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2013.01.01

ジャイアントキリングで振り返る第92回天皇杯

ジャイアントキリングで振り返る第92回天皇杯

 日本最大で最古のトーナメントである天皇杯全日本サッカー選手権大会が、2013年1月1日に決勝戦を迎えた。第92回を迎えた今大会、日本一の称号をつかむべくプロとアマが入り混じっての争いは熾烈を極め、多くの名勝負や番狂わせ“ジャイアントキリング”が誕生した。

福島ユナイテッドFC
 88チームが参加した本大会は、都道府県代表の福島県代表の福島ユナイテッドFC(東北社会人リーグ)と東京都代表の横河武蔵野FC(JFL)が旋風を巻き起こした。東北社会人リーグに所属する福島ユナイテッドFC(写真)は、2回戦で今季J2を独走で制した甲府を相手にGK岡田大を中心とした守備で完封し、PK戦の末に勝利。続く3回戦では、63分に伊藤卓也のクロスをダイビングヘッドで決めた益子義浩の一撃が決勝点となり、J1の新潟を破ってベスト16進出を果す快進撃を見せた。

 一方、横河武蔵野FCは、2回戦で前回大会を制したFC東京(J1)を撃破。“東京ダービー”として注目を集めた一戦は、スコアレスで迎えた試合終了間際の後半ロスタイムに岩田啓佑が直接FKで決勝ゴールをたたき込み、大金星を奪取。劇的な幕切れで王者の連覇を阻んだ一戦は、今大会で屈指の“ジャイアントキリング”となっている。

 4回戦では柏、千葉に敗れ、ともにベスト8入りこそ逃したものの、Jリーグ所属クラブが居並ぶ中での快進撃は話題をさらった。

 他にも、四国社会人リーグのFC今治が2回戦で、J1王者の広島に、森川龍誠と高田大樹のゴールで2-1で接戦を制して勝利。神戸(J1)を2-1で破ったSAGAWA・SHIGA(JFL)は、神戸が控え組が中心だったとはいえ、プロを相手に終始試合の主導権を握っていた。

 天皇杯では、大会を象徴するような印象的なジャイアントキリングがこれまでにも数多く誕生してきた。今大会で広島を敗退に追い込むゴールを挙げたFC今治の森川龍誠は高校時代に名門の市立船橋高校のエースとして活躍。下部リーグ所属のクラブが巻き起こす旋風とともに、才気あふれる選手達が各クラブに在籍している事実は、日本サッカー界の底上げの証明と言えるだろう。

 天皇杯ではピラミッドの頂点を争う一方、プロ・アマ問わない参加資格により、下部リーグなどの裾野も網羅。日本サッカーの充実を基に、本家に負けない一足飛びのステップアップへの下地がしっかりと整えられている点も大きな魅力を生み出している。

SURUGA I DREAM Award

福島ユナイテッドFC 益子義浩選手
SURUGA I DREAM Awardは、天皇杯で旋風を巻き起こしたチームの中から「大会を象徴するゴール」を表彰する賞で、第89回天皇杯全日本サッカー選手権より創設。第4回目となる今大会は、福島ユナイテッドFCの益子義浩選手が選ばれた。益子選手が所属する福島ユナイテッドFCは、東日本大震災や原発事故の影響から一時は活動休止もあり得る苦境に陥り、昨季の東北社会人リーグでは放射能汚染のため福島県内の試合を認められなかった。本拠地である福島県内の練習場も除染で使用できないため、県内外のグラウンドを転々とするなかで、今季は東北社会人リーグを制覇。全国地域リーグ決勝大会でも2位に入り、来季からのJFL入りを決めている。

第92回全日本サッカー選手権大会3回戦
アルビレックス新潟(J1) 0-1 福島ユナイテッドFC
福島ユナイテッドFC 益子義浩

益子義浩(福島ユナイテッドFC)受賞コメント
「受賞できたことを光栄に思います。福島では、いまだに震災の影響が残っていますが、選手、スタッフ、クラブ関係者、サポーターのみなさんが一つになって頑張っている中で生まれたゴールだと思います。この賞を励みに、復興のシンボルになれるようこれからも頑張っていきたいと思います」

◆プロフィール
名   前:益子 義浩(ますこ よしひろ)
背 番 号:27
ポジション:MF
生年月日 :1987年7月12日
身長/体重:180cm/69kg
サッカー歴:東京都立駒場高等学校→国士館大学→アルテ高崎→福島ユナイテッドFC

歴代受賞者

第3回 多々良敦斗(松本山雅FC)/第2回 桐田英樹(ソニー仙台)/第1回 山本紘之(明治大学)

