C大阪GK中村航輔 [写真]=J.LEAGUE
明治安田J1百年構想リーグ優勝を目指し、今季の戦いに挑んでいるセレッソ大阪。WESTは10チーム中6チームが監督交代に踏み切ったこともあり、アーサー・パパス監督体制2年目のセレッソにはアドバンテージがあると見られていた。けれども、蓋を開けてみると、序盤戦は黒星が先行。第4節終了時点では勝ち点4の8位と思うようなスタートを切れていない。18試合の短期リーグということもあり、ここから一気にギアを上げていかないと、巻き返しは叶わないのだ。
そういった意味でも、第5節のホーム・清水エスパルス戦は重要な一戦だった。この日は香川真司が軽い負傷で欠場。J1初先発となった石渡ネルソンや横山夢樹ら若手が数多くピッチに立ったが、守備陣は畠中槙之輔や井上黎生人ら30歳前後の年長者がリード。その背後に位置する31歳の守護神・中村航輔もチーム全体を統率した。
ご存じの通り、中村はロシアワールドカップ参戦経験がある元日本代表GKだ。ポルティモネンセを2025年1月に退団した後、約1年間無所属だったが、同年7月にはU-15Jリーグ選抜のGKコーチとして活動するなど、さまざまな経験を積み重ねたという。
「1年間公式戦から離れたこと? 試合で証明できればと思います」と本人も1月の宮崎キャンプでキッパリと語っていたが、キム・ジンヒョンが負傷離脱した直後の第2節・アビスパ福岡戦からスタメンに定着。コンスタントにプレー機会を得ている。
「うちは航輔君はもちろんのこと、ジンさん(キム・ジンヒョン)、コウキ(福井光輝)も含めていいGKが揃っているんで、安心してシュートコースも限定しに行けますし、そうすれば確実に止めてくれるという安心感がある。そこは心強いですね」と畠中も前向きにコメントしており、彼らの連携強化が失点減につながっているのは確かだろう。
その中村が最後尾に陣取るセレッソ守備陣は、この日も安定していた。清水は長身FWオ・セフンをターゲットに攻め込もうとしていたが、思うようにボールが入らず、リズムが作れない。サイドの北川航也やカピシャーバもチャンスメイクに絡んだが、最終的にはセレッソの守りに跳ね返された。
一方でセレッソもゴールを割ることができず、試合は0−0のままPK戦へともつれ込んだ。そうなると抜群の存在感を示すのが中村だ。まずは1番手のカピシャーバのシュートを倒れ込みながら左足で阻止すると、4番手・北爪健吾が左側に蹴ったところを確実に読んで両手でセーブ。勝負強さと反応の鋭さを見せつけ、チームに勝ち点2をもたらしたのである。
「PK戦前に円陣を組んだ時に選手に伝えたのは『航輔が必ず2〜3本止めるから』ということでした。というのも、トレーニングで何本もPKを止めているのを見ていたので、必ずやってくれると思っていました」。試合後、パパス監督も背番号23への絶対的信頼を口にしたが、中村自身も「いいプレーでチームに貢献できたことが嬉しいですね」と素直に喜びを口にした。
「自分がクラブから求められている役割は、ポストの間で何ができるかなので、今日に限って言えば、それがうまくいきました。監督も自信を与えてくれていますし、チームとしていい状態でPK戦に臨めたのもよかったと思います」とも発言。公式戦を積み重ねることで、日に日に自信を深めている様子だ。
もともと中村はそれだけの能力を持ったGK。それは誰もが認めるところだ。柏時代の脳震盪による長期離脱やポルティモネンセのポルトガル2部降格などざまざまな困難に直面し、今は日本代表から離れる形になっているが、まだまだ大舞台でやれる人材だ。31歳という年齢を考えても、再び世界を目指せるだけのポテンシャルがあるのは確か。今回のセレッソ入りがいい方向に出ているのは間違いないだろう。
「今回、勝ち点3を取れなかったのは、チームとして何か課題があると感じます。また次にいい結果をサポーターに届けられるように取り組みたいと思います。僕自身もいい準備を重ねていい結果を出すことは変わらない。毎週毎週、体とメンタルの部分をベストにするように取り組み続けていきたいと思っています」と非常に丁寧な言い回しで今後への意欲を示していた。
中村がセレッソの勝利請負人としてさらなるインパクトを残してくれれば、百年構想リーグ制覇、そして26−27シーズンのタイトルも夢ではなくなるはず。中村自身の代表復帰への道も見えてくるのではないか。そういった右肩上がりの軌跡を辿れるように、ここから一気にギアを上げていくことが望ましい。背番号23の本当の勝負はここからだ。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子

