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スタメン奪還を目指す2年目の武藤嘉紀 内田篤人はゆっくりと歩みを進める

2016.08.27

シャルケの内田篤人(左)とマインツの武藤嘉紀(右) [写真]=Bongarts/Getty Images

 ブンデス2シーズン目に挑む武藤嘉紀は激しいポジション争いにさらされている。昨シーズン、マインツに加入した武藤は前半戦17試合だけで7ゴール4アシストを記録し一躍名を上げたが、後半戦はケガでほとんど棒に振るとFWジョン・コルドバにポジションを奪われてしまった。プレシーズンでもセンターフォワード(CF)で2番手の扱いを受けており、序列を覆そうと奮闘している。

ジョン・コルドバ

武藤から先発の座を奪ったコルドバ [写真]=Bongarts/Getty Images

 チーム始動日に参加した武藤だったが、最初は昨シーズンのケガの影響で個別メニューをこなしていた。7月のアメリカ遠征では実践復帰を果たしコンディションを上げていったが、すべてがすべて思い通りに準備できたわけではない。マインツは球際での激しさが持ち味で、昨シーズンは走行距離でもブンデス18チーム中最高の成績を残した。ゆえにプレシーズンでも持久力、スプリントを重視した練習が行われていた。

 球際での激しさを重視した結果か、武藤は7月末に一対一の練習で相手に後ろから抱え込まれるように倒され、その際にひざを痛めて数日間練習を休まなければならないことがあった。もう少しずれていたら数週間離脱をしなければならない可能性もあったそうだが、まずはケガなく開幕を迎えられそうだ。

 ドイツにきて体はひと回り大きくなったものの、体が重くなること嫌い過度に筋力トレーニングすることは避けている。一瞬のスピードで勝負するタイプなだけに、強引に止めようとする相手ともつれて再びケガをする可能性は決して少なくない。深刻なケガには気を付けてほしいところだ。

武藤嘉紀

スタメン奪還を目指す武藤嘉紀 [写真]=Bongarts/Getty Images

 タイプの異なる武藤とコルドバの実力は互角だが、マーティン・シュミット監督は前線でボールをキープすることのできるコルドバを好んでいる。武藤は結果を残すことが最大にアピールに繋がると考え、プレシーズンから貪欲にゴールを狙う姿勢を見せた。シュミット監督も武藤の実力で買っているようで、練習試合ではコルドバとの2トップを試すこともあった。ただ、前線のレギュラー争いは激しく、DFBポカール1回戦で武藤はベンチからも外れることになった。

 ただ、今シーズンはリーグ戦、カップ戦に加えてヨーロッパリーグにも出場するマインツは、3つの大会を並行して戦うため試合数が多くなり、シーズンを戦っていくうえで武藤の力は必ず必要になってくる。攻撃陣はユーティリティの高い選手が多く、武藤自身も2列目でプレーできる。結果を出せばどのポジションだろうと起用される可能性は高くなり、そうなればさらなるアピールのチャンスをもらえることになる。出場機会をもらったらなるべく早く結果を残したいところだ。

 長引く右ひざのケガからの復帰を目指す内田篤人は、ゆっくりと歩みを進めている。日本でのリハビリを終えた内田は7月に渡独。シャルケのオーストリア合宿ではセカンドチームで全体練習に部分的に合流したそうだが、症状が悪化したことで8月下旬に一度日本へ帰国し、2週間ほど治療を受けることになった。順調に回復すれば、渡独後トップチームの練習に部分的に合流する予定だという。

内田篤人

2015年3月から出場がない内田篤人 [写真]=Bongarts/Getty Images

 復帰が遅れ、最後の出場となった2015年3月のチャンピオンズリーグ・レアル・マドリード戦からは1年半近くの時間が経ってしまった。クラブは昨シーズン、ジュニオール・カイサラ、ザシャ・リーターと2人の右サイドバックを補強したが、クリスティアン・ハイデルSDとマルクス・ヴァインツィール監督が就任し新たな船出となる今シーズンはセビージャからDFコケを獲得した。欧州の舞台でも経験豊富なコケの加入は内田の不在を十分に埋めうる補強であったが、そのコケも右ひざの靭帯を痛めて長期離脱が決まってしまった。クラブとしても内田の早期復帰を望んでいるのが本音だろう。内田が戦列復帰を果たせば、カイサラとリーターの2人とポジションを争うことになる。長らくピッチから遠ざかっていたことを考えればまだ時間は掛かるだろうが、これまでの実績を考えればポジションを奪う可能性は十分にあるといえるだろう。

文=山口裕平

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