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【CL展望】天敵レアルから得点なるか、アグエロがシティの命運を握る|マンチェスター・C

2020.02.26

[写真]=Getty Images

 2月15日に発売となった雑誌『SOCCER KING』3月号では、チャンピオンズリーグのラウンド16を完全プレビュー! 決勝トーナメントをより楽しむためのコンテンツをWebで一部公開します。

 リオネル・メッシは、親友が怒ったり、イラ立ったりする姿を見たことがないという。マンチェスター・シティが制作したセルヒオ・アグエロのドキュメンタリーでこう言った。「彼は常に打開策を探している」

 メッシさえも驚く落ち着きぶりは、ゴール前のプレーに表れている。打開策を見つける稀有な能力だって、シティのファンは何度も目の当たりにしてきた。11-12シーズンのプレミアリーグ最終節で、“肝心なところで失態を演じるシティ病”が再発しかけたとき、94分の決勝ゴールで44年ぶりのリーグ制覇をもたらしてくれたのは、やはりアグエロだった。

 その歓喜を皮切りに、シティは4度のプレミア制覇を達成しているが、アブダビのオーナーが最も望むチャンピオンズリーグのトロフィーには手が届いていない。悲願達成のためには、ラウンド16のレアル・マドリード戦からアグエロの決定力が必要になる。

 しかしそれは酷な要求かもしれない。彼は一度もレアルに勝ったことがないからだ。アトレティコ・マドリード時代の11戦を含め計14回もレアルに挑戦しながら、その度に跳ね返されてきた。2016年の準決勝では不発に終わり、2戦合計0-1で涙を飲んだ。

 それでも今シーズンのラ・リーガにおいて、第21節終了時点で最少失点を誇る堅守に風穴を開けられる選手がいるのなら、それはアグエロだ。調子も上々である。1月にはアストン・ヴィラ戦でのハットトリックを含め、公式戦5試合で7ゴールを奪った。これでティエリ・アンリを抜いて、プレミアリーグで最も多くのゴールを挙げた外国人選手となった。特にラヒーム・スターリングが11月の代表合宿でリヴァプールのジョー・ゴメスと衝突して以降、16試合で4ゴールと調子を落とす今、エースの得点力がシティの命運を握る。

 1980年代にシティで活躍した元イングランド代表のサイドバック、アンディ・ヒンチクリフはアグエロの“特異体質”についてこう語る。

「CLのようなハイレベルな戦いではチャンスが限られる。それでもボックス内で50センチのスペースを見つけるのがアグエロだ。センターバックとサイドバック、もしくはセンターバック同士のギャップに飛び込むのがうまい。一瞬でも目を離したらやられるだろう」

 もちろん、ケヴィン・デ・ブライネのようなパサーも重要だが、CLで勝つためにはアグエロのように好機を逃さずにゴール前に飛び込むストライカーが欠かせない。「確かに流し込むだけのゴールも多いが、それを必ず決めるには冷静さが必要だ。彼は最後の最後にシンプルなプレーをする。ゴールの中にパスを出している」

 彼のゴールの価値は高い。アストン・ヴィラ戦でアンリの175ゴールに並んだとき、そのうちの41パーセントにあたる72ゴールが先制弾だった。マンチェスター・ダービーのような大一番でも9得点を挙げている。そうした価値あるゴールを決め続けながら、ジョゼップ・グアルディオラの戦術に順応してきた。指揮官が「セルヒオは替えが利かない」と言うのも納得できる。彼は、2021年に契約が満了する同選手の後釜を見つけるのは「私のキャリアで最も難しいタスクの一つだろう」と語っている。

 6月で32歳となるアグエロに、そう何度も欧州制覇のチャンスが残されているわけではない。だから今シーズンなのだ。リヴァプールのリーグ戦独走が、CLではシティの追い風になる。ヒンチクリフも期待する。「グアルディオラはリーグ優勝を諦めないと言うが、きっとCLと国内カップ戦に照準を合わせているはずだ」

 8月から離脱していたDFアイメリク・ラポルテの復帰も心強い。昨シーズンは準々決勝でトッテナムに4得点しながらアウェーゴール差で敗れた。そのことを考えると、シティには守備の安定が求められるが、やはり打ち合いを制する攻撃サッカーこそ彼らの進むべき道だ。ここまでは不本意なシーズンかもしれない。だが、まだ何も終わっていない。あとは、エースに任せるとしよう。

文=サイモン・ハート
翻訳=田島 大

【PLAYER FOCUS】MF 25 フェルナンジーニョ

フェルナンジーニョ

[写真]=Getty Images

 1月下旬にセンターバックのラポルテがケガから戻ってきたのは朗報だが、彼の復帰を生かすも殺すもフェルナンジーニョ次第だろう。

「違うポジションを経験することで、よりサッカーを理解できた。今ではサイドバックもセンターバックも明確に理解している」と本人が語るように、ラポルテが離脱した8月以降、守備を支えてきたのは中盤からセンターバックにコンバートされたブラジル人だった。

 今後は、彼をラポルテと組ませてもいいし、中盤を厚くしたいのならボランチに置いてもいい。ラポルテの復帰戦で試した3バックだって可能だ。そこは対戦相手次第だが、3トップのレアルに対してはフェルナンジーニョを据えた4バックが妥当に思える。

 どのポジションで起用しようとも、彼の対応力とパス技術、何より責任感はチームの生命線になる。だからこそ34歳の契約延長をファンは大いに歓迎した。無論、本人は1年の延長だけでは満足していないようで、43歳まで現役として活躍した元ブラジル代表のゼ・ロベルトを目指すという。

文=Footmedia

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