生したのが、かつてはナポリを率いてアッレグリ体制のユヴェントスを苦しめた“元銀行員”、マウリツィオ・サッリ新監督だった。

文=細江克弥

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