
文=松原渓 Text by Kei MATSUBARA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images
みなさん、こんにちわ!
女子W杯の取材でカナダに来ています。
グループリーグを首位で突破した日本は、決勝トーナメント初戦でオランダと対戦。バンクーバーのBCプレイススタジアムで行われたこの試合の模様をお伝えします。
……と、その前に、まずは開催地となったカナダのバンクーバーについてちょっとご紹介します。バンクーバーに到着したのは試合前日の夜9時過ぎでしたが、夜9時でもお昼のように明るいんです!

自然が豊かな街並は美しく、住宅街は高い木に囲まれて、森の中のコテージが並ぶような雰囲気。映画に出てきそうですよね。
6月のカナダは最高の時期なんだそうです。湿気が少なく、気温は23度前後。日の出は早く日の入りはゆっくりで、一日が長く感じられて素敵ですよね。
街のスポーツショップでは、カナダ女子代表の看板がどーん! と掲げられていて、開催国の気合いが伝わってきます。日本では女子W杯はまだ開催されたことがないので、ぜひ! 今後に期待したいですね。

今大会は、グループリーグ36試合の合計入場者数(88万人強)が、すでに2011年ドイツ大会の全試合合計を上回っていて、大会史上最多観客数を更新するのはほぼ確実。街の至る所に女子ワールドカップのフラッグや看板が出ていて、テレビのあるカフェでは地元のカナダやアメリカの応援に盛り上がる光景が見られますよ。
さて、スタジアムには余裕を持って、試合開始の6時間前に到着。「いくらなんでも余裕持ち過ぎじゃない?」って…思いましたか?
ワールドカップ期間中は、開催されるスタジアムの周辺で様々な催し物があるので、見て回ったり、世界各国から集まるサポーターと交流したりしていると、時間はあっという間なんです。そういう、試合以外の雰囲気を楽しむのもワールドカップの醍醐味ですよね♪

スタジアム外に設けられたファンゾーンでは、サッカーゲームやアトラクションを楽しむ方達の姿が見られました。
スタジアム外壁には、全チームの選手の看板が掲げられていましたよ。日本は安藤梢選手!初戦でケガにより離脱を余儀なくされてしまいましたが……安藤選手の分も、チームは一つになって戦っています。

そして、試合開始4時間前になると、スタジアムに続々とお客さんが集まり試合開始に向けて、心臓が高鳴ります。スタジアムにも大きな鼓動音が流れたり、試合前15分ぐらいからはカウントダウンもあったりして、演出が斬新なんです。
待ちに待った試合は夜7時にキックオフ。
対戦相手のオランダは初出場とはいえ、前線とサイドにスピードのあるアタッカーを揃え、なかなか手強い相手です。
しかし、日本は前半10分に、左サイドの宮間あや選手からのクロスを大儀見優季選手がヘディングで合わせ、ボールはバーに弾かれたものの、後ろから勢い良く走り込んでいた有吉選手がゴール!

平均身長が170センチのオランダのクロスは脅威でしたが、前線の選手がボールの出所をしっかりと抑え、手堅い守備でゴールを割らせず。後半33分には岩渕選手がスルーしたボールを阪口選手が決め追加点!日本らしい連携が光りましたね♪

試合終了間際には、それまで安定したセービングを見せていたGK海堀選手の”らしくない”ミスで1点を返されてしまいましたが……。
何はともあれ、試合は2ー1で勝利!日本がベスト8に駒を進めました。
試合後、選手達からは「選手間の距離が良くなったと感じた」(阪口選手)「守備も攻撃も声を掛け合ってやれました」(大儀見選手)など、これまでの3試合と比べてもチームの共通意識が高まっている様子が伝わってきました。

次の相手は、アジアのライバル、オーストラリア。
過去何度も対戦している相手でお互いに特徴が分かっているだけに、「やりやすくもあり、やりにくくもある」というのが本音のようです。しかし!「分かっている部分をどうやって良い方に持って行くかが大切」(川澄選手)というように、相手の強みをしっかりと分析して守り、逆に、なでしこジャパンは相手が分かっていても止められないような攻撃を見せてくれることを期待しています。
オーストラリア戦は、日本時間で28日の朝5時。中3日ですから、しっかり体調を整えて臨んでほしいですね!