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「グローバルトップ5は夢じゃない」Jリーグ野々村芳和チェアマンとMUFG上野義明常務がともに描く未来

2026.10.26
MUFGスタジアムで試合を観戦するMUFGの上野義明常務とJリーグの野々村芳和チェアマン

MUFGスタジアムで試合を観戦するMUFGの上野義明常務(左)とJリーグの野々村芳和チェアマン(右)

 30年前のイングランド・プレミアリーグが、今の日本とそれほど変わらない立ち位置だったと聞けば、どう思うだろう。

 「これからの30年間で世界のパワーバランスが大きく変化していても不思議じゃない」。Jリーグの野々村芳和チェアマンは、本気で「グローバルトップ5」のリーグを目指している。

 その野心的なビジョンに強く共感し、タッグを組んだのが三菱UFJ銀行(MUFG)だ。2026/27シーズンからのプラチナパートナー契約に加え、「MUFGスタジアム」として国立競技場のネーミングライツも取得。単なるスポンサードにとどまらず、各地域との連携に加えて、プロを目指す育成年代の選手たちに向けた「金融経済教育」も実施するなど、サッカー界の未来を見据えた多角的なアプローチでJリーグを支えていく。

 三菱UFJ銀行のChief Strategy Officer(CSO)で、自身もスタジアムに足を運ぶことがある上野義明取締役常務執行役員と野々村芳和チェアマン。金融とスポーツ、異なるフィールドのトップ同士が、Jリーグの「これから」を語り合った。

インタビュー・構成=細江克弥

▼ 待ちに待った2026/27シーズン

——2026/27シーズンのJリーグが開幕し、約1カ月が経過しました。序盤戦の盛り上がりについて野々村さんはどう感じていますか?

野々村日本サッカー界にとってとても大きな意味を持つJリーグのシーズン移行ですから、特別シーズンとして実施した約半年間の明治安田Jリーグ百年構想リーグを含めて、正直なところ不安な要素はいくつもありました。

ただ、今年は日本代表も出場したFIFAワールドカップ2026があり、それによって生まれたポジティブな機運を逃さないためにもJリーグのプロモーション活動を積極的に行いました。その結果として、すごくいい流れで開幕を迎えられたと思っています。

MUFGスタジアムで行われた2026/27シーズンの開幕戦

MUFGスタジアムで行われた2026/27シーズンの開幕戦には6万3960人が来場。リーグ戦における最多入場者数を更新した

——上野さんはJリーグご観戦の機会も多いとお聞きしましたが、実際にスタジアムに足を運ばれた際に、そうしたポジティブな雰囲気は感じられましたか?

上 野開幕戦から各スタジアムの入場者数をチェックしていたのですが、昨シーズンと比較してもより多くのファン・サポーターの皆さんが足を運んでくださっていますよね。私自身もスタジアムに足を運ぶものの一人として、新シーズン開幕の盛り上がりを実感しました。

当社MUFGは今年から国立競技場の命名権を取得してMUFGスタジアムでの『MUFG THE 国立 DAY』に携わらせてもらっているのですが、中でも明治安田J2リーグ第2節、横浜FC対ジュビロ磐田の入場者数(5万3973人)には驚きました。J2リーグでそれだけのお客さんを呼べるのですから、いよいよすごい時代になったなと。

野々村両クラブの素晴らしい努力があったことを前提として、やっぱりスタジアムの魅力も大きいと思うんですよね。上野さんもよくご存じだと思うんですが、やっぱり、サッカーファンにとってMUFGスタジアムはいつの時代も憧れの舞台ですから。

上 野そうですよね。私もよくわかります。

野々村だからこそ、『MUFG THE 国立 DAY』は新たなサッカーファンを生む大きな役割を果たしてくれるのではないかと思っているんです。

▼ スポーツと金融の相性

——MUFGは2026年1月1日から2030年12月31日までの国立競技場のネーミングライツを取得し、2026/27シーズンからJリーグとのプラチナパートナー契約を締結しました。改めて、その背景について教えてもらえますか?

