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オマーン戦を“人生のキーポイント”に 奪回に燃える原口元気

2021.11.15

原口元気 [写真]=JFA

「結構キーポイントになる試合があるんですよ、サッカー人生で。今、そういう試合をまたやりたいなと。日本代表でもポジションを奪っていくようなパフォーマンスを出せるような試合をやりたい。個人的には状態がいいので、チャンスかなと思っています」

 FIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選も前半5戦が終了して折り返し。16日のオマーン戦を目前に控えた今、はやる気持ち抑えられないのが、原口元気である。

 2018年のロシアW杯で右サイドのレギュラーに君臨し、ロストフのベルギー戦で値千金の先制弾を挙げた男は、森保一監督率いる現体制移行後、苦境を強いられてきた。その悔しさは常人の想像をはるかに越えるものがあったはず。主力の座を奪回し、チームを勝たせるのは今しかないと本人も燃えに燃えているのだろう。

 思い越すこと3年前。新チーム発足当初の原口は中島翔哉との左MF争いの渦中にいた。堂安律、南野拓実を含めた“三銃士”と呼ばれる2列目の推進力は凄まじく、瞬く間に日本代表の新看板となったため、「2列目の4番手」と位置づけられたのだ。その立場通り、2019年のアジアカップでは中島不在の左サイドに抜擢され、最大の武器である走力とハードワークで準優勝に貢献するも、そのままレギュラー定着とはいかなかった。

 ここから8か月後の2019年9月、W杯2次予選スタート時。初戦のミャンマー戦では中島が先制弾をゲットし、森保監督も絶大な信頼を寄せた。ところが、彼が当時所属のポルトで出番を失い始めると、代表の序列が低下。11月のキルギス戦では原口が先発を奪回する。この一戦で直接FK弾をお見舞いし、ようやく一歩抜け出したかと思われた。

 だが、2020年に入るや否や、パンデミックが発生。代表活動が長期間ストップしてしまう。2020年10月に活動を再開すると、2列目争いは再びフラットな状態となり、久保建英ら新顔との新たな競争に入っていく。

 翌2021年、今度は南野が左サイドへ移動。右の伊東純也、トップ下の鎌田大地と絡んでいい攻撃を見せるようになる。連係・連動を重視する森保監督にとってベストと映ったのだろう。その結果、原口はベンチに逆戻りすることになった。

 もちろんその後もチャンスがないわけではなかった。最たるものが2021年9月のオマーン戦だ。負傷離脱した南野に代わって原口はスタメン入り。「絶対に活躍してやろう」と虎視眈々とピッチに入ったはずだった。が、オマーンの徹底した対策に封じられ、強度や連動性の面でも相手を下回った結果、まさかの前半交代。後半は仲間たちの戦いをベンチから見守ることになった挙句、終了間際の失点でまさかの敗戦。この結末には大きなショックを受けたに違いない。

 これだけの紆余曲折を繰り返してきたのだから、原口がメンタル的に難しい状態に陥っても不思議はなかった。けれども、タフさと負けん気の強さがモットーの男は決して崩れなかった。「W杯への熱を呼び覚ましたい」と強調し、ロシアで果たせなかったW杯8強の領域へ到達すべく、自分自身を奮い立たせ続けてきたのだ。

 森保監督が10月のオーストラリア戦から4-3-3を採用。これまでの左サイドではなく、インサイドハーフ起用が視野に入ったことは、原口への追い風になっている。今シーズンからプレーするウニオン・ベルリンでは3-5-2のインサイドハーフを務めており、中盤で起点を作りながらゴール前への推進力を出し、より決定的な仕事ができる。「自分は代表で再び輝ける」という確信を得るに至ったのだ。

「(他のボランチとの違いは)走力ですね。自分の持ち味が出るとしたらそこだと思うので。正直、ボックス・トゥ・ボックスでやらせたら、一番走れる。もちろんつなぎの部分もウニオンでやっていますし、それも出せる自信がある。攻撃の厚みをつけていけたらいいと思っています」

 原口が語気を強めるように、柴崎岳、旗手怜央といった他のインサイドハーフ候補よりもアップダウンを繰り返し、ゴールに直結する仕事ができるのは間違いないだろう。右サイドでプレーしたロシアW杯よりも中寄りではあるが、一気に前線に飛び出して一発を決めたベルギー戦のゴールのような縦への速さと鋭さも出しやすい。オマーンから得点を奪ってくれれば、チームも助かる。5年前のロシアW杯最終予選の4連続ゴールを再現すべく、ここから一気に飛ばすしかないのだ。

 そんな野心が高まる一方なのか、マスカットのスルタン・カブース・スタジアム横の練習場で行われた14日夜の練習時には前の方を走ってチームを盛り上げようとしていた。すでに30代の大台を迎えた男は代表を引っ張る立場にいる。その自覚を持ってピッチに立っているのだ。

 実際にスタメンの座が与えられるかどうかは当日になってみなければ分からないが、今の原口ならグイグイと飛ばしてくれそうな気がする。日本代表、そしてカタールW杯への強い思いを胸に秘め、持てる力の全てぶつけ、2カ月前のリベンジを果たすこと。それが彼に託された責務である。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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