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Jリーグ史に残る7つのGK弾…山形GK山岸の劇的ヘディングは史上初

2014.11.30

ヘディングでの決勝弾を決めた山形GK山岸範宏 [写真]=佐藤博之

 モンテディオ山形ジュビロ磐田を下した11月30日の2014年J1昇格プレーオフ準決勝。ヤマハスタジアムで終了間際にGK山岸範宏が右CKから頭で決めた劇的な決勝弾が話題を集めたが、GKによるCKからの得点、ヘディングによるゴールは、ともにJリーグ公式戦初の出来事となった。

 1-1で迎えた後半アディショナルタイム、引き分けの場合はリーグ戦の上位クラブが勝ち上がる大会レギュレーションによりゴールが必要だった山形は、石川竜也の右CKにGK山岸を攻撃参加させるスクランブル態勢を敷いた。ここで「ニアサイドに前田遼一選手がいたので、その前で擦らしてコースを変えたら何かが起こるのではないかと思った」という山岸が巧みに体を捻って石川のキックに頭で合わせると、ボールは絶妙な弧を描いて逆サイドのゴールネットに突き刺さった。


 1992年のヤマザキナビスコカップからスタートしたJリーグ公式戦でこれまでに生まれたGKによる得点は、今回の山岸で7つ目。Jリーグの歴史で初めてGKがゴールを決めたのは1996年11月9日だった。浦和市駒場スタジアムで行われたJリーグ第30節の79分、浦和レッズGK田北雄気が横浜フリューゲルスGK楢崎正剛を相手に右足でPKを叩き込んだ。

 GKによる流れの中からの初得点は、1999年4月7日。当時、トーナメント制で行われていたヤマザキナビスコカップ1回戦で、80分に京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)GK松永成立の蹴ったクリアボールがモンテディオ山形Gk鈴木勝美の頭上を越えてゴールに吸い込まれている。

 J2での初ゴールは、2004年7月10日のJ2第22節で横浜FCのGK菅野孝憲が決めた自陣左サイドからの直接FK。サガン鳥栖と対戦した第22節で、後半開始直後の46分に右足で蹴ったロングボールがグングン伸びて相手GK富永康博の頭を越え、そのままゴールネットを揺らした。

 2006年7月12日にユアテックスタジアム仙台で行われたJ2第27節では、東京ヴェルディのGK高木義成が64分に自陣深くから蹴った直接FKがワンバウンドしてベガルタ仙台GK高桑大二朗の頭を越えてゴールインとなった。

 記憶に新しいところでは、2013年11月10日のJ2第40節。18分にペナルティエリア右付近で味方が受けたファウルから松本山雅FCのGK村山智彦が蹴った直接FKが風に乗って大きくバウンドし、モンテディオ山形GK常澤聡の守るゴールを破った。

 今年からスタートしたJ3でも、GKによるゴールが生まれている。サッカー界がブラジル・ワールドカップに湧いていた6月15日、J3第16節でグルージャ盛岡GK土井康平が前半終了直前の44分に得点を記録。自陣から蹴った直接FKがペナルティエリアで競り合う両チームの選手の頭を越え、目の前でバウンドしたボールが長野パルセイロGK田中謙吾のキャッチミスを誘った。

 奇しくもこれまでGKに2本のゴールを決められていた山形にとっては初の珍事。J1昇格を懸けた大一番で決まったJリーグ史上初となるCKからのヘディング弾は、劇的な一発として記録にも記憶にも残ることとなった。

文=青山知雄(Jリーグサッカーキング編集長)

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