2012.05.23

イングランド代表考:察悩める母国、復権へのポイント

イングランド代表考察悩める母国、復権へのポイント

叫ばれる数々の不安要素 新監督の戦術浸透が急務

 勝負の世界で“たられば”は禁句かもしれない。しかし近年の国際大会におけるイングランドの戦いぶりは、いつも“たられば”を用いて表現したくなるようなものだった。今回のユーロではどのような試合を見せてくれるのだろうか。
 イングランドのスター、ウェイン・ルーニーの2試合の出場停止という状況だけを必要以上に騒ぎ立てる者も多い。しかし、現在のイングランドにとってはそれ以外にも数々の不安要素がある。
 2010年の南アフリカワールドカップ(以下W杯)では決勝トーナメント1回戦敗退に終わったイングランド。混乱と準備不足の中でユーロを迎え、今回も決して期待できないチームに対し、我慢の限界になったメディアは一斉に、“いっそのこと、若手に経験を積ませる舞台にすべきだ”と報じた。その風潮は“黄金世代”にとって悔しいものとなっただろう。アシュリー・コール、スティーヴン・ジェラード、そしてジョン・テリーは、輝かしい時代のイングランドを知る最後の世代だ。
 ルーニーは6月18日に行われるウクライナとの第3戦まで出場できない。そしてダレン・ベントも左足首の靭帯を断裂し、大会出場がほぼ不可能と見られており、前線のメンバーは徹底的に見直す必要がある。おそらく、所属チームでも好調を維持している21歳のダニー・ウェルベックら若手選手が先発メンバーに食い込んでくるだろう。そして、ジェラードもルーニーの代役としての役割をこなすことが可能だ。しかしマンチェスター・ユナイテッドのストライカー以外に、点取り屋がいないという状況が露呈される状況となってしまった。
 ここまで後ろ向きな話ばかりになってしまったから、ポジティブな要素を挙げてみよう。実はイングランドはチャンピオンズリーグ経験者が非常に多いチームなのだ。まだまだキャリアの浅いウェルベック、フィル・ジョーンズといった若手も既にヨーロッパの大舞台を経験しているというのは、チームにとって大きな強みとなるだろう。また、フォワード陣が不足しているのに比べ、中盤は選手層が厚い。オーウェン・ハーグリーヴスの代わりとして起用された31歳のスコット・パーカーは、代表としてはまだまだ新人。20代の頃の代表戦出場数はわずか3試合だった。しかしそのリーダーシップ、インテリジェンス、そして安定したプレーで近年評価は急上昇し、今や代表の常連となった。
 ゴールマウスはこの先10年、ジョー・ハートが守ることがほぼ確実だろう。マンチェスター・シティの守護神は、デイヴィッド・ジェームスやロバート・グリーンからポジションを奪った。しかしまだ大舞台での経験はないため、今大会は彼の真の才能が試されるものとなる。
 イングランドが旋風を巻き起こすためには、開幕までに戦術をチームにしっかりと浸透させること、そして、本来持っている守備面での強みを活かすことが重要になってくる。ファビオ・カペッロは世界最高の監督ではないかもしれないが、彼が舵取りをしないということがどれだけ影響するかはまだ分からないのだから。

POINT 1 4-4-2に代わるシステムも視野に
予選での戦いからフィードバックすべきこととして、システムはフレキシブルにすべきだろう。カペッロ前監督は4-2-3-1を使い続けたが、メンバーが流動的かつルーニーが2試合に出場停止の今、従来の形にとらわれるのではなく柔軟に変化させるべきだ。ロイ・ホジソン新監督は果たしてどんなシステムを考えているのか。大会前に行われるベルギー、ノルウェーとの親善試合で、その手の内が明らかになるだろう。
POINT 2 テクニックとフィジカルを生かせ
イングランドはスペインのように細かくパスを回すスタイルを苦手としているが、その一方でテクニックに優れた選手は大勢いる。ウォルコット、アシュリー・ヤング、ジェイムズ・ミルナー……。彼らはフィジカル面での強さも兼ね備えており、前線の高い位置でボールを奪えれば必ずチャンスにつなげられる。ルーニー抜きで戦う1戦目、2戦目は、この形でゴールに迫ることが重要になってくるはずだ。
POINT 3 DFラインのベスト布陣を見つけ出せ
予選では4バックを貫いてきたが、その中でも現時点で当確なのは左サイドバックのコールだけ。センターバックには怪我人や不調の選手も多く、発表されたメンバーリストにリオ・ファーディナンドの名前はなかった。ジョレオン・レスコットの起用は確実な状況だが、どんな組み合わせ、どんな布陣がベストかを見つけられていない状況だ。しかし、ここを構築することがそのまま上積みにつながる。
ジョー・ハート ジョー・ハート
マンチェスター・Cの正GKとして君臨し、2010年南アフリカW杯以後は代表でもポジションを確立したジョー・ハートは、抜群の安定感と、時に驚異的なセービングでチームを救う。DFラインの構築に悩める現在のイングランドにとって、唯一無二の絶対的な存在であり、チームの躍進はハートの活躍を抜きにしてはありえない。

EURO2012 イングランド代表メンバー

Pos. 選手名 所属クラブ 年齢 予選成績
GK ジョー・ハート マンチェスター・C 24歳 8試合・0得点
GK ロバート・グリーン ウェストハム(2部) 32歳 0試合・0得点
GK ジョン・ラディ ノリッジ 25歳 0試合・0得点
DF フィル・ジョーンズ マンチェスター・U 19歳 1試合・0得点
DF レイトン・ベインズ エヴァートン 27歳 1試合・0得点
DF ガリー・ケーヒル チェルシー 26歳 4試合・1得点
DF ジョン・テリー チェルシー 31歳 5試合・0得点
DF ジョレオン・レスコット マンチェスター・C 29歳 2試合・0得点
DF グレン・ジョンソン リヴァプール 27歳 5試合・0得点
DF アシュリー・コール チェルシー 31歳 8試合・0得点
MF アシュリー・ヤング マンチェスター・U 26歳 7試合・3得点
MF ギャレス・バリー マンチェスター・C 30歳 6試合・0得点
MF スコット・パーカー トッテナム 31歳 5試合・0得点
MF ジェイムズ・ミルナー マンチェスター・C 26歳 6試合・0得点
MF フランク・ランパード チェルシー 33歳 5試合・2得点
MF アレックス・チェンバレン アーセナル 18歳 0試合・0得点
MF スチュワート・ダウニング リヴァプール 27歳 5試合・0得点
MF スティーヴン・ジェラード リヴァプール 31歳 3試合・0得点
FW セオ・ウォルコット アーセナル 22歳 5試合・0得点
FW アンディ・キャロル リヴァプール 23歳 1試合・0得点
FW ジャーメイン・デフォー トッテナム 29歳 2試合・3得点
FW ウェイン・ルーニー マンチェスター・U 26歳 7試合・3得点
FW ダニー・ウェルベック マンチェスター・U 21歳 1試合・0得点

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