2013.03.21

ブラサカ日本代表、王国ブラジルとの対戦で得た手応えと課題

世界王者に1点差に詰め寄る惜敗

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驚異のドリブルテクニックで日本ゴールに迫るブラジルの10番ヒカルド

 20日、さいたま市のフットメッセ大宮で、ブラインドサッカー日本代表がブラジル代表と親善試合を行った。
  
 この試合は、全国の政令指定都市で初めて「ノーマライゼーション条例(誰もが共に暮らすための、障害者の権利の擁護等に関する条例)」を施行しているさいたま市と、視覚障害者と健常者が混ざり合いながらゴールを目指すブラインドサッカーとがタッグを組んで生まれたもので、「さいたま市 ノーマライゼーションカップ」と冠して実施された。
 
 本家11人サッカー同様、ブラジルはブラインドサッカーにおいても世界最強だ。圧倒的なテクニックと勝負強さで、パラリンピックは目下3連覇中。攻撃を担う2人、10番を背負うヒカルドと7番のジェフェルソンは、そのまま世界一、二のプレーヤーとして知られる。
 
 正真正銘の世界最強チームを相手に日本はどこまでできるのか。そしてブラジルの攻撃力、テクニックとはいかほどのものか。会場を埋めた観客の期待感が充満する中でキックオフされた試合は、やはりヒカルドとジェフェルソンのコンビが驚くべきテクニックで次々日本ゴールに迫る。
 
 しかし日本も組織だった守備で得点を許さず、25分ハーフの前半を0─0で凌ぐ。後半に入り、ヒカルドに2ゴールを許したが、終盤には代表初招集の川村怜がゴールネットを揺らし、王者ブラジルに後一歩と迫る1─2でタイムアップの笛を聞いた。
 

明確にイメージできた日本と世界との距離

 試合後、昨年6月より指揮を採る日本代表の魚住稿監督はこう振り返った。
「ブラジルの攻撃力は世界一です。我々新生日本代表としては、そこをどうやって抑えるかというところで、練習から狙いを持って取り組んできました。前半の25分に関しては絶対にシャットアウトしよう、ということで臨みましたが、その通り自分たちの形でディフェンスすることができたので、相当な手応えを感じました。後半についてはいろいろ試したい選手、試したいシステムもあったので、結果的に2点取られてしまいましたが、川村も1点取ってくれましたし、これからに期待できる結果だったと思います」
 
 記念すべきゴールを決めた川村も、「1点でも取り返せたことが日本としての収穫だと思います。相手のコンディションがどんなものだったかは分かりませんが、真剣勝負をさせてもらって、想像していたよりは、なんとかなるのではないかというレベルだと思いました。努力をすればなんとかなると。もちろん、並の努力じゃ足らないと思いますけど」と語り、世界王者との距離を明確にイメージできたようだった。
 
 また、『おっちー』の愛称で知られる7番・落合啓士は、手応えを口にしながらも冷静に分析した。
「ブラジルはプレーにまったく無駄がなかったですね。例えばトラップからドリブルに移行するまでの時間、ドリブルで切り返した時の身体のひねり方、インサイドの足の持っていき方。そういう一つひとつのプレーの精度の高さを肌で感じ、勉強になりました。勉強できたことが収穫です。どういうことをしていけば、世界に通用するかというイメージは、僕もそうですし、みんなもイメージできたかなと思いますけど、ただ、実際に戦った感触としては、細かいところでやはりまだまだ世界との差があります。一つひとつやっていかなければいけないし、簡単に世界に通用するとは思っていません」
 
 強国との真剣勝負を通して手にした確かな手応えと課題。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックの出場権がかかる、来年の世界選手権に向けて、一歩一歩、世界との距離を詰めていく。

 なお、ブラジル代表は23日、24日に横浜で開催される「フィアットカルチョ 2013」にも参戦する。晴眼者でも真似のできないような驚異のテクニックを間近で見られるまたとないチャンス。詳細はこちら

ブラインドサッカーとは

 アイマスクをする「B1クラス」と、見えにくい(弱視)「B2/3クラス」の2つがある。2002年に発足したブラインドサッカー日本代表(B1)は、これまで世界選手権に2度出場。パラリンピック出場の悲願はいまだ達成されていないが、アジアの中で着実に力をつけ、世界にその実力を認められ始めている。ブラインドサッカーのルールは下記のとおり。

・プレーヤーは5人、コーチとコーラーを合わせた7名がピッチに立つ
・フィールドプレーヤーはアイマスクをする
・ボールには音の鳴る鈴が入っている
・ボールを持った相手に「ボイ!」と声を出す
・サイドライン上に安全のためフェンスが並ぶ
※B2/3クラスはフットサルのルールと同一