Jリーグクラブが持つ役割は多い。もちろん、“勝利”という結果こそが、応援してくれるサポーターへの一番の恩返しになる。だが、ホームゲームに限らない様々なクラブの活動が、地域活性化につながることで、本当の意味での「クラブ力」は強化される。そのために各クラブはそれぞれが本拠地を置く地域と連動して、様々な社会貢献活動に取り組んできた。
主要タイトル三冠に加え、アジア王者に2度輝いた国内屈指のビッグクラブ、浦和レッズも例外ではない。さいたま市に本拠地を構える浦和は、これまでも様々な活動を通して社会貢献を果たしてきた。地元高校での差別撲滅や人権をテーマとした講演会や、災害にあった地域に対する復興支援活動。サッカーを通じてこころを育むことをテーマに活動している、浦和OBを中心としたメンバーから成る浦和レッズ ハートフルクラブは、国内にとどまらず、アジア・オセアニアの国々でも継続的にサッカー教室を開催している。それらの活動は多方面から高く評価されており、浦和は2018年に『HEROs AWARD 2018』をクラブとして受賞した。日本財団の推進する、競技場の外でもスポーツマンシップを発揮しているアスリートやスポーツ団体を称える賞だ。
浦和はピッチ内に限らず、ピッチ外でも日本のスポーツ界をリードしてきた。その浦和が7月5日、差別撲滅に向けたアクションプログラム『“ZERO TOLERANCE”』の活動完了を発表するとともに、国際連合が掲げる『持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ)』への参画を発表した。
浦和が参画したSDGsとは

SDGsとは、2030年に向けて優先的に解決すべき社会的課題や、国際社会のあるべき姿を実現するために達成すべき事柄を、17の目標と169のターゲットで構成したもの。そこには貧困や飢餓の解消をテーマにした発展途上国の開発支援に関する目標だけでなく、先進国にとっても深く関わりのある、エネルギー問題の解決や人種差別をなくすための目標も含まれている。まさしく国連に加盟するすべての国々が共に手を取り合って解決すべき、国際社会共通の目標といえる。
SDGsへの参画、そしてその目標達成に寄与することは社会への貢献につながると同時に、一企業としての価値を高めることにもなる。浦和はこれまでも様々な角度からSDGsに寄与する活動に取り組んできたが、今後は今まで以上にSDGsを意識した取り組みを行っていくと宣言している。
すでに具体的な取り組みとして挙げられているのは「SPORTS FOR PEACE !プロジェクト」の継続だ。同プロジェクトは浦和が2010年に開始したもので、「闘いとルール」のあるスポーツを通じて喜びや寛容の精神、平和の理念を追求することを目的としたもの。これまでは、草の根の国際交流活動である『ハートフルサッカー inアジア』や『東日本大震災等支援プロジェクト』、『安全なスタジアムづくり』などをその一環として行ってきた。これらの活動はSDGsの目標に合致しているという考えのもと、今後はSDGsの重要な取り組みの一つとして続けていくという。


また、SDGs参画と同時に活動完了が報告された差別撲滅に向けたアクションプログラム『“ZERO TOLERANCE”』も、その理念は受け継がれ、SDGsの枠組みの中で差別撲滅に向けた活動を拡充させていく方針が発表されている。
『“ZERO TOLERANCE”』は、2014年3月8日に埼玉スタジアムの浦和側コンコースにて差別と捉えられる横断幕が掲出された問題を契機に、浦和が策定したもの。この5年の間、浦和は意識アンケート調査や、100試合以上のホームゲームにおいて差別撲滅に向けた署名活動を行うなど草の根的な活動を続けてきた。意識調査の結果からは人々の差別問題に対する意識が向上していると捉えられる変化が出るなど、着実な成果が出ている。当初活動期間として定められた5年が経過し、プロジェクトは完遂されたが、浦和は今後も継続して差別撲滅の啓発活動に取り組んでいく。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックはSDGsに沿った大会運営を目指している。しかし、日本国内においてその認知度はまだまだ高くないというのが実情だ。そんな状況にあって、他のクラブに先んじて浦和というビッグクラブがSDGs参画を大々的に宣言することは、日本のスポーツ界にとっても大きな意味を持つ。
浦和は今後も様々な活動を通してSDGsに寄与し、クラブ理念内で宣言しているように、サッカーを初めとするスポーツの感動や喜びを伝え、スポーツが日常にある文化を育み、次世代に向けて豊かな地域・社会の実現を目指していくだろう。その活動が広く伝わることにより、彼らに続く存在が次々と現れ、国内にSDGsの内容やその意義が浸透することに期待したい。
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By サッカーキング編集部
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