サッカーキングが選定する天皇杯のジャイアントキリング

近年の天皇杯で起きた主なジャイアントキリング

第91回(2011年)
大宮アルディージャ 1(3PK5)1 福岡大学
(清武功暉 所属)
第90回(2010年)
ベガルタ仙台 0(延長)1 ソニー仙台
東京ヴェルディ 0-1 町田ゼルビア
第89回(2009年)
モンテディオ山形 0-3 明治大学
(山田大記 所属)
松本山雅FC 2-0 浦和レッズ
東京ヴェルディ 0-1 ホンダロック
水戸ホーリーホック 2-3 福岡大学
(永井謙佑 所属)
第88回(2008年)
徳島ヴォルティス 0(延長)1 国士舘大学
(武岡優斗 所属)
第87回(2007年)
Honda FC 2-0 名古屋グランパス
コンサドーレ札幌 1(9PK10)1 TDK SC
京都サンガF.C. 0-1 明治大学
(長友佑都 所属)
第86回(2006年)
横浜FC 0-1 バンディオンセ神戸
水戸ホーリーホック 0-1 静岡FC
ヴィッセル神戸 2-4 YKK AP
第85回(2005年)
コンサドーレ札幌 0-2 佐川急便東京SC
湘南ベルマーレ 1(延長)2 アローズ北陸

 90年以上の歴史を持つ天皇杯全日本サッカー選手権大会は、起源を辿ればサッカー発祥の地であるイングランドに行き着く。

 1919年にイングランドサッカー協会から銀製のFAシルバーカップを寄贈されたことが1921年の日本サッカー協会創設に繋がり、同年に開催された「第1回ア式蹴球全国優勝競技会」の契機となっている。イングランドのFAカップを模範に創設された同競技会は現在の天皇杯に発展したが、本家同様プロ・アマ問わない参加資格とともに過去には数多くの名勝負や“ジャイアントキリング”を生み出してきた。

 第77回大会では、JFLに所属していた東京ガス(現 FC東京)の躍進が大きな話題を呼んだ。1回戦で関西大学、2回戦で愛媛FCユースを下すと、3回戦では名古屋、4回戦で横浜M(現 横浜FM)を連破。準々決勝では中田英寿ら日本代表を数多く擁す平塚(現 湘南)を撃破して、ついにベスト4入りを果たした。準決勝では優勝を果たすことになる鹿島に決勝進出を阻まれたが、Jクラブを次々と破る破竹の快進撃は、一発勝負の醍醐味を広く周知させた。

 また、第82回大会においては、同年のJリーグ年間王者の横浜FMと市立船橋高校(増嶋竜也、カレン・ロバート所属)の対戦が実現。高校サッカーの名門“イチフナ”は1回戦で当時JFLの草津を下すと、横浜FMとの3回戦でも2-2と、日本のトップクラブと真正面から打ち合いを演じた。最終的にはPK戦の末に敗れたが、高校生がプロに果敢に挑んだ試合として記憶されているのではないだろうか。

 そして、1世紀に迫る歴史の中では、記念碑的な大会もある。第78回大会の横浜Fは、同シーズン限りで横浜M(現横浜FM)に吸収合併されることが決まっていた。大会からの敗退がチーム解散を意味する状況ながら、準々決勝で磐田、準決勝で鹿島を破り、決勝に進んだ。同時期のJリーグで覇権を争っていた2強に競り勝つと、最後の試合となった清水との決戦でも、1点ビハインドから2-1の逆転勝利。優勝という最高の形で、有終の美を飾っている。

 サッカーの母国に倣う形で発足した天皇杯は、連綿と続く歴史に記憶に残る名勝負、忘れられない名チームを刻んできた。元日決勝が風物詩として定着した現在の伝統や格式も、多くの熱戦の積み重ねで保たれていることは記憶にとどめておきたい。

元日決戦を彩る富士山をモチーフにしたフェンスバナー

決勝戦
 新年の風物詩となっている決勝戦の元旦開催や優勝チームにアジアのトップクラブを決めるAFCチャンピオンズリーグの出場権を与えることに加え、戦いの舞台となるスタジアムも同様に、日本一決定を彩る工夫が施されている。

 スタジアムに入るとすぐ、会場を埋め尽くした富士山が目に飛び込む。スタンドのフェンスに隙間なく掲げられた横幕には、大会を協賛する「スルガ銀行」の文字と日本一の高さと美しい景観を誇る富士山が描き表されることで、戦いの舞台に華やかさを加えた。

 日本一決定戦の盛り上げに一役買っているスルガ銀行は、天皇杯など大会協賛に限らずサッカーから人生まで、サッカーを愛するすべての人の夢を応援している。Jリーグのリーグカップ王者と南米のコパ・スダメリカーナ王者が対戦する「スルガ銀行チャンピオンシップ」は、2008年からプレゼンティングスポンサーとして協賛。来年8月7日(予定)に開催される第7回大会には、南米王者としてサンパウロが大会に参加。ガンソやルシオ、ロジェリオ・セニ、ルイス・ファビアーノらブラジル代表歴を持つプレーヤーが来日する予定となっている。

「スルちゃん」ハンドタオルを100名様にプレゼント!

「スルちゃん」ハンドタオル
 天皇杯全日本サッカー選手権大会を協賛したスルガ銀行では、大会を記念してプレゼントを実施。スタジアムを埋め尽くした富士山をモチーフにしたオリジナルキャラクター「スルちゃん」のハンドタオルが、無料で当たるチャンスとなっている。

 プレゼントは、スルガ銀行のメルマガ会員に登録して応募。抽選で選ばれた100名に、「スルちゃんハンドタオル」が贈られる。

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写真=兼子愼一郎、足立雅史

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