2015.06.04

岩渕真奈『期待、希望、未来を小さな体に背負い』

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文=馬見新拓郎 Text by Takuro MAMISHIN
写真=金子悟/ゲッティ イメージズ Photo by Satoru KANEKO/Getty Images

 なでしこジャパンは2011年前後に次々と海外でプレーする選手が増え、そこでの経験を自らの糧として各選手が蓄えていった。そういった海外組の経験は、なでしこジャパンが多様な戦い方をできる要因となっており、なでしこジャパンというチームに変化や刺激を与えている。

 岩渕真奈もまた、ドイツでプレーすることを決心し、海外での挑戦をした選手のひとりだ。

「女子W杯ドイツとロンドン五輪を経験して、自分にできないことが多すぎると感じて移籍しようと思った」

 岩渕は2008年にプレナスなでしこリーグの新人賞、2011年に同リーグのベストイレブンに輝くなど、日本国内で頭角を現す一方、それに比例して代表レベルで結果を残せていない自分に気付き、それを打開するために環境を変えることを決意した。

 2012年のロンドン五輪後にドイツのホッフェンハイムへ移籍し、今シーズンからは各国の代表選手が多数所属するバイエルンでプレー。加入1年目で、女子ブンデスリーガ優勝を味わった。岩渕はけがの影響で欠場した試合もあったが、今季は13試合に出場し、優勝が懸かった最終節で先発出場するなど、チームからの信頼を得ている。小柄な体を生かした緩急のあるドリブルで、大柄な相手選手を置き去りにする度に、それは岩渕の自信へとつながった。

「もっと自分のよさを出せば、海外でも通用する部分は多い」。これが、シャイな岩渕があえて海外に飛び出し、自らの力で辿り着いた答えだった。

 女子W杯カナダとロンドン五輪では、ともにチーム最年少。そして今回もそれは変わらず、22歳の岩渕はチーム最年少である。

 今大会でどんな結果が出たとしても、当然なでしこジャパンとしての進化は続けていかなくてはならない。だからこそ、次世代を担う若手の岩渕に対する期待は高まっている。だが、岩渕は自らが若手と言われることを否定する。

「私は22歳ですが、海外ではもっと若い選手が第一線でプレーしています。だから、私たちの世代はもう若手じゃない」

 言葉が理解できないながらも異国の地に飛び込み、初めての一人暮らしを経験し、代表活動があれば長時間をかけて日本に帰国した。

「この数年で得た自信はすごく大きい。気持ちの余裕や自信を、徐々にプレーで表現できるようになった」

 それでも岩渕には、超えなければいけない壁が待っている。

「前回の女子W杯から4年が経って、さらに試合に出たい気持ちが強くなった。自分は4年前から女子W杯メンバーに一応入っていますが、先発11人の壁は崩せていない。今は私ができるすべてのことをやるつもり」

 少し大人な表情を見せた岩渕は、まっすぐに目標を見据える。

「試合に出たらどんな形でもインパクトを残せるように。得点でもアシストでも守備でもいい」

 もしかすると岩渕の活躍は、小柄な選手が多い日本が、今後進むべき道を指し示しているのかもしれない。

「自分でいうのも何ですけど、私、大人になりましたよね」

 岩渕真奈の活躍。それは日本サッカーの期待であり、希望であり、未来だ。

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