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アジアカップはアギーレ体制で…指揮官への配慮とイメージ低下の狭間で揺れる協会

2014.12.18

会見で現状を説明した原博実専務理事(右)

 日本サッカー協会(JFA)は18日、東京都内で2014年度第12回理事会を開催。原博実専務理事は理事会後に行われた記者会見で、八百長問題の渦中にある日本代表のハビエル・アギーレ監督について言及。来年1月に行われるアジアカップに現体制で臨む方針を明らかにした。

 法務委員長である三好豊弁護士が同席して始まった会見では、原専務理事が冒頭で「ファン、サポーター、スポンサーの皆さん、選手にご迷惑をお掛けして申し訳ない」と一連の騒動に関して謝罪。そして同日行われた理事会で、大仁邦彌会長が理事に対して八百長疑惑の現状について説明した上で、アジアカップの日本代表をアギーレ監督が率いることで了承を取ったことを明言した。

 アギーレ監督がスペイン検察当局に告発されてからのステータスは基本的に変わりなく、JFAとしては今後どのようなスケジュールで捜査が進むのか、告発状が正式受理された場合に日本代表の活動にどう影響するかなどを探っている状況だという。三好弁護士も「八百長を示す証拠を発見できているわけではなく、アジアカップの指揮を執るという方針を変える状況には至っていない」と話している。

 ただ、この日の三好弁護士のコメントで気になったのは、「現地の弁護士から『相当、時間がかかるんじゃないか』という情報は入手している」という部分。原専務理事も「非常にナーバスな問題なので、いろいろな情報を集めないと決断できない」としている。もちろんアギーレ監督個人への最大限の配慮があるのだろう。クロと確定していない状況で何かを変えるわけにはいかないという考え方は理解できるし、本大会に向けて、協会サイドと指揮官で信頼関係を築き上げていくことも確かに重要だ。

「仮定の話は彼にはできない」という原専務理事の意見も分かるが、三好弁護士が語ったように、いつまでもグレーの状況が続くようであれば、それが万が一“クロ”だった場合のリスクヘッジはなされないまま時は過ぎ去ってしまう。この日の記者会見でも記者から厳しい語調での質問が続出したように、采配をふるう指揮官に八百長の嫌疑がかかっていること自体が日本代表、そして日本サッカー界にとってマイナスイメージではないかとも思う。

 記者会見の終盤、現在の情報収集から先の動き方について聞かれた原専務理事は「当然、いろいろなことは考えていますよ。情報収集しながら、状況に応じてあらゆる対応ができるようにはしています」と話した。決して表に出すことはできないが、何か特別な事情がなくても、リスクヘッジしておくのが強化部門の鉄則。公式には「こうなったらこうするという話はしていない」としながらも、JFAとして間違いなく準備はしているはず。どこかで何らかの判断を下すタイミングが来るのは間違いないが、状況の変化を待ち続ける受け身の姿勢では、それが闇雲に先送りされてしまう怖さもある。とはいえ、アギーレ監督への配慮は不可欠だ。だが、アジアカップの開幕はもとより、ワールドカップ予選のスタートも控えている。JFAは組織として、非常に難しい対応に迫られている。

文=青山知雄

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