2015.06.04

「自分が持っているものをすべて出し切りたい」安藤 梢(1.FFCフランクフルト)

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インタビュー=サッカーキング編集部 Interview by SOCCER KING
写真=金子 悟、ゲッティ イメージズ Photo by Satoru KANEKO,GettyImages

 2連覇を目指すなでしこジャパンに、MF安藤梢(1.FFCフランクフルト/ドイツ)が大きなタイトルを携えて合流した。2009年からドイツでプレーに磨きをかけるストライカーは、ヨーロッパでの女子クラブチームNo.1を決する欧州女子チャンピオンズリーグ(CL)を、今年5月に制覇したばかりで、心身ともに充実中。今回はMF澤穂希に続くなでしこジャパンの年長者として、自身4回目の女子W杯に挑む。
 その一方、安藤は過去の女子W杯と五輪では無得点であり、選手としての集大成を示さなければならない大会だろう。欧州で蓄えられた豊富な経験や知識に、チーム内外から大きな期待が寄せられている中、安藤梢は何を思うのか。

CL優勝という夢を叶えることができた

――今シーズンはチャンピオンズリーグ優勝というビッグタイトルを獲得しました。
安藤 CL優勝という夢を叶えることが、ドイツに移籍した理由の一つでもあったので、自分自身重みのあるタイトルですね。

――今シーズンを振り返ってみてどんな1年でしたか?
安藤 昨シーズンは、ほとんどの試合をスタメンで出場することができましたが、今シーズンは、スタメンだったり途中出場だったりで、チームに多くのドイツ代表や各国代表選手が所属し、ポジション争いもあり、悔しい思いもたくさんしました。でも、そんな中で色々なポジションでプレーしたりしながら選手として、すごくたくさんの事を経験し、積み重ねることができたので意味のある1年だったと思います。

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――ドイツに移籍して6シーズン目を終えました。欧州でプレーしていて改めて感じていることなどありますか?
安藤 ヨーロッパでは攻撃が縦に速く、個を重視するサッカーだということを肌で感じました。各国の強豪チームには強烈な個の力を持った選手がたくさんいて、彼女たちのボールを前に運ぶ力は驚異的だなと改めて感じましたね。

――安藤選手自身はそういった環境の中でどんなことを考えてプレーしていますか?
安藤 フィジカルの強い相手にどう対処するかですね。常に工夫していますが、通用したと実感できる部分と課題だと感じることも多いです。

 ドイツに渡った当初は、体を当てるタイミングや手の使い方を工夫していました。6シーズンをプレーし、今は自然とできるようになってきている部分もあります。また、ドイツでプレーしているからこそフィジカルの強い相手との1対1にどんどんチャレンジしようと意識して取り組んでいます。ファーストタッチの置き場所やフェイントを入れて相手の逆をつくドリブルなどの質をもっと高めていきたいです。

“戦う姿勢”を全面に出すことが1番大切

――CL決勝を終えてすぐに国内合宿に合流しましたが、現在のコンディションはいかがですか?(取材日:5月17日)
安藤 コンディションは良い状態です。CL決勝が終わってからすぐに気持ちもなでしこに切り替わっていますし、W杯の初戦にベストな状態で臨めるようにしっかり準備したいです。

――「W杯連覇」を期待されることについてどのように感じていますか?
安藤 前回大会の時は、大会前はほとんど注目されてなかったので、日本のみなさんに、期待してもらって応援してもらえることはとてもありがたいことだと思います。

――世界の女子サッカーのレベルが年々上がってきている中で、W杯を連覇することは非常に難しいミッションだと思いますが。
安藤 もちろん、連覇というのは本当に難しいことだと思います。各国のレベルが上がっていることだけでなく、日本も研究されています。

――今回選ばれたW杯のメンバーは、ドイツW杯とロンドン五輪の両大会に参加している選手が15名選出された経験豊富なチームとなりました。チームとしてどんなことが重要になってくると考えていますか?
安藤 なでしこの強みの一つは、チームが一つになって戦えることです。W杯の舞台を経験し、その雰囲気を知っている選手が多いことはチームとしての共通意識を高く持てますし、大きなメリットになると思います。

