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タイ戦のポイントは3つ 浅野&原口の推進力、柏木の展開力、そしてセットプレー

2016.09.06

先発が予想される(左から)浅野、柏木、原口 [写真]=Getty Images

 2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選黒星発進を強いられた日本代表にとって、6日の第2戦・タイ戦(バンコク)は絶対負けられない大一番。ここで勝ち点3を奪えなければ、今後の戦いが非常に厳しくなる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も5日の公式会見で「最終予選は1つも簡単な試合はありません。どこへ行っても強い気持ちで勝ちにいかないといけないということ」と危機感を今一度、強く前に押し出した。

 試合会場のラジャマンガラ・スタジアムで17時半から行われた前日練習は2日連続で非公開。指揮官は紅白戦やリスタートの確認を入念に行った模様だ。タイは平均身長が日本より低いため、今回はリスタートが非常に重要なポイントになる。柏木陽介(浦和レッズ)、太田宏介(フィテッセ)らキッカーの精度がゴールの行方を大きく左右しそうだ。

「ショートなりいろんな変化を与えていってファーサイドから折り返すという形が一番いいと思うので、自分のボールでどうこうというよりも、自分が変化をつけた中でいいアクセントになればいいかなと思います」と柏木も秘策の一端を明かしていた。

 この柏木を筆頭に、1日のUAE(アラブ首長国連邦)戦(埼玉)からは先発数人が入れ替わる見通しだ。まず守備陣は、GK西川周作(浦和)、センターバックの吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)は不動だが、両サイドバックは不確定要素がある。前回は右に酒井宏樹(マルセイユ)、左に酒井高徳(ハンブルガーSV)という組み合わせだったが、今回はリスタートやサイド攻撃の重要性を考えると酒井高徳が右に回り、左に太田が入ることも十分考えられる。「1本のクロスがピンポイントで合えば1点になると思うので、そういう仕事をしたい」と太田は意気込んでいた。

 中盤のボランチは柏木・長谷部誠(フランクフルト)のコンビ復活が有力視される。「足は完璧にいいです」と柏木本人も自信をのぞかせており、彼のパスワークが停滞しがちだった攻撃を活性化させるという期待は非常に大きい。2列目はワールドカップ予選7試合連発中の本田圭佑(ミラン)の右サイド先発は確実。トップ下も前回不発に終わりリベンジを期している香川真司(ドルトムント)の出場が有力視される。問題は左サイドで、前回は清武弘嗣(セビージャ)が先発し、途中から宇佐美貴史(アウクスブルク)が出たが、タイ戦はヘルタ・ベルリンでこのポジションを本職にしている原口元気の抜擢があるのではないか。本人も高ぶる思いを隠せない様子だった。確かに前への推進力に秀でた原口であれば、幅を使うのに長けていて、中央に渋滞を起こす心配はない。香川もやりやすくなるだろう。

 そして最前線はどうやら若きスピードスター・浅野拓磨(シュトゥットガルト)が先発する確率が非常に高まってきた。タイの守備陣は組織的だが、時折、ルーズになる時間帯もある。そこがまさに狙い目だ。背後を狙える浅野なら、そのスキを突いてゴールを切り裂くことができるはず。仮に彼が不発に終わっても、ベテランの岡崎慎司(レスター)や復調しつつある武藤嘉紀(マインツ)も控えている。ここは思い切ってやるべきだ。

 こうした陣容で挑むと見られる日本だが、試合のポイントは大きく言って3つある。まずは原口・浅野といった新戦力のパフォーマンスだ。前述の通り、彼ら2人がタテへの推進力を武器とする選手。個人で仕掛けたり、スピードでかわしたりでき、さらにはアグレッシブにゴールも狙える。そういう姿勢が今の日本代表には必要不可欠だ。タイ人選手は日本人選手をリスペクトしている傾向が強く、カウンターパンチを食らわせればひるむかもしれない。若い2人にはその火付け役が託される。今回はプレッシャーを感じることなく存分に暴れまわってほしいものだ。

 2つ目は長谷部・柏木を軸とする中盤が機能するか否かだ。UAE戦では柏木のアクシデントから初キャップの大島僚太(川崎フロンターレ)が先発。岡崎らは「僚太は決して悪くなかった」と新世代のレジスタの役割りを評価していたが、結果だけを見れば2失点に絡んでしまった。経験豊富な柏木であれば、彼のように直接的に勝敗を左右するようなミスはしないだろう。加えて中盤にリズムの変化をもたらし、サイドを広く使うこともできる。こういうパスセンスを持った選手は今の日本代表には彼しかない。その彼と長谷部のコンビでどれだけチームに落ち着きを与えられるかが気になるところだ。

 3つ目はリスタートからの攻撃だ。前述の通り、高さで上回る日本はFK、CKを最大限有効活用する必要がある。得点源の吉田も「セットプレーの練習はほとんど時間がなかったですけど、どこに来れば点を取れるというポイントは分かっているつもり。あとは出し手と受け手のタイミングかなと思います」と6月のブルガリア戦(豊田)以来のゴールに意欲をのぞかせた。

 こうしたポイントが全てうまく行けば、日本が白星を挙げられないはずはない。タイ戦では「自力では確実に相手を上回っている」という確固たる自信と持って、冷静かつ大胆に試合を運んでもらいたい。

文=元川悦子

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