2016.01.06

ジダン監督はレアルを再生できるのか? 鍵を握るアンチェロッティ時代への回帰

ジダン
レアルの新監督に就任したジダン(右) [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 4日からジネディーヌ・ジダンを新監督に据えて、再スタートを切ったレアル・マドリード。ジダンの監督就任は、フロレンティーノ・ペレス会長が数年前から温めてきたプランであり、そのタイミングは理想的とは言えないにせよ、迷いのない決断だったはずだ。

 もっとも、いくらクラブのレジェンドがチームを率いるようになったからといって、この先の成功が保証されているわけではない。一部のメディアやファンからは、指導者としてのキャリアは不十分ながら、就任直後から古巣に大きな成功をもたらした、バルセロナ時代のジョゼップ・グアルディオラ監督に重ねる声が挙がっている。だがジダンの場合は、シーズン途中からの監督就任というハンデを背負っているのだ。かつて、選手、監督、ディレクターと異なる3つの立場でレアルに関わったことのあるホルヘ・バルダーノが、スペインのラジオ局『カデナ・セール』で「リスクのある懸け」と指摘したように、現状がさらに悪化する可能性もあり、ペレス会長は“博打”を打ったとも言える。

 では、実際のところ、今回の監督交代によって、チームはどう変わるのだろうか。

 涙の就任会見からわずか7カ月でクラブを去ることとなった、ラファエル・ベニテス前監督の最大の過ちは、スター選手たちを気持ちよくプレーさせられなかったことだ。スペイン紙『マルカ』によれば、少なくとも7人の選手が指揮官の関係に問題を抱えていたとされる。そしてその象徴と言えるのが、クリスティアーノ・ロナウドとハメス・ロドリゲスだった。

 ロナウドは、ギャレス・ベイルをチームの中心に据える新プランが導入されたことで、昨シーズンまで与えられていた自由を謳歌できなくなった。またJ・ロドリゲスは出場機会そのものが激減し、背番号10を背負う者としてのプライドを傷つけられた。そんな彼らを代表として、選手たちのモラルは下降線をたどり、チームは勝てなくなった。

 ペレス会長の意向には逆らえないレアル特有のクラブ体質が、指揮官自身の守備的なゲームプランがこうした事態を招く根底にあったことは否めない。しかし、それらの前に、ベニテス前監督が選手たちの扱い方を誤ったことは事実だろう。

「まずは、選手の傍に立つこと、チーム全員と良好な関係を築くことが不可欠だ」。5日、監督としての初練習を終えた後に開かれた会見で、ジダンはそう語った。それは、前監督を反面教師とする宣言とも捉えられる。その点、指導者としての経験不足は否めないが、絶大なカリスマ性があり、選手時代の実績があるジダンには、“ボス”としての威厳が備わっている。選手たちがチームに対する忠誠心を取り戻すことはもちろん、ファンやメディアに新たな希望を与えることは間違いない。

 もっとも、新体制のスタートでそれまでの重い空気が一掃されるという現象は、世界中のどのサッカークラブにもあることだ。今回のレアルの場合、新たにチームのトップに立ったのが“ジダン”という特別なケースだが、この特効薬が成功に結びつくか否かは、本人の指導者としての腕次第である。

 ジダンは5日の会見で、今後目指す方向性について、「バランスを保った攻撃的なスタイル」、「後方からプレーを構築し、敵陣へ素早く侵入する」、「ボールをポゼッションする」という3点を挙げた。またベイル、カリム・ベンゼマ、ロナウドによる3トップ“BBC”を同時起用することも明言している。

 これらの言葉、また選手たちとの関係構築に関するコメントから推察できるのは、チームはまずカルロ・アンチェロッティ時代へ回帰することになるだろう、ということである。ジダンにとって、ユヴェントスでは選手として、またレアルではアシスタントコーチとして教えを乞うたイタリア人指揮官の影響はやはり少なくない。それに現メンバーの大半は、昨シーズンまでアンチェロッティ率いるチームで主力を担ったメンバーである。監督デビュー戦となる、10日のリーガ・エスパニョーラ第19節デポルティーボ戦まで数日間の準備しか与えられていない状況を考えれば、アンチェロッティ時代への回帰が現実的な選択肢だろう。

 ただしその師匠、そしてベニテス前監督が苦心したように、戦力バランスは明らかにいびつなチームをどうまとめていくかは、変わらぬ難題として新人監督の頭を悩ますことになるはずだ。また、求められているのはタイトルであり、状況が好転しなければ、今ある不満は思わぬ爆発を招くことになるだろう。

 幸い、チームはまだリーガとチャンピオンズリーグで2冠の可能性を残しており、モチベーションをかきたてる目標は存在する。そこに、「選手たちにとって正しいことをすることが大事だ」と語るジダンが、どうチームを導いていくのか。期待と不安が入り混じったなかでスタートした新生レアルに再び幸福の瞬間は訪れるのか、その行方に注目が集まる。

(記事/Footmedia)

欧州順位ランキング

チェルシー
34pt
アーセナル
31pt
リヴァプール
30pt
欧州順位をもっと見る
ライプツィヒ
33pt
バイエルン
30pt
ヘルタ・ベルリン
27pt
欧州順位をもっと見る
レアル・マドリード
34pt
バルセロナ
28pt
セビージャ
27pt
欧州順位をもっと見る
ユヴェントス
36pt
ローマ
32pt
ミラン
32pt
欧州順位をもっと見る