2015.12.07

“苦しさ”と“好奇心”抱えて「走り切った」21年、元日本代表FW鈴木隆行が引退会見

鈴木隆行
引退会見で思いを語った鈴木隆行
サッカーキング編集部

 2015年シーズンでの現役引退を発表していたジェフユナイテッド千葉所属の元日本代表FW鈴木隆行が7日、クラブハウスにて引退会見を行った。

「21年間という長い間プレーしてきましたが、たくさんの人たちに支えていただきプレーすることができました。本当にありがとうございました」と、冒頭であいさつをした鈴木。プロとしてプレーした21年間は「本当にずっと苦しくて。試合に出ていないということもあるし、試合に出たとしてもプレッシャーがあって、その中を戦わなければいけない。もちろん結果も求められて、その中で期待に応えなければいけない。代表でプレーしたのに次の年、試合に出られない苦しさもある。今年に限っては、引退も近い中で試合に出られないとか、常にそういう苦しさを伴いながらプレーしていた」と振り返る一方で、「自分の中ではそういう苦しさがすごく嬉しかったというか、そういうものを乗り越えないと、自分を変えられないと思っていたので。こういう経験ができて、とてもいい人生だなとは常に思っていました」と晴れやかな顔で話した。

 引退の理由は、「10月くらいでしたが、練習終わった後にふっと『引退しよう』と。21年間、どんな状況になっても『あー辞めたくないな』とずっと思っていました。でも、次に進みたいという気持ちがすごく強くなって、プレーしたい気持ちを越えたんだと思います」と客観的な視点で話し、誰にも相談しなかった上での決断だったことを明かした。家族に伝えた際も「妻は何も言ってこないですし、一回も(サッカーについて)口を出したことがないです。子どももまだわからない年齢なので。むしろ、家に長時間いることが嬉しいみたいで。家の中に辞めたことへの悲しさみたいなのは全くないですね」と、夫人との信頼関係を垣間見せた。

 1995年に鹿島アントラーズでプロキャリアをスタートさせた鈴木は、「センスやうまさを売りにしているプレーヤーではなくて、球際や競り合いを頑張れる、勝てる、そして気持ちの面で負けないということを自分の中で大切にしてきました。そういうプレー以外ができない選手だったので、それが自分の武器になったと思います」と振り返り、「常に客観的に自分を判断できたことです。試合に出られなくなったりすると、違う方向を向いてしまうプレーヤーもいると思うし、自分が悪いのではなく誰かのせいにしてしまうことが非常に多いと思いますが、そういうところを間違えず、常に自分の悪い部分を直していけたことが長く続けられた理由だと思います」と、39歳まで続いたプロ選手としての長いキャリアを築けた理由を分析している。

 鈴木と言えば、2002年の日韓ワールドカップのベルギー戦での得点が印象に残っているサポーターも多いだろうが、「あのような舞台でゴールを決めたことは自分の中ですごく衝撃的だし、喜ばしいことだとは思いますけど、W杯期間中はあまりにも苦しくて。ゴールを決めたんですけど、そんなにいいイメージがなくて。嬉しかったのはほんの一瞬で。同点になって、試合が終わったわけではなかったので、そういう気持ちはすぐ消えました」と振り返る。

 その鈴木が最も印象的だった出来事して挙げたのは、2002年7月から2006年までベルギーとセルビアでプレーしたこと。「満杯の観客の中、紙吹雪が舞って、発煙筒が焚かれ、すごい熱気の中で自分が入場したとき、『サッカーをやっていて良かった』とすごく強く思ったことを今でも覚えているし、それがサッカー人生の中で一番感動したと思う場面」とコメントし、「海外で入れたときのゴールの方が印象的ですね。違う国の人間がゴールによって認めてもらえる、受け入れてもらえることがすごく嬉しい」とブラジルやアメリカでもプレーした経験が価値あるものだったと話す。

 プロ生活を振り返って感じたサッカーの魅力を問われ、「苦しいものをみんなで乗り越えていって、成功したときにみんなでその喜びを分かち合えることですかね。一人でうまくいったとしても、限られた喜びだと思いますが、関わっている人がたくさんいるほど、喜び合えるし、病みつきになりますね。みんなが喜んでくれるというか。それが忘れられないで今までやってきています」と答えた鈴木は、選手としてやり残したことは「ないです。後悔もないです。どんな苦しい状況でも勇気を持って前に進みましたし、そういう気持ちは全くないです」「走り切った気持ちが強いこともあります。行けるところまで来ました」ときっぱりと語り、今後指導者を目指していくことを明言。

「いろいろな状況に自分が立たされて、たくさんの状況で考えることができる。今、迷っていること、悩んでいること、苦しんでいることはすごくわかると思うので、そういうことを理解して、ともに歩んでいけるような人間、指導者になっていきたい」と理想の指導者像について触れ、「プロのチームの監督を目指してやっていきたいと思っています。国内だけとは言わず、海外もチャンスがあれば出ていきたい情熱もあります。家族はいますが、そこは説得して出ていきたいと思います」と鈴木は力強くコメント。持ち前の好奇心と苦境も跳ね返す強い気持ちでこれからも挑戦を続けていく。

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