上野義明常務

上 野3つのキーワードがありました。1つ目は「地域」です。Jリーグには全国に60のクラブがあり、各クラブがそれぞれのホームタウンとの強いつながりとネットワークを持っています。私たちにも全国の支店を利用するお客様とのネットワークがある。これが掛け合わさることで新たな可能性が生まれるのではないかと。

2つめは「日常」です。かねてから私自身が感じていることなのですが、Jリーグの試合がある日は、街が“サッカー色”に変わりますよね。それがその街の日常として定着してきている。そのように地域の日常に根差した半永久的なファンベースが存在する、という点が素晴らしい特徴だと考えています。

我々銀行も地域に根差した活動を行う企業です。そもそも銀行は用事があって初めて行くところですが、まさに日常的に利用していただく金融機関になることを目指してさまざまな工夫を試みています。Jリーグとのパートナーシップによって、そうした試みが活性化されるのではないかと考えました。最終的には、ファン・サポーターの皆さんがクラブを大切に想うように、三菱UFJ銀行のことも「自分たちの生活を支えるパートナー」として、長く愛着をもっていただける存在になれたらと考えています。

そして最後に「MUFGスタジアム(国立競技場)」です。野々村さんがおっしゃられたとおり、サッカーファンにとって国立競技場は唯一無二の存在であるからこそ、その価値をもっと高めることに貢献したい。この特別な舞台を最大限に活用してさまざまな発信をすることで、Jリーグと一緒に新しい可能性を生み出せるのではないかと思っています。

MUFGスタジアム

[三菱UFJファイナンシャル・グループ(MUFG)が国立競技場の命名権を取得し、2026年1月1日から「MUFGスタジアム」という呼称に]

——MUFGはサッカーに限らずさまざまなスポーツとの協業に取り組まれてきました。金融とスポーツの相性の良さをどんなところに感じていますか?

上 野私たちが身を置いている金融業界は、人々の生活を支える社会インフラとしての役割を担っていると考えています。だからこそ、より多くの人々とのつながりを持つための接点を常に大事にしています。

スポーツには人々を動かす力がありますよね。筋書きのないドラマに心を動かされ、明日のエネルギーを生んでくれる。スポーツは人々を「動かす」。金融は人々を「支える」。その掛け合わせは非常に相性がいいと思いますし、むしろ互いに必要としている関係性にあるのではないかと考えています。

野々村芳和チェアマンと上野義明常務

野々村私たちJリーグとしても同じような考えを持っています。日本サッカーが世界の舞台でさらに強い存在感を示すためには、日本国内のサッカー熱をさらに高めなきゃいけない。つまり、Jリーグの価値をもっと向上させなければならない。そのためには“ピッチの外側”からの見方や意見がとても大切で、MUFGとのコミュニケーションによって新たな可能性が生まれてくるのではないかと。

——「新たな可能性」とは、例えばどんなことが考えられますか?

野々村北海道コンサドーレ札幌の経営に携わっていた頃、地方クラブならではの難しさを感じていたんです。もちろん地域ごとに特徴があると思うのですが、やはり、首都圏から離れるほどサッカーそのものの影響力、発信力、そのスピード感を出すのがすごく難しい。そういった意味で、どの街にもあるMUFGだからこそ発揮される“伝える力”には地方クラブの弱点を解消し得るパワーがあると思っているんです。地方クラブにとって、それはものすごく大きな手助けになりますよね。

▼ 世界に肩を並べるために

——Jリーグが「新たな可能性」を求める理由は、「世界に肩を並べる」という明確な目標に近づくためであると思うのですが。

野々村まさにそのとおりです。いろいろな指標があると思うのですが、単純な売上規模としても、競技レベルとしても、選手がプレーしたいと思うリーグとしてもグローバルトップ5に入ることを具体的な目標としています。つまり、ヨーロッパの5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)に並ぶ存在になるということですよね。

現状のパワーバランスを考えれば難しいと思われるかもしれませんが、私たちは十分に実現可能な目標であると考えています。30年前のイングランド・プレミアリーグは今の日本とそれほど変わらない立ち位置でした。でも、今では圧倒的なナンバーワンですよね。サッカー界の変化は目まぐるしく起きています。これからの30年間で世界のパワーバランスが大きく変化していても不思議じゃない。だから、そこを目指そうと。

