2016.01.21

最強バルサを支える“便利屋”S・ロベルト…生え抜きの“元神童”が下した勇気ある転身

セルジ・ロベルト
S・ロベルトは今季7つのポジションで起用されている [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 2015年、FIFAクラブワールドカップを制覇して、“年間5冠”を達成したバルセロナ。最強の座を不動のものとした彼らだが、2016年に入ってからもその勢いが衰える気配はない。20日に行われたコパ・デル・レイ準々決勝ファーストレグでは、アスレティック・ビルバオの敵地に乗り込んで2-1で勝利。公式戦5連勝、10月3日リーガ・エスパニョーラ第7節セビージャ戦(1-2)に敗れて以来、23試合連続無敗を達成した。

 快進撃を続けるバルサの原動力となっているのは、やはり“MSN”だ。リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールによるお馴染みのトリデンテ(3トップ)は、今年に入ってからチームが挙げた18ゴールのうち72%に当たる13ゴールをマーク。やはり、“MSN”あってのバルサであることを思い知らされる。

 もっとも、その3人の主役たちに負けず劣らず、地元メディアから注目を集める男がいる。それが、地元スポーツ紙『スポルト』が日々掲載する風刺画で、そのキャラクターを“万能ナイフ”に例えられた、MFセルジ・ロベルトだ。

 その特徴は、マルチな才能にある。今シーズンここまで公式戦26試合に出場して、起用されたポジションは実に7つ。両センターバックとセンターフォワード、そしてゴールキーパー以外のすべての役割をこなし、いずれも高度なプレーを見せることで評価を高めてきた。

 ただし、S・ロベルトが脚光を浴びる理由は、“忍耐力”や“努力”といった人間力にこそある。

 もともとは、シャビやアンドレス・イニエスタの系譜を継ぐセンターハーフとして、将来を嘱望されたエリート選手だった。地元カタルーニャ州出身で14歳の時にバルサの下部組織に入団。テクニック、スタミナ、インテリジェンスの三拍子を備えるMFとして、すぐに“神童”と呼ばれた。2009年には、当時ルイス・エンリケ監督が率いていたバルサBに昇格。2010年11月には、18歳でジョゼップ・グアルディオラ監督率いるトップチームデビューを果たした。

 ところが、正式にトップチームの一員となったのは、それから3年後のこと。さらにようやく檜舞台に立てたと思ったら、待っていたのはベンチ暮らしの日々だった。昨シーズンまでのプロ生活2年間でリーグ戦29試合に出場したものの、先発出場はわずか5試合。シャビやイニエスタ、またイヴァン・ラキティッチらレギュラー組の高い壁を乗り越えられず、招集外になることも珍しくなかった。そして昨夏には、バレンシアを始めとして国内外から複数のオファーが届き、退団秒読みとされた。

 この時、バルサのユニフォームを脱ぐという決断を下していれば、今のS・ロベルトはなかったかもしれない。だが、L・エンリケ監督からの“ある提案”を受け入れてクラブに残ったことが、彼の運命を変えた。

 その提案とは、右サイドバックへのコンバートである。バルサB時代にアンカーや“偽9番”のポジションでプレーしたことはあったものの、サイドバックは未経験。だが本来ダニエウ・アウヴェスのバックアッパーを務めるべきドウグラスが負傷離脱、また新加入選手のアレイクス・ビダルはFIFAの補強禁止処分中により試合への出場が禁じられていたため、指揮官がS・ロベルトに白羽の矢を立てたのだ。そして、「一番大事なのは、試合に出ること。どのポジションでプレーしても、チームを助けることだ」と考えていたS・ロベルトも、これを快諾した。

 果たして、その選択は“吉”と出た。リーグ開幕戦で負傷退場したD・アウヴェスに代わって、公式戦では人生初の右サイドバックとして出場を果たすと、周囲の予想を上回るパフォーマンスを披露。その後も試合に出続けることで自信を深めると、本職の中盤で起用された際には、持ち味である躍動感あふれるプレーを見せる。さらに両ウイングや左サイドバックなどでも起用され、快進撃を続けるチームの“縁の下の力持ち”となった。

 この半年間で急成長を遂げたS・ロベルトについて、チームメイトのハビエル・マスチェラーノもこう賛辞を送る。

「最終的には、どの監督もセルジのような選手を求めることになる。常に準備を整えておくためには、とにかく辛抱強さや強い気持ちがなければならない。僕ら選手は、試合に出られなかったり、納得のいかない起用をされたりするとすぐに監督のせいにするけど、セルジは違う。彼の精神力は特筆すべきものだし、常日頃から準備ができている。チーム全員の良き模範となっている」

 バルサでは昨夏、カンテラーノの大量流出が相次いだ。無論、トップチームの登録枠や試合に出られる選手の数は限られており、バルサBがカテゴリーを3部に落としたこともその要因の1つではある。だが、一流選手がひしめくトップチームでの定着を早々に諦めて、より確実な道を選んだという見方もできる。そんな中、バルサBで4年にわたって下積み生活を送り、トップチームに昇格しても2年間は我慢を強いられながら、ついに成功を掴んだS・ロベルトのケースは、カンテラーノたちの新たな指標となるかもしれない。

 来月7日には、24歳の誕生日を迎えるS・ロベルト。“我慢の男”にようやく訪れた春に、地元バルセロナのファンも心からの拍手を送っている。

(記事/Footmedia)

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