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ドイツサッカー界が見せる社会貢献活動…多くのクラブが難民をイベントに招待

2015.09.17

難民を歓迎するザンクトパウリとドルトムント [写真]=Borussia Dortmund/Getty Images

文=鈴木智貴

 社会に利益を還元する――サッカー界におけるこうしたテーマは、今や普遍的なものとなりつつある。

 ドイツ紙『ビルト』が伝えた内容によると、日本代表DF酒井宏樹とMF清武弘嗣が所属するハノーファーのマーティン・キント会長が、本拠地HDIアレーナに2人のゲストを招待したという。

 その2人とは、イラク出身のイフサン・カラフと、シリア出身のロクマン・アリ。戦禍を逃れて祖国を脱出し、ドイツに難民として受け入れられた男たちだ。

 彼らのスタジアム訪問が実現した背景には、難民支援グループのトップを務めるハイディ・メアクという女性の存在がある。彼女は、かつてハノーファーの市長だったヘアベアト・シュマルシュティーグの夫人であり、政財界を含めた地元のコネクションは豊富。そこから「何か2人にしてあげられることはないか?」とハノーファーに提案してきたのがきっかけだったそうだ。

 同クラブのマーティン・キント会長はこれを快諾し、カラフとアリはスタジアムに招かれ、ユニフォームのプレゼントも受け取ることができたという。さらには同会長の発案で「練習に参加してみては」ということにもなった。

 もちろん2人ともサッカー未経験者ではなく、それぞれイラクとシリアの1部リーグでプレーしていた元プロ選手。ただし、キント会長によれば、「アマチュアチームの練習に招待する」とのことで、U-23ハノーファーでトレーニングをすることになったという。したがって彼らが清武や酒井と一緒にボールを追うわけではないが、それでも心に傷を負ったカラフとアリにしてみれば、つかの間のリフレッシュになることは間違いないだろう。

 他にも最近では、フォルトゥナ・デュッセルドルフが5月のザントハウゼン戦に400人、8月22日のフライブルク戦でさらに150人を招待している。しかしこれらはほんの一例にすぎず、このような話はドイツ国内のいたるところで聞かれる。

 しかも、こういった慈善活動は、何も1部や2部のクラブに限った話ではない。

 地元誌『レヴィーア・シュポルト』によると、6部リーグに所属するシュテアクラーデ・ノルドは、8月のリーグ戦でBWオーバーハウゼンとのダービーに、ドイツにやって来たばかりの避難民80人を招待。「我々のクラブを彼らに紹介するチャンスが得られてうれしく思っている。これを通じ、彼らが(シュテアクラーデ・ノルドが拠点を置く)シュマハテンドルフでの生活にうまく馴染んでくれることを期待している」と説明すれば、それより下の7部リーグに属するSVアドラー・オスターフェルトも、毎週金曜15時15分から移民の宿泊所を訪れ、併設されているグラウンドで一緒にトレーニングを行うという活動を行っており、「サッカーボールを追うことで彼らが楽しみを得られればと思ってね。それを通じて、彼らが祖国で味わった苦しみを一瞬でも忘れられたら」と話している。

 サッカーを通じた社会貢献が、今後ますます当たり前の存在になってくれることを願ってやまない。

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