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磐田の絶対的司令塔へ…圧巻の存在感を示した遠藤保仁のさらなる可能性

松本山雅FC戦に出場したジュビロ磐田の遠藤保仁 [写真]=J.LEAGUE

「今野(泰幸)と大森(晃太郎)以外とは初めてでしたけど、特に問題なくできたと思いますし、特に相方の山本康裕とはスムーズにやれたかなと。今日出た選手の特徴はだいたい分かったので、よりいいコンビネーションを作って、さらにチャンスも多く作っていければいいかなと思います」

 遠藤保仁のジュビロ磐田初戦として注目された10日の松本山雅戦。背番号50をつけた40歳のボランチは、20年ぶりに移籍した新天地で、冒頭のコメント通り、未知なる仲間たちとスタメンでピッチに立った。

 だが、そのパフォーマンスは普通の新参者とはかけ離れていた。開始10分間で磐田のボールポゼッション率は80%に上ったが、パスの大半が遠藤を経由した。的確な配球は攻撃のリズムを生み出し、15分には自身の左サイドのFKから山田大記の強烈シュートにつなげる。これは惜しくも右ポストを叩いたが、ヤット加入効果がいち早く表れることになった。

 内容で上回りながらも0−0で迎えた後半。2トップが小川航基と中野誠也からルキアンと三木直土に代わると、遠藤の輝きは一段と増す。その最たるものが65分、自身の右CKからの決定機だった。ルキアンが2度続けてゴールに迫るが、相手守護神・村山智彦の好セーブに遭い、惜しくもネットを揺らせない。磐田の得点ムードが高まる中、さらに5分後にはFKをゲット。背番号50が蹴った精度の高いボールはクロスバーを直撃する。「角度的にもよかったし、決めたかった」と本人も悔やんだが、「遠藤ここにあり」を示す好機となったのは間違いない。

 結局、試合はスコアレスドローで終了。磐田は勝ち点3を積み上げられず、徳島ヴォルティスとアビスパ福岡の上位2強との差を広げられる形になった。それでも、鈴木政一監督は「ゲームをコントロールし、ボールを失わず、ラストパスを含めて素晴らしかった」と40歳ボランチの一挙手一投足を絶賛した。移籍するな否や、瞬く間にチーム全体を掌握し、統率してしまう遠藤の戦術眼の鋭さとインテリジェンスの高さはまさに圧巻。指揮官も改めて驚いたのではないか。

「受け手と出し手のコミュニケーションをもっと高めていかないといけない」と鈴木監督は課題も口にしたが、それは時間とともに解決していくだろう。同時に失点の多さや守備の脆さも改善できれば、勝率も上がっていく。実際、今野を軸とした最終ラインは遠藤加入によってやりやすさを感じているはず。今回、6試合ぶりの無失点で終えたというのも1つの収穫だ。

 こうして攻守両面でチームが活性化し、白星を積み上げていく形になれば理想的。40歳のベテランにはそう導いていく自信があるようだ。

「J1昇格のために全力を尽くすので、簡単に諦めることはない。可能性がある限り、そこを求めてやるのは当然。僕自身は全く諦めていないです」

 6日の磐田入団会見で、遠藤は語気を強めていた。それこそが、日本代表とJ1で歴代最多出場記録を持つトップ・オブ・トップのプロ意識にほかならない。

「ガンバにいた時、一緒に筋トレルームで体幹とかやっていましたけど、ヤットさんはつねにトレーニングを継続していた。『今の年齢でも絶対に負けたくない』という気持ちが伝わってきましたね。紅白戦でも負けず嫌いだったし、向上心もハンパなかった。自分が昨夏にJ2に移籍した時もヤットさんに相談しましたけど、『試合に出てこそのプロサッカー選手』だとアドバイスをもらいました。今回、自分もそれを実行したんだと思います」

 J2・レノファ山口で同じボランチを担う高宇洋がこんなエピソードを披露してくれたように、遠藤は「充実したサッカー人生を送るためにはより多くの試合に出ないといけない」と口癖のように言い続けてきた。それが新たな環境で叶い、背番号50は久しぶりにイキイキした姿を見せてくれた。フル出場は実に今季J1開幕の横浜F・マリノス戦以来。7月4日の大阪ダービーでJ1最多の632試合出場を達成した後、ガンバ大阪でベンチにくすぶりながら抱えていた悔しさや苛立ち、不完全燃焼感は計り知れない。そんな自分と決別できたという意味でも、20年ぶりの移籍と今回の松本戦でのデビューは大きな意味があったと言っていい。

「個人的にもまだまだプレーしたいって思ってるので、その第一歩を踏み出せたのは非常にいいこと。これから練習や試合を重ねて自分の役割、やらなきゃいけないことが見えてくると思うので、そこをしっかり整理しながらチームにためにプラスになるように作り上げて、人生にまた1つ新たなページを加えたいと思います」

 試合後、静かにこう語った遠藤。新たに加わるページとは一体、どんなものになるのか。「J1昇格請負人」としての役割を遂行し、最高の結果を手にすべく、彼には持てる力のすべてを注ぎ込んでほしいものだ。

文=元川悦子

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