――佐々木則夫監督はメンバー選考について「戦える選手を選んだ」とコメントしていました。「戦う姿勢」についてドイツでプレーしている安藤選手の意見を聞かせてください。
安藤 私も始めてドイツに渡った時に、1番最初に戦う姿勢の違いを感じました。深いタックルだったり身体のぶつかり合いに本当に驚きました。でもこれが世界では当たり前でヨーロッパでは、“戦う姿勢”を全面に出すことが1番大切なので。そういった意味では監督の言うとおりだと思います。

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――W杯に臨むなでしこジャパンのメンバーは「戦う姿勢」を十分に備えているということでしょうか?
安藤 W杯は国と国の誇りを懸けて、相手も相当な気持ちをぶつけてくるはずです。でも、自分たちはそれ以上に戦う部分を全面に出していきたいですね。今のなでしこは、アメリカやヨーロッパでの経験がある選手がたくさんいますし、そういう雰囲気を練習からも出していきたい。

――今回のメンバー選考では澤選手の復帰が大きな話題となりました。
安藤 尊敬する澤さんと一緒にまた代表でプレーできることを率直に嬉しく思います。澤さんほどの偉大な選手が、一生懸命諦めずに目指している代表というのは改めて特別な場所だと感じました。そんな代表に選ばれて光栄だと思うと同時に、自分が持っているものを全部出し切って戦いたいと強く思いました。

恩師が率いる初戦のスイス戦が重要

――グループリーグではスイス、カメルーン、エクアドルといずれも初出場の国と対戦します。グループリーグでの展望を聞かせてください。
安藤 W杯では初戦で勝ち点3を取って勢いに乗ることが重要なので、非常に大切な試合になると思います。ですので、初戦のスイス戦は絶対に落とせない試合になります。

――初戦で対戦するスイスはブンデスリーガでプレーする選手が多いですが、安藤選手はどのように見ていますか?
安藤 スイスはほとんどの選手がブンデスリーグでプレーしていて、個々のレベルは非常に良い選手がたくさんいる印象ですね。スイス代表の(マルティナ)フォス=テクレンブルク監督は、私がドイツに渡った時の最初のチームでお世話になった監督なんですよ。

――スイス代表のフォス=テクレンブルク監督はどんなタイプの監督ですか?
安藤 戦う姿勢を全面に出すことを要求するとても熱い監督です。この前のアルガルヴェ・カップで会った時には「日本と戦うのに失うものは何もない」と言っていました。日本との試合では激しくファイトする戦い方をしてくると思います。難しい試合になると思いますが、なでしこはそれを受けるのではなく、相手以上に戦う姿勢を持って挑まなくてはならないと思います。

――なでしこジャパンが連覇を成し遂げるためには、ドイツ、アメリカ、フランスといった強豪国との対戦を乗り越えなくてはなりません。佐々木監督は「勝てない相手ではない」とコメントしていました。
安藤 ドイツ、アメリカ、フランスはとても良いチームなのは確かです。でも、個人的には勝てない相手ではないと思っています。ただ、この3チームだけでなく、予選からどの試合も一戦一戦をチャレンジャーの気持ちで臨むことが大切です。

W杯ではすべてを出し切りたい

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――2011年のW杯優勝を境に、女子サッカーを取り巻く環境は大きく変わりました。安藤選手にとってこの4年間はどういうものでしたか?
安藤 2011年W杯後から、なでしこの注目度は大きく変わりました。でも、自分自身はサッカーに対する取り組みは今までと変わっていません。「もう一度世界一になる」という目標に向かって、各国の中心選手が集う1.FFCフランクフルトというチームでチャレンジしてきました。

――最後にW杯への意気込みを聞かせてください。
安藤 W杯連覇をして、また日本中がひとつになって皆さんと一緒に喜べるよう、すべてを出して戦ってきます。応援よろしくお願いします!

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