2016.03.05

「今季最後に間に合えばいい」…内田篤人、古巣・鹿島から受けた激励を胸に再起を図る

内田篤人
シャルケでトレーニングに励む内田篤人 [写真]=元川悦子
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 昨年6月に右ひざ手術以降、長期離脱中の内田篤人(シャルケ)が5日、古巣・鹿島アントラーズの今季ホーム開幕戦・サガン鳥栖戦をカシマスタジアムで観戦。試合後、報道陣の前に姿を現した。

 この日の鹿島は2月にポルトガル2部のポルティモネンセから完全移籍した金崎夢生が31分に奪ったヘディング弾が決勝点となり、1-0で勝利。開幕2連勝という好発進を見せている。

「夢生がいなかったら、結構、きつかったかもしれない。(ポルトガルから)帰ってきて、ホントによかったよね。

 鹿島のみんなには『早くやれ』って言われました。(小笠原)満男さんには『休み過ぎだ』って(苦笑)。『そのうちやります』って返しましたけど。みんな(ケガのことを)心配しすぎでしょう。大丈夫ですから」と内田は古巣の仲間たちから手痛い激励を受けたことを明かした。

 肝心のひざは一進一退の状況が続いている様子だ。今回の帰国直前の2月中旬も、シャルケでフルメニューをこなした翌々日の全体練習に不参加となるなど、不安定な状態から依然として脱しきれていない。フルメニューを消化した日は、6対2のボール回し、5対5のミニゲームとインターバル走を何本か繰り返す流れで、合計1時間半のトレーニングだったが、本人が「まだ全然でしょ」という言葉を残したように、ベストの体調には程遠い印象だった。

 現在は国内で治療とリハビリに専念しているが、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「ホントに難しいオペをしたわけで、彼が復帰するためには、長い時間と我慢、慌てないことが必要になる。我々が予想しているより難しい。いきなり明日復帰できるわけではないと思う」とネガティブな見通しを口にしていた。

 それでも、内田自身は「まあ(ひざの)場所がちょっとあれなんで…。毎日、のんびりやっていますし、(ドイツに戻るのは)そろそろじゃないですか。予定は未定だから、いつ復帰とかそういうのは言えないです。でも今季最後に間に合えばいいというのは、つねに狙っています。

 ハリルさんともこっちで会いましたし、この前、ドイツでご飯をご馳走してもらったんで、『ご馳走様』って言いました。ハリルさんはドイツでもサッカーの話ばっかりしていましたけどね」と努めて明るく前向きに振る舞っていた。

 彼の言葉通り、ドイツに戻ってからコンスタントに全体練習に加わり、練習試合などで実戦を積むことができれば、今シーズン中の復帰も確かにあるかもしれない。ただ、シャルケのアンドレ・ブライテンライター監督が「今シーズン中の復帰は難しいだろう」とドイツ紙に語っていて、その確率は低そうだ。

 実際、シャルケの右サイドバックは目下、内田より1つ年下のブラジル人DFのジュニオール・カイサラがコンスタントにピッチに立っている。彼は運動量豊富で的確なポジショニングが取れるクレバーなタイプで、どちらかというと内田に似たタイプかもしれない。指揮官もカイサラのパフォーマンスにはある程度、満足している様子。しかもシャルケはヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント1回戦でシャフタールに敗れたため、今シーズン終盤はブンデスリーガだけを戦えばいいのだ。

 こうしたチーム事情を考えると、慌てて内田を復帰させる必要があるとも思えない。ブライテンライター監督もそう考えているはずだ。

 こうした中、内田が今、やるべきなのは、慌てずじっくりひざの状態を落ち着かせること。それしかない。この日、メディアに見せた爽やかな笑顔からは、復帰に一歩近づいた手ごたえと自信が少なからず見て取れた。鹿島の快進撃から前向きなエネルギーを得て、彼には回復のスピードを上げてほしいものだ。

文=元川悦子

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