上 野その目標には、私たちも強く共感するところがありました。実は、世界の金融業界においてMUFGが目指しているところもすごく似ているのです。だからこそJリーグのビジョンを聞いてワクワクしましたし、同じような目標を持っているからこそ、ともに歩むことに意味があるのではないかと。

——グローバルな視座を持っているからこそ、国内における基盤づくりが大切という考え方も共通している気がします。

上 野非常に重要なポイントだと思います。当行も紛れもなく日本に根ざした金融機関ですから、まずは国内におけるお客様との関係性をより強固にしつつ、近年加速しているお客様のグローバル化に伴走する形で私たち自身の活動の幅を広げ、組織としての成長を促し、欧米に加えて、近年はタイやインドネシア、インドといった国への投資を拡大してきました。日本に軸足を置きながら、アジアでしっかりとした基盤を作り、その上でグローバルトップ5の地位を目指そうとしています。そうした背景も、Jリーグの動きと似ているところがありますよね。

野々村かなり近いと思います。両者にとって“今やらなければならないこと”が似ているからこそ、目の前の課題に対して共感しながら向き合えるのではないかと。もちろん、この関係性はまだスタートしたばかりなので模索しながら答えを探すチャレンジになるのですが、互いの目線が揃っていることについては、とても心強いと感じています。

上 野野々村さんのおっしゃるとおりで、焦らず、じっくりと、互いにとって最適な“型”を見つけたいなと。

野々村その型のハマり具合を探るひとつの指標が、「MUFGの社員の皆さんがどれだけJリーグを好きになってくれるか」だと思っているんです。日々の仕事を通じて初めてJリーグに触れる社員の皆さんがたくさんいるはずで、まずはその人たちに好きになってもらえるJリーグであるかどうかがとても重要じゃないかなと。それがあって初めて、MUFGのお客様にも少しずつJリーグの魅力が届くようになりますよね。

上 野そう言っていただけると嬉しいです。すでに各スタジアムで当行の取引先と協働したブース出展をしたり、自動運転EVバスでの移動体験会や、地元特産品の試食体験をやってみたり、さまざまなチャレンジを通じてJリーグクラブとの接点を加速度的に増やしています。他にもJリーグクラブのアカデミーに所属する選手を対象として金融経済教育も実施させていただきました。

野々村アスリートへの金融経済教育はものすごく意義深いテーマですよね。私の現役時代にもそういう時間があれば……と今さらながら思います(笑)。

上 野アスリートに限らず、昨今は特に育成年代への金融経済教育の浸透が解決すべき社会課題の一つとして注目されていますからね。

リーグクラブのアカデミーに所属する選手を対象とした金融経済教育

[Jリーグクラブのアカデミーに所属する選手を対象とした金融経済教育も実施]

野々村プロになることを目指す育成年代にそうした知識を提供することは、Jリーグ全体、もしくはサッカー界全体を安定させる上でもとても大きな意味があると思います。プロになりたくて頑張っている子どもたちはたくさんいるけれど、実際にプロになれる、あるいはプロの世界で生き残れるのは本当にひと握りですから。

たとえサッカーの道を諦めざるを得なかったとしても、社会に出て、堂々と、立派に生きていける人間を育てることも私たちの責任です。だからこそ、成長過程に必要な学びに対しては、より積極的に取り入れていきたいなと。

▼ 日本なら、Jリーグなら、できる

——大小さまざまなチャレンジはあると思いますが、いずれにしても、両者の協業によってまずは国内の基盤を強化したい。その力がJリーグのグローバル化を加速させ、現実的な目標として捉えている「グローバルトップ5」が見えてくる。そういう流れを作りたいということでしょうか?

