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“3億ユーロ超え”の敏腕代理人 イブラやポグバらを抱えるライオラ氏の正体とは

2016.08.23

イブラヒモヴィッチやポグバらの代理人を務めるライオラ氏 [写真]=AMA/Corbis via Getty Images

 今夏、元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチやフランス代表MFポール・ポグバ、アルメニア代表MFヘンリク・ムヒタリアンをマンチェスター・Uに移籍させた敏腕代理人、ミノ・ライオラ氏。この人物の名前は移籍市場の期間中だけでなく、年中メディアに取り上げられ、その言動は常に注目を浴びている。ビッグスターを数多く手掛けるというだけでなく、その個性的なキャラクターはどちらかというと“影で大金を動かす”代理人というイメージからかけ離れている。自ら「私は自由人」というライオラ氏。その素顔に迫ってみた。

 ライオラ氏はイタリア生まれで、父親が貧しかったことから1歳の時にオランダ・アムステルダム近郊のハールレムへ移住。家族が経営するイタリア料理屋で、ウェイターやピッツァ職人として働き、ロースクールにも通った。サッカーは18歳まで地元ハールレムでプレーしていたものの、ひざの故障によりプロ選手への道を断念したという。

 代理人業へのきっかけは、オランダサッカー界とのつながりだった。アヤックスでプレーしていた元オランダ代表のデニス・ベルカンプ氏やブライアン・ロイ氏らの代理人を務めて実績を残す。

 そして1996年、その夏に行われたユーロで活躍した元チェコ代表のパヴェル・ネドヴェド氏に対して、「私に全てを任せてみないか」という誘いで代理人を買って出ると、ラツィオへ売り込んで移籍交渉が成功した。しかしその後、当時のラツィオの経営破たんを見抜き、ユヴェントスへの移籍に向けて熱心に動く。この水面下での交渉は、ネドヴェド氏には全く伝えられていなかったため、本人は激怒し、夫人もローマではなくトリノに到着したプライベート機を降りて涙したという。

 これまで成立させた移籍金の総額が3億ユーロ(約341億円)を超えたという彼の手腕はオリジナリティーがあり、強引でかつメディアを利用したり煙に巻いたりすることが多い。イブラヒモヴィッチがライオラ氏に初対面した時、Tシャツにジーンズ姿の同氏を見て「何だあいつ? 小太りのおチビちゃんとビジネスの話かよ?」とつぶやいたという。

 しかし、数多くのビッグプレーヤーからの信頼を勝ち取り、ビジネスに成功している点は無視できない。最近では史上最高額の移籍金1億500万ユーロ(約119億円)でマンチェスター・Uに復帰させたポグバを筆頭に、イブラヒモヴィッチ、ベルギー代表FWロメル・ルカク(エヴァートン)、U-21イタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマ(ミラン)、サッカー界の問題児・FWマリオ・バロテッリ(リヴァプール)など、担当する選手は個性的だ。

 ただ敵も多く、ポグバが以前マンチェスター・Uにいた時の指揮官だったアレックス・ファーガソン氏は「好まない代理人が1、2人いる。そのうちの1人がライオラだ。彼と私は水と油のような関係だよ」と、きっぱり不仲だと表した。また元ミラン指揮官のシニシャ・ミハイロヴィチ氏(現トリノ指揮官)は「ライオラ氏のような人間とはサッカーの話はできない。彼が素晴らしいピッツァ職人であると知っている。ぜひ我が家に来てもらって、うまいピッツァの作り方を伝授してもらいたいものだ」と、そのプロフェッショナル性を否定している。

文=赤星敬子

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