野々村そのとおりです。ひと昔前までは“魅力的な国内向けコンテンツ”であれば、十分な価値を提供することができていたと思うんです。でも、今は誰もが世界に目を向けている。情報社会の加速によって子どもたちは早くから世界のトップで何が行われているかを知っているし、その魅力を日常的に受け取りながらサッカーを楽しんでいる。

もちろん選手たちの目も世界に向けられていますし、実際にものすごい勢いで飛び出していっていますよね。であるならば、やはりJリーグもそういう姿勢を持つべきだと思うし、「世界のトップ5」という目標は決して非現実的ではなく、日本なら、Jリーグならそれが実現できるのではないかと思ったのです。

野々村芳和チェアマン

——「日本なら」という言葉の意味は?

野々村シンプルに言うと、日本という国の魅力、底力のようなものです。例えば育成です。日本には高校サッカー、大学サッカー、クラブチームと、いくつもの道筋がありますが、それぞれの特徴に合った形で草の根から選手を育て、安定的に輩出するシステムができあがってきていると感じています。

『NEXT GENERATION MATCH』出場選手

[U18年代の成長機会創出などを目的に開催されている『NEXT GENERATION MATCH』では、Jクラブユースの選抜チームと、高校サッカー選抜が対戦]

ヨーロッパの仕組みと比較して複雑すぎるという意見もありますが、これはこれで日本らしい形なんじゃないかと思いますし、複雑さがありながらもこれほどハイレベルな育成環境が整っている国は多くありません。まさに“日本だからこそ”の強みであると思っています。

もうひとつ挙げるなら、ファン・サポーターの数と質です。全国60クラブに、本当に素晴らしい熱量で応援してくださる人たちがいますよね。これは30年前とは比べものにならないほど増えている。そういった人たちが中心になって少しずつ作り上げられてきたカルチャーが、Jリーグにとって大きなアピールポイントになっていることは間違いありません。「あの環境でプレーしてみたい」と思う外国籍選手はこれから先も増え続けると思っています。

MUFGスタジアムでの開幕戦に駆けつけた横浜FMサポ

[ファン・サポーターの熱量は世界に誇れるものに]

——この30年でそうした変化を少しずつ促してきたJリーグだからこそ世界に挑めると。

野々村私はそう思っています。

上 野やはりJリーグとMUFGの立ち位置は似ていると感じます。当行も国内経済の厳しい時期に直面し、そのタイミングで銀行も世界に目を向けなければならないと考えました。ただ、そうした時期を経験した今だからこそ、世界に向けてより大きく羽ばたくためには国内への一層の注力が不可欠であると実感し、議論を重ねています。大きな成長の一歩を踏み出すためにはブレない軸足が必要であるという考え方を、今こそ再評価しなければならないのではないかと。

野々村まったく同感です。その第一歩として、先ほども言ったとおりまずはMUFGの社員の皆さんにJリーグを好きになっていただかないと(笑)。

上 野変化を楽しみにしています(笑)。小さなことからでも果敢にチャレンジをして、その積み重ねによってJリーグとMUFGのパートナーシップにおける“答え”に近づけると思っています。とはいえ慌てず、急がず、着実に前に進むことで、Jリーグが大好きなサッカーファン・サポーターの皆さんのお役に立てたら幸いです。

PROFILE

上野義明

上野 義明(うえの・よしあき)

株式会社三菱UFJ銀行 常務執行役員CSO
1996年東京三菱銀行に入行。経営企画部長などを経て、2025年に取締役常務執行役員。2026年に取締役常務執行役員CSO。現在は三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役常務グループCSOも兼務。

野々村芳和

野々村 芳和(ののむら・よしかず)

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) チェアマン
静岡県静岡市清水区出身。慶應義塾大学卒業後、ジェフユナイテッド市原(現 ジェフユナイテッド千葉)へ加入。2000年コンサドーレ札幌(現 北海道コンサドーレ札幌)へ移籍。2001年に選手を引退。2013年より株式会社コンサドーレ代表取締役社長、2022年同社会長。2022年3月第6代Jリーグチェアマンに就任。(公財)日本サッカー協会副会長、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)チェア。

MUFG × Jリーグ特設サイト|一緒なら、もっと熱くなれる。
https://www.mufg.jp/profile/brand/sponsorship/jleague/